あらすじ
何をやって見ても、一向この世が面白くない。そんな男が発見した最後の楽しみ。それは屋根裏を歩きまわり、他人に見せない醜態をのぞき見ることだった。淫靡な快楽の虜となった男が、ついには完全犯罪を目論むが!? 表題作の他、「二銭銅貨」「D坂の殺人事件」「人間椅子」など最初期の傑作群を収録。【この電子版は、註釈と「私と乱歩」を割愛しています】
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Posted by ブクログ
江戸川乱歩作品、サイコパス的犯行でゾクゾク。何をするのもつまらない郷田。ある日下宿の天井を上り屋根裏を這いまわり、住人の部屋を散歩する。郷田は持ち前の犯罪嗜好癖から殺人を計画する。天井に隙間があり、その真下に住人・遠藤の大いびき。隙間から口の中にモルヒネ液をポトリ。。。遠藤は顔色が白くなり青藍色に変わり、いびきがやみ胸のところが動かなくなり死亡する。警察は完全密室なので自殺で処理するが、明智小五郎は、自殺日に目覚まし時計をセットしするか?というところから郷田の殺人を疑う。明智が郷田に対して罠を仕掛けた!⑤
Posted by ブクログ
再読。内容はネタバレ含む(覚書のため)。
・二銭銅貨
「南無阿弥陀仏」の暗号。「ゴジャウダン」は傑作だと今でも思う。点字に目をつけたところもなかなか。
・一枚の切符
博士夫人が轢死体で見つかり、殺人容疑で博士が逮捕。重石と飼い犬を使ったトリック。ただ、夫人が本当に「犯人」かどうかはぼやかされている。
・恐ろしき錯誤
火事で妻を失った夫が考えだした、犯人あぶりだしの方法。妻が大事にしていたロケット(実際はそんなもの、そもそもなかった)に各人の顔写真を張り付けておいたものを使い、脅しをかけてみるという手法だった。着想もいいし、オチのつけ方も格好をつけて、珍奇なものにしていないところがまたよし。
・二癈人
夢遊病者と「思わせる」というトリック。当時としては、斬新な発想だったのではないか。
・双生児
一卵性の双子の入れ替わりは古典的だが、このお話のメインテーマは「指紋」。指紋のネガティヴ部分を勘違いして、兄の指紋だと錯誤してしまった。
2013/01/02追記:この作品のトリックは某有名海外推理小説家の某作品にもある。
・D坂の殺人事件
人間の記憶なんて頼りない、というテーマをもとに書かれた作品。実際のトリックよりも、「私」が、「格子のせいで、見る位置から服の色が違う風に見えた」という推理したことがやたら頭に残ってしまっていた。
・心理試験
蕗屋の人となりがいいね、好み。因みに蕗屋のモデル(というか着想)は『罪と罰』のラスコーリニコフから。駆け引きの過程が好み。
・黒手組
暗号の一面として、糸を使ったトリックに似たきらいがあることが指摘されよう。明智が二組のカップルの月下氷人となった作。しかし、罪作りな娘よ。
・赤い部屋
ブラックユーモアがあって好き。アニメにもなっているが、あれよかやはり原作の雰囲気がいい。
・日記帳
恋を表す方法に、切手を斜めに張るものがあると知ったのはこの作品から。哀愁が漂う。
・算盤が恋を語る話
そろばんを恋文の代わりとして使う男の話。偶然がかくも残酷とは。
・幽霊
明智がまさか登場しているとは。死んでいると思われた人が、実は生きていたという話。戸籍謄本の偽造は今では出来ぬだろう。
・盗難
新興宗教の金庫からまんまと大枚をせしめた盗人の話。
・白昼夢
屍体を屍蝋にした男の話。
・指環
「全く黙殺された」話らしいが、そんなに駄作とも思われない。
・夢遊病者の死
