あらすじ
古代最大の内乱“壬申の乱”は、
大海人皇子(天武天皇)の勝利に終わった。
しかし藤原鎌足の末裔が、天武帝崩御後、
力を伸ばす。
藤原四兄弟は妹・光明子を皇后の座に着け、
天下を牛耳ったも同然だったが、突然、
四人とも病死する。
これは蘇我入鹿の祟りだ!!
恐れおののく光明皇后にこう宣言したのが
怪僧・行信だった。
行信は入鹿の祟りを封じ込めるべく、様々な
手を打っていく。“聖徳太子”という名を贈り、
生前の名誉を回復させるが、祟りは治まらない。
とうとう命を懸けて、行信は最後の手段を!?
運命の兄弟喧嘩、驚天動地のラスト!!
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納得のフィナーレ。
長編歴史ドラマは、ラストをどこに置くか、は難しいところで。
その辺りで少し不安のありましたが、納得のラストです。読者への信頼を感じるというか。きちんと最後まで、描きたかったものを描かれたのではないかと勝手に推測。
悲しくも美しい物語でした。
ついに完結
新しい解釈のもと、編纂された日本書紀の裏側に迫った本作がついに完結。
天智天皇、天武天皇の両主人公から時代が進み、藤原鎌足・不比等ら子孫の光明子と時の帝聖武天皇の世で、どのように蘇我入鹿を鎮めようとしたのかが描かれきっている。
聖徳太子とは一体誰なのかにはじまり、大仏建立に至った経緯、孝謙天皇が即位した成り行き、行信の失脚、そして藤原氏の今日までの隆盛と祟りの行方。
すべて触れ、描き、完結させたのは見事というほかない。
小さなコマに転生したと思しき人物が描かれていたところも、本当は互いをどう思っていたのかが持統天皇目線で語られているところも、読者の心に一抹の清涼を届けてくれたように思う。
謎の多い古代史の中に確かに息づいていた人々に思いを馳せられる良書だと改めて感じる次第。