【感想・ネタバレ】プレゼント(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

これはこれまで小説を愛してきてくれた人へ、そしてこれから小説の世界に一歩踏み出す人へ贈るプレゼント。何気なく読んだ物語が、ふと目にした一行が、意外な言葉ひとつが、人生を大きく変えるかもしれない。現代を代表する7人の作家が「夏」をテーマに書き下ろした、驚きと切なさ、怖さと美しさ、何よりとびきりの面白さを詰め込んだ奇跡の一冊。さぁ、あなたの人生に小説という選択肢を。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 珠玉のアンソロジー。まさに物語のプレゼントだった。このアンソロジーを「プレゼント」と名付けた方はきっと天才である。
「新潮文庫の100冊」の50年分の願いがぎゅっと詰まっているように思った。多くの人に物語よ届け、という切なる願いが⋯

[ウッドペッカー荘事件]
「名探偵・白河ヨフネ」シリーズ、読んでみたいなぁ。そんな風に呑気に構えていると、想像の遙か先をいくオチにやられた。
 見事な伏線。その鮮やかな回収。なんて贅沢な短編なのだろうと思った。これだから、伊坂幸太郎作品はやめられないんだ。

[二つの宇宙]
 江國香織さんの作品は初めて読んだ。
 恋愛小説でもあり、家族小説でもある。今まで読んだことの無いジャンルで新鮮。
 おばあちゃん子の主人公と、いずれ別れることが明示されている恋人との出来事が描かれる。おかしさと切なさの塩梅が良い。
 主人公のおばあちゃんはとても個性的で、振り回される主人公が面白かった。

[真実のトランク]
 途中でSF要素が出てきたのが意外だったし、ホラーの要素も若干あるのだろう。宮部みゆき作品らしい、主人公をはじめとするキャラたちの織り成す人間ドラマの芳醇さは折り紙つき。人の真実とは何か。それはきっと誰にも分からない。けれど、分かろうとすることが、生きるということなのかも⋯

[きっとあの日の光と同じ]
「コンビニ兄弟」の番外編。同作は未読なのだが、本作が初読でも問題は無かった。
 甘酸っぱいよ、恋模様が。その後のふたりの変転も面白くて切なくて、なんつう純愛なんだよと、心がとても温かくなった。
 本作の主人公の親友の康生は、本編のレギュラー・キャラクターなのだろうか?

[無明]
 心抉られる社会派ミステリ。読んでいるときの感覚は中山七里さんの「護られなかった者たちへ」に近い。やるせなくて、やるせなくて、堪らない。母が子を守るために選んだ方法は、善悪の基準を超えている。その境界を踏み越えさせたのは、夏の暑さか、この国の抱える矛盾か。考えさせれた。

[見越しのマツ]
 梨木香歩さんの作品は初めて読んだ。
 読みながら、確かに自分の住んでいる町にもシンボルというかランドマークというか、そういう存在があったことを思い出した。
 幼少期から当たり前に存在していたそれが失われたとき、見守ってくれていた存在が無くなってしまったかのような喪失感に、切ない気持ちになった記憶も同時に蘇った。

[伝説の季節]
 恩田陸さんの作品は初めて読んだ。
 おそらく「六番目の小夜子」のスピンオフもしくは後日譚だろう。同作は未読だが、切なさもある、ちょっと怖いホラー(と言うより「怪談」と言った方が適切かも)感が絶妙で、夏に読むのにぴったりだなと思った。

0
2026年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

魅力的な短編集。すべて長編でも読んでみたいと思わせる、技量の詰まったお話ばかりだった。

テーマである「夏」の暑さにもさまざまあるなと感じた。爽やかな青春を想起させることもあれば、茹だるような、殺気に満ちた暑さもあり、同テーマでも作家ごとの特徴がはっきりとでており、楽しむことができた。

特に良かったもの
「ウッドペッカー荘殺人事件」 伊坂幸太郎
これはぜひシリーズで見てみたい。どうにかなりませんかね?

0
2026年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

伊坂幸太郎の書き下ろしが載っているということもあり購入。
他の作家も名のある人ばかりで読み応えもあるだろうと思ったので。

肝心の伊坂作品はAI関連で途中まで何が何やらでネタバラシ後もイマイチすっきりせず。
風変わりな探偵とその相棒、という構図や白河ヨフネのキャラクターは伊坂作品ぽくて良いのですがストーリーは少し大味でした。

他の作品も全部面白く、あっという間に読み終わったのですが中でも「二つの宇宙」がお気に入りでした。人見知りのおばあちゃんというキャラクター、おばあちゃんと彼女の宇宙が重なり合うドキドキ感、大学生っぽい青春を感じました。
他にも「真実のトランク」の昭和感(バブル感)、「
きっとあの日の光と同じ」の高校生の純愛と友情のバランスの面白さ、「見越しのマツ」の引きこもりとの共闘のドタバタ感何かは好きでした。

一方で「無明」の救いのなさと「伝説の季節」の不穏なラストは少し合わなかったかなと思います。

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2026年06月29日

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