「花氷のトリックは、西洋の作品にも前例がない」と乱歩自身評しているが、類したものなら前例はあるように思われる。また、本作のようなトリック一本槍の話は歓迎されなかったと嘆いているが、本作に限って言えば、そう評されても仕方なかったように思う。夢遊病をテーマにした「二癈人」のほうが着想も筋もいい。
・百面相役者
アイデアは好き。どんでん返しは少々安易。
・屋根裏の散歩者
明智は好きだが、むりくりに登場させなくてもよかったと思う。
・一人二役
しっかりと落とせている。実話が下敷き。
・疑惑
変に凝りすぎて、やや冗長のきらいがある。「無意識」の殺意をテーマにした意欲作。
・人間椅子
大好物。城昌幸氏の「怪奇製造人」につながるものがある。
・接吻
無賃で「やッつけ」で書いた作品。好き勝手やった感じがそこはかとなく出ていて好きである。写真の撮り違えの描写など、若干取ってつけた感じがあって想像しがたかった。
Posted by ブクログ
屋根裏の散歩道は、明智小五郎が登場します。
明智小五郎が登場するテレビ番組は見たことがありますが、文学は読んだことがありませんでした。
江戸川乱歩は、伝説の作家のようにあがめたてまつって、読んだことがないことに気がつきました。
ちなみに、NHKのTVのJブンガクで知りました。
Posted by ブクログ
『二銭銅貨』
強盗団の隠した5万円の行方。「私」が手に入れた2銭銅貨に興味を持った松村武。2銭銅貨に隠された暗号。発見された盗賊団の5万円。松村のいたずら。
『一枚の切符』
富田博士の妻の死。汽車による轢死と思われたが黒田刑事の捜査ににより他殺の可能性が浮かび上がる。逮捕される富田博士。左右田が拾った一枚の切符から博士の無実を証明するが・・・。
『恐ろしき錯誤』
対立する北川氏と野本氏。北川氏の妻・妙子の焼死事件。彼女が助かったにもかかわらず再び火の中に駆け込んでしまった秘密。彼女の耳元に囁いた謎の男の言葉の罠。妙子の持つペンダントにかくされた秘密。誰の写真?
『二廃人』
温泉宿で出会った2人の男。斎藤氏と井原氏。井原氏の語る自らの過去。夢遊病者として数々の盗難事件を起こしてしまい、殺人事件まで。井原氏の夢遊病を目撃したただ一人の目撃者の秘密。
『双生児』
死刑囚が語る自らが犯した犯罪。財産を相続し自分のかつての恋人を妻にした双子の兄を殺害した男。兄を殺害し自分は朝鮮にいった事にして兄の生活を乗っ取った男。兄の所持品から指紋を取りだし、犯罪を犯してはその指紋スタンプで捜査を撹乱していた。ある強盗殺人での逮捕。警視庁の探偵が調べた指紋の秘密。
『D坂の殺人事件』
明智小五郎シリーズ
D坂にある古本屋の主人の妻が殺害される。喫茶店からの目撃者、裏の目撃者からの証言で現場に出入りしたものがいない。妻の持つ全身の傷の秘密。ソバ屋の妻の身体の傷の秘密。
『心理試験』
明智小五郎シリーズ
大家の老婆の隠し持つ金を狙った藍屋。大家を殺害し大家の財布の金を半分盗み財布を拾ったと届け出た。翌日、大家殺害犯として逮捕された親友・斎藤。事件に疑問を持った判事・笠森の心理試験。心理試験の結果から犯人を推理する明智小五郎。
『黒手組』
明智小五郎シリーズ
「黒手組」と名乗る犯行グループに誘拐された冨美子。身代金を支払ったにも関わらず解放されない登美子。受け渡しを担当した牧田の秘密。父親に禁じられた恋の謎。牧田の持つ手紙にかくされた暗号。
『赤い部屋』
誰にもわからない方法で99人もの人間を殺害したと告白する男。おもちゃのけん銃で会合の参加者を脅し、給仕の娘に自らを撃たせるが・・・。
『日記帳』
