あらすじ
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マチネ・ポエティクのひとりとして『1946 文学的考察』で文壇に登場して以来、文学、芸術を中心にして政治、社会、思想など多方面にわたる評論・創作活動に従事し、戦後日本を代表する知性ともいうべき加藤周一(1919~ )の、旧制高校時代から1979年までの主な活動を集成する。本著作集は、収録著作を精選し、あらたに「追記」「あとがき」による註を加えた、著者自身の編集になる。
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Posted by ブクログ
『雑種文化』(1956年、講談社)などに収録された論文をまとめています。
著者は、イギリスやフランスの文化が「純粋種」であるのに対して、日本文化を「雑種」と規定し、日本文化から西洋文化を取り除こうとする日本主義も、その反対に日本文化を完全に西洋化しようとする試みもけっして成功しないといいます。そのうえで、このことがはっきりと認識されていないことが、明治以降の日本の歩みに大きな影を落としていると主張します。
近代日本の外の世界に対する関心は、外部「から」学ぶという態度と、外部「に対して」対抗するという態度の二つに分裂しており、こうした分裂が日本の国際的状況の理解を妨げています。外国「に対して」自国を守るという考えは、国家間の関係を武力による権力政治の舞台とみなす考えかたに結びつきます。他方で、こうした貧しい現実主義が、それと対立する理想主義を魅力に乏しいものにしています。内村鑑三が殉教的精神に、夏目漱石が彼のいう「個人主義」に追い込まれていったのもそのせいだと著者はいいます。さらに、こうした観点から著者が一定の評価を与えているのが、大正デモクラシーの中心人物だった吉野作造です。彼は、国際的状況を歴史的に見わたしたうえで、そこに動議の役割の伸張を見いだそうとしました。
このほか、林達夫、森有正、内田義彦、竹内好にかんする解説的な性格の文章や、太平洋戦争への知識人の関与を批判的に考察した「戦争と知識人」という論考などが収録されています。