【感想・ネタバレ】海街diary 1 蝉時雨のやむ頃のレビュー

あらすじ

男の部屋で朝を迎えた三姉妹の次女・佳乃(よしの)に父の訃報(ふほう)が届いた。母との離婚で長い間会っていない父の死に、なんの感慨もわかない佳乃は…。鎌倉(かまくら)を舞台に家族の「絆(きずな)」を描いた限りなく切なく、限りなく優しい吉田秋生の新シリーズ!!

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稲村ヶ崎、佐助稲荷、江ノ電のホーム…読むたびに潮の匂いが蘇る。鎌倉・湘南も吉田秋生さんも大好きな私にとって、まさに俺得な作品です。
29歳・22歳・19歳の姉妹と13歳の腹違いの“妹”が、父の死をきっかけに一緒に暮らすところから始まる物語。1995年発表の『ラヴァーズ・キス』と設定が一部リンクしているので、併せて読むのもおすすめです。
エピソードのそれぞれが、誰もがいつか直面する人生のワンシーンです。死にゆく人との向き合い方、実らぬ恋の終わらせ方、抗えない現実を受け入れる方法…と並べると深刻なようですが、吉田先生のタッチと相まって読後感はとても清々しいです。
モノローグの一つ一つが印象的で、中でも「死ぬために故郷へ帰ってきた人と 生きるために故郷を棄てようとする人 どちらもつらく悲しい」(2巻より)という一節は、ふるさとの意味を考えさせられます。それでも鎌倉は山も海もただ静かに在って、人々を見守り見送る街として描かれています。読めばきっと鎌倉を歩きたくなりますよ。

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上質な家族のドラマ

数十年ぶり(!)に吉田秋生作品を読みました。
こんな絵だったっけ?というのは置いておいて(笑)、
離婚や死別といった家族をめぐる重いテーマを、軽く、明るく、面白く描いています。それでいて深い。
素晴らしい作品に出会えました。

主人公が4姉妹というのもいいですね。
家族それぞれの事情が複雑なストーリーとして絡み合って、物語に厚みがあります。上質な家族ドラマを見ているよう。
ちょっと出来過ぎなくらい絶妙に交錯する登場人物たちの日常に、鎌倉という「場所」がリアリティを与えてくれています。

そう、やっぱり鎌倉という土地があってこその物語なんですよね。久々に訪ねてみたくなりました。

3
2013年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

我が家では吉田秋生については、うかつなことは書けない。読みたければ、いつでも読めるのだが、「ちょっと、それ、ページをぎゅーって開かんといてくれる。」とか言われちゃうので、読むのも、少々気を遣う。とはいいながら、映画「海街diary」を観て、ここは、どうしてもという気分で、原作の「海街diary1~8」(小学館)をトイレなんかに持ち込まずに読み終えた。

吉田秋生のマンガの特徴について、一般論というか、マンガとしてどうなのかということは、ここでは、あまり言う気はない。一つだけいえば、クローズアップの描線の鋭さ、それと、おそらくセットになっている登場人物の表情の厳しさ。その結果、傑作「バナナフィッシュ」なんて、登場人物が、男なのか女なのかよくわからないノンセクシャルな表情をしていて、漫画家のきつい性分のようなものを感じさせる。それが彼女のマンガの魅力なのだが、まあ、印象は人それぞれだろう。

ともあれ、読後の印象は映画を観た感想とは全く違っていた。映画は過ぎ去った時間や家族の死からの再生の物語、新しい出発のための助走の姿を映しているのだが、なんとなくの「暗さ」が漂っているように感じたのだが、原作のマンガの中で、娘たちは過去の時間に憑りつかれたりしていない。

父親や家族、知り合いの死や、娘たちだけで暮らす古い民家のたたずまいや、歴史に彩られた鎌倉の街の風景は、確かに、彼女たちの境遇を取り巻いているし、物語の主人公にふさわしい、独特な背景、あるいは舞台を作り出している。しかし、それが過去をクローズアップして、登場人物たちを縛り付けるような印象はない。

原作の中では、登場人物たちは生き生きと生きているのだ。

たとえば、第8巻の表紙絵の階段を駆け上っていく四女スズの後ろに広がるのは、父が捨てた街の風景ではなく、その街の上にひろがっている今日の青空だ。

ぼくが最も印象深く読んだ、第5巻「群青」にあるシーンだが、海猫食堂のおばさんの死に際して、四女スズのダイアリーであるだろうモノローグが、こんなふうに四角囲みで書き込まれている。

