あらすじ
サマーサイド高校校長として赴任したアンを迎えたのは、敵意に満ちた町の有力者一族、人間嫌いの副校長、意地悪な生徒たちだった。持ち前のユーモアと忍耐で彼らの信頼と愛情をかち得たアンが、忠実なレベッカ・デューや猫のダスティ・ミラーとともに、2人の未亡人たちの家〈柳風荘(ウィンディ・ウィローズ)〉で過した3年間を、レドモンド医科大で学ぶ婚約者ギルバートに宛てた愛の手紙で綴る。
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Posted by ブクログ
≪内容覚書≫
ギルバートと婚約したアン。
彼が医科を終えるまで、サマーサイドで校長として働くことになる。
その婚約期間のお話。
アンの愛があふれる手紙を交え、ささいな日常が語られていく。
≪感想≫
いいことばかりがあるのが、幸福、じゃないよなー、と、
しみじみ思わされる1冊。
プリングルスの一族や、キャサリンなど、
悩みも多い中、それでも前進していくアンに生きる希望をもらえる。
あと、かぼちゃの砂糖漬け。
これ、いったい、どんな食べ物なのか。
食べてみたい。
レシピ検索してもひっかからないんだが、とても気になる。
個人的には、甘納豆のかぼちゃ版をイメージ中。
文章で食べ物に興味を持たせられるモンゴメリを尊敬する。
Posted by ブクログ
再読だからと、隙間時間にチビチビ読んでいたら、トータルすごい長い時間をかけて読み終わることになってしまいました。
こういう読み方はレビューを書くにはよくないですね、初めの方の記憶が曖昧で・・・(汗)
サマーサイド高校の校長として赴任したアンの3年間の日々が描かれるのがアンシリーズ5の本書。アンがサマーサイドでのあれこれを、レドモンドで研究を続けているギルバート宛に手紙で綴るといった形式が本書の多くを占めています。このような特徴で思い出すのはジーン・ウェブスターの「あしながおじさん」ですが、それとも少し違う形式でした。
本書でのアンの家は2人の未亡人と家事全般を取り仕切るレベッカ・デュー、そして猫のダスティ・ミラーが住む柳風荘。ウィンディ・ウィローズと読むようで、レドモンドでのパティの家に続き、またまた素敵なお屋敷が目に浮かぶようでした。
この町の有力者であるプリングル一家のアンへの嫌がらせ(新人校長へのいじめですね)はすごい。自分に置き換えると耐えられずに逃げ出すこと確実ですが、「あぁ、あのアンもこんなことに耐えてるんだ、私もがんばろう。」と勇気をもらえました。アンはそのような状況でも、アンたる芯は失わず、アヴォンリーを心から愛し、美しいものを愛で、ギルバートへはアンらしい手紙をつづり、大家とその家政婦の三人からは好かれ、有意義な日々を送っていきます。
ギブソン夫人など、一癖も二癖もある人とうまくやり取りしていくのはさすがといったところで、結果的には、持ち前のユーモアと忍耐でプリングル一家からの信頼を勝ち得ます。
プリングル一家の他にもアンを悩ませたのが、同僚のキャサリン。固い殻に閉じこもり、卑屈な性格でアンを言葉や態度で攻撃さえしますが、それでもキャサリンを放っておけないアンは、休暇をグリーンゲイブルズで一緒に過ごそうと招待します。そこからのキャサリンの変わりようはすごかったですが、これもアンの魅力的な人柄が他人に良い影響を与えたという好例でしょう。
最後に、小さなエリザベスに「明日」が訪れて良かった。アンはこの小さなエリザベスを放って、サマーサイドを去ることなど、絶対にできなかったでしょう。
本書を通じて、アンの良き理解者であり、良いキャラクターであったレベッカ・デューの、アンとの別れを心の底から悲しんでいる様子が、とても感動的な終わり方でした。
Posted by ブクログ
「アンの愛情」でやっとアンとギルバートが気持ちを確かめ合ってから、時間をかけてより親密になるまでの「間」
(ふたりのやりとりとか、
それまでずっとギルバートに親友以上を許さなかったアンの、恋人へ関係が変わったことによる戸惑いとか恥じらい)
を読みたかったから、ギルバートが手紙のやりとりの形でしかほぼ登場せずにセリフがなかったことがすごく残念でした。
間をとばして、「アンの夢の家」でいきなり親密な夫婦になっているんだもん。
キャサリン・ブルックが大好き。
こういう、自分のことが大嫌いで強い劣等感・自己否定感を持った人物をも登場させて魅力的に描くモンゴメリに感服。
アレンとテディとジェームズのお話も好き。
エリザベスはよかったね。