あらすじ
病理医とは、直接患者と会うことなく病気の原因を調べ診断を下す医者だ。同僚の医師は岸京一郎についてこう語る。「強烈な変人だが、極めて優秀だ」と。患者・作山紀子の標本を見た、岸の指摘。それにより、大家族である作山家と未来の医療が出会うことに!医療は、病理は、ゲノム(遺伝子)に行き着いた。これまで不可能だった治療が、可能なものになる可能性が見えてきた。すべてが実現するのは100年後かもしれない、でも未来はもう始まっている。「未来は始まっている編」スタート!
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遺伝子検査
一部ご紹介します。
・「新しい技術は、新しい問題も引き起こします。遺伝子研究は、病気になる未来をも見えるようにしてしまった」
・「この現実と闘う方法は二つ。いかに早く発症を見つけるか。今ある薬でどう戦うか」
・「近眼も病気も、遺伝子が弾を込め、環境が引き金を引く。これが遺伝子と病気の関係です。
遺伝があっても、必ず病気になるわけじゃありません。
癌は遺伝子の病気です。最初は一つの細胞、それが無限に増殖して、臓器を壊す。
車のアクセルが壊れて踏みっぱなしになった。そのうえ、サイドブレーキとフットブレーキも壊れてしまったら?暴走が始まる。
アクセルは癌遺伝子、ブレーキになる癌抑制遺伝子は、車と同じで2種類。
どちらかが機能していれば癌にはなりませんが、リンチ症候群の患者は、ブレーキの一つが、生まれつき利かなくなっています。
だから癌になりやすいんです。遺伝子自体は治療できませんが、起きてくる症状には対応できます。
そのためには検査が必要です。癌を早く見つけることが大事です」
・「弁解はないよ。目の前の死に瀕した患者に何も提示できない。
それは有効な治療法を作れていない、僕たち医者と医学者全員の責任だ。
インチキ治療がはびこるのも、それが原因だ。…力及びませんでした」
視点の違い
今回の患者のお婆さんと孫の薬に対しての見解の「効くといいね」の意味合いの違いがとても印象に残っている。
現在を見ている孫と、未来を見ているお婆さんの表情の描き方、心情描写の違いは必見。