死んだ弟の日記帳を読む兄。日記帳に書かれたある女性との恋の物語。日記帳に隠された暗号。
『算盤が恋を語る話』
自分の助手であるS子に恋するT。しかし女性に対して奥手で伝えるすべを持たない。算盤に秘めた暗号。S子からの返信。
『幽霊』
明智小五郎シリーズ
自分を敵として狙う辻堂の死。安心した平田の前にあらわれる辻堂の幽霊。怪しい写真。辻堂の戸籍にかくされた秘密。
『盗難』
ある宗教団体に勤めている時分に盗難された金。警官に化け金を盗んだ盗賊。犯人をつけた男。贋金をつかまされたと告白する盗賊。
『白日夢』
散歩中に私が見かけた男。道の真ん中で演説をする薬屋の真柄太郎。妻を愛するあまり他の男に奪われないように殺害してしまったと告白。妻を5つに切断し屍蝋を作り店先にマネキンとして飾ったとの告白。誰も信じないが私が近づいて見てみると…。
『指輪』
電車の中で出会った男。拾った指輪の話。
『夢遊病者の死』
会社を辞め停職に付かない彦太郎。伯爵邸に住み込み働く父親との対立彦太郎の夢遊病。ある朝庭で殺害された父親。自分の犯行と思った彦太郎の自殺。
『百面相役者』
先輩であるRから見世物小屋に誘われた私。あまりに腕のよい百面相役者。Rが見せる墓から首を盗む泥棒の記事。首を盗まれた遺体の写真とそっくりな百面相役者の変装。百面相役者は首泥棒か。
『屋根裏の散歩者』
明智小五郎シリーズ
人生に退屈した男・郷田三郎。明智小五郎との出会いにより犯罪というもに興味を持つ。引っ越したアパートの屋根裏に侵入し人々の生活を覗き見るが・・。次第に起こる殺人への誘惑。
『一人二役』
僕の友人Tは遊び人で終始遊びほうけている。ある日自分の妻が他人に恋をするスリルを味わいために他人に変装して寝床に入り込む。狙い通り回数を重ねていくたびに妻は変装した自分に心をひかれていく。計画が上手く行き過ぎ嫉妬し始めたTは自分の存在を消すことにするが。
『疑惑』
酒乱の父親の殺害事件。何者かになたの様なもので頭を割られている。妹や母親の怪しい行動。事件現場近くの祠にかくされた秘密。
『人間椅子』
圭子に送られた手紙。椅子職人からの告白。自ら作った椅子の中に潜り込みホテルに侵入し盗みを働こうと計画した男。思惑通りホテルに侵入したが、女性に座られる快感にとりつかれ数ヶ月を過ごす。ホテルから払い下げられた椅子を購入した夫婦の妻に恋した男。2通目の手紙。
『接吻』
新婚の妻が写真に接吻する所を見てしまった山名氏。疑惑を向けた相手は上司である村山課長。疑いのあまり辞表を出してしまった山名氏。
Posted by ブクログ
1話1話読み進めるのに決意が必要だった。この6話だけ読んだので、後々別の話も読み返したいなと思う。江戸川乱歩だけ読みまくるのは大変労力を使う。
二銭銅貨
登場する2人の男関係がよく現れているミステリーだった。新鮮な展開があって感動した。
1枚の切符
前提を覆す系のやつでストレートに物語が進んでいって読みやすかった。ここまでの2つがすごくハマった。
恐ろしき錯誤
これはすごい。一方的に語りかける形式で進んでいき、最後に決定打を与える。爽快。結末も予期できなくて面白かった。
二癈人
これもどんでん返しだった。話している人の身になって考えてしまうので、トリックに全く気づかず最後に驚かされて少し恐怖を感じた。
双生児
面白い。前提となっている条件がひっくり返されるのが江戸川乱歩の作風なのだと理解した。
人間椅子
これをおすすめされて読んだ。不気味だけど描出が美しく引き込まれる。だれも考えつかないようなアイデアでゾッとした。これも最後の展開が面白い。