【感想・ネタバレ】毒猿 新宿鮫2~新装版~のレビュー

あらすじ

凄腕の殺し屋・毒猿(ドウユアン)が新宿に潜入。彼を裏切った台湾マフィアのボス・葉(イエー)が標的だ。孤独な毒猿に心惹かれた奈美は、その復讐劇に呑み込まれていく……。台湾の敏腕刑事・郭(グオ)とともに、毒猿の爪痕を追う鮫島。葉を匿う暴力団・石和組と毒猿の全面対決が迫る! 新宿御苑を舞台にした決戦の果ては!? そして奈美の運命は!? シリーズ最強の敵が鮫島の前に立ちはだかる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第1作をAudibleで久しぶりに聴いたら、すっかりハマってしまって、すぐ続けて聴いたのが2作目にあたるこの『毒猿』だ。

大沢在昌も新宿鮫シリーズの中で最も自信がある作品の一つに挙げているこの『毒猿』は、主人公の警察側、日本のヤクザ、台湾マフィア、そしてそれを追いかける台湾の警察からただ一人日本に降り立った郭という四者が入り乱れて、新宿の街で壮絶な殺し合いを繰り広げる作品だ。

一作目は、『ハードボイルドとしての新宿鮫』という作品の方向性を決定付けた、鮫島というキャラクターを生んだが、本作では鮫島はむしろ脇役と言ってもよく、台湾から流れてきた凄腕の殺し屋「毒猿」と、かつて彼の軍隊時代の親友であり、今では彼を追うことになった刑事・郭が物語の大きな核となる。

この郭と毒猿は台湾の特殊部隊で格闘技を学んだという設定となっており、強烈なテコンドーの蹴りや殺人術、そして超人的な潜水能力を使って、次々と日本人のヤクザをなぎ倒していく。今ではすっかり「ネリチャギ」という技なども市民権を得たと思うが、この時代にテコンドーを使って相手を倒そうという構想を描いた作家はほとんどいないのではないだろうか。2020年代はすっかり大御所となってしまったが、当時はギラギラした野心を持った大沢在昌という作家が、いよいよ飛び立とうとした時代をよく表している気がする。

そして本作の魅力は、結局のところはこの郭と彼が追い続ける毒猿のキャラクターに尽きる。毒猿は殺し屋といえどもいわゆる「イカれた」人間ではなく、寡黙な性格とプロフェッショナルさを感じさせる。その上で人間離れした強さを持っており、物語の最終盤ではヤクザの一つの組を壊滅させるほどの暴力を見せつける。彼は本作の物語の中でも30人以上の人間を殺している。

一方で、彼を追い詰めることになる鮫島と郭は、毒猿と日本のヤクザの思惑に振り回されながらも一歩一歩と捜査を進め、やがて新宿で毒猿と相まみえることになる。しかし、鮫島をもってしても毒猿の凶行を止めることはできず、結局のところ、彼は虫垂炎を悪化させた腹膜炎によって死亡することで物語は幕を閉じる。

物語としては、この三人に加えて中国残留孤児二世の奈美が絡むことで、単なる暴力団の争いを超えて、中国や台湾の関係性、あるいは日本と大陸の関係性を包含した懐の深いものとなった。当時の社会的な背景や国際関係をスパイスに入れるといったところが、本作が愛され続ける一つの要因となっただろうし、当時の日本の文芸界の余裕を感じさせたりもする。とにかく最初から最後まで疾走感が素晴らしく、今であれば間違いなくNetflixでドラマ化が期待されるような作品である。

一点だけ文句をつけるとすると、毒猿の中国語の読み方として「ドゥイワン」とAudibleではずっと発音しているのだが、普通話の発音では「ドゥユエン」の方がより近く、そこだけ中国語話者の自分としては妙に気になってしまったのだった。

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2026年08月02日

ネタバレ 購入済み

33年振りの…。

大学生の頃には、何度も読み返して、NHKでドラマ化された時には『鮫島は舘さんじゃない!!』って怒ったり、この小説が切っ掛けで《新宿御苑》が大好きに成ったり、想い出深い作品です。

鮫島と云う刑事(警部)は《恐れ知らずの一匹狼》かの様に思われがちですが、決して強面のタフガイだからではなく、強い使命感と正義感を持った《信念の刑事》なんです。

だから、台湾の“海兵隊”上がりの殺し屋や刑事には敵わなくても《信念》の部分で共鳴しあえる。そして皆、互いの信念を貫き通す為にぶつかり合うんです。台湾マフィアが傍若無人に新宿中を暴れ回るストーリーですが、彼がそこに立ちはだかる事によって、事件は解決します。

哀しい物語ではあるけれど、新宿という土地の物語でもあるんですよね、『新宿鮫』の魅力は。

今作と『無間人形』は群を抜いて素晴らしい作品です。

#切ない #ドキドキハラハラ #ドロドロ

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今回は”敵”がハッキリしていて、その分ストーリーは一直線に予想通りのラストに向けて走る。疾走感、そして毒猿を中心に追う者、巻き込まれる者それぞれのドラマが重厚に切なく描きこまれていて、第一級のハードボイルトに仕上がっている。
今作は描写がすごく視覚的で、映像化してほしい気持ちはあるが、安っぽいテレビ作品では満足できない。
(既になっているが…)

ただ、毒猿、追う刑事のキャラがしっかり立った分、鮫島が少し後ろに下がってしまったのも残念だし、晶とのエピソードは蛇足でしかない。

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2020年04月24日

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