入院して
3週間後

山猫亭の福田さん
豪福寺の和尚さん
将志の一家に
見守られて

海猫食堂の
おばさんは
亡くなりました

神様は
気まぐれで
時々ひどい
意地悪を
するので

でも

晴れた日は
空が青い
どんな気持ちの時もそれはかわらない

それだけは
神様に
感謝したいと
想います


海街の日々を生きる人々の上には、晴れた日の青い空が広がっている。時間は、さまざまな可能性をはぐくんで、過去から未来に向けてゆったりと流れている。四姉妹と彼女たちを取り巻く人々の生活や人柄は、重なり合う時間の厚みが丁寧に書き込まれて、明るく深い。コミカルなギャグと繊細な描画の組み合わせが、物語の展開を支えていて、読者にゆっくり読むことを促しているように思える。いまさらいうまでもないが、傑作だ。(S)

1
2019年01月29日

匿名

ネタバレ 無料版購入済み

期間限定の無料版を購入して、よみました。絵もストーリーも好みで、とても大好きな作品です。昔から好きな作家さんで、紙の本で持っていたのですが、手放してしまったので、電子書籍でもそろえたくなりました。

0
2024年09月01日

ネタバレ

これは少女漫画ではなく。

成人漫画だった。絵は可愛くて、青春ものか〜と思っていた。タイトルも綺麗だし。
でも、始まりはベッドで、異母姉妹、不倫、幻肢となかなかのパワーワードが満載。柔らかいタッチの画風の社会派漫画なのか。

#泣ける #深い

0
2023年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父のお葬式のシーンでのさち姉の台詞が最高。
喪主の挨拶を妻が子供のすずにやらせようとした時の言葉。
「これはおとなの仕事です。おとなのするべき仕事を子どもに肩代わりさせてはいけないと思います。子どもであることを奪われた子どもほど哀しいものはありません。」
かっこよすぎる。

0
2022年02月20日

ネタバレ 購入済み

素敵な姉妹愛

以前映画の宣伝を見た時から気になってましたが、初めて読みました!親から早く離れた子供達は早く大人になってしまったんですね。すずがまた子供でいられる場所ができて良かった。すずとの出会いで、鎌倉3姉妹の中のお父さんの記憶が優しい物に変わって良かった。

0
2020年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を見てとても良かったので読んでみた。
原作は漫画だとは把握していたが、
吉田先生作品だとは思っていなかった。
流石に人間の情感の繊細な描き方が素晴らしい。

自分も近い経験があるので、
お通夜に行って
知らないおじさんが死んでる
という感覚、すごくよくわかる。

大人のすべき事を子供に肩代わりさせるなと
シャチ姉がはっきり言ってくれてほっとした。
父を看取ってくれてありがとうと言えるのも大人だ。

4人で街を見渡せる場所で
写真を見ながら泣くシーンが好きだ。
こういうのが本当の弔いとすら思う。

すずちゃんが馴染むのが早いのも
三姉妹の温かさを感じる。

すずちゃんが高低差をものともせず近道を使っていたのは
サッカーで日頃から鍛えられていたからなのか。
学校でもサッカーでもどんどん馴染んでいって
多分元の家にいたら出せなかった自然な姿で
いられるのではないかと思うと
本当に良かったなと思う。

見学に行った時うまいなと思った子たちと共にプレイして
仲良くなって、一番うまいと言われていた裕也が病気になって
人生色々過ぎてしんどい。
すずが彼の気持ちにとても配慮している姿がしっかりしていると思う反面
そうならざるを得なかった環境のことも考えてしまう。

0
2025年04月27日

匿名

ネタバレ 無料版購入済み

四人家族

その日、香田三姉妹の次女である佳乃はケータイにいっぱいある長女の幸からの着信音で早朝に起こされた。
すぐにかけ直して欲しいとのメールに電話をかけると十五年前に母親と離婚して家を出て行った父親が亡くなったという報せだった。
家に戻ると妹の千佳が幸と出迎えてくれた。
なんでも父親は今山形の旅館の家の女性と結婚していること、その前に結婚した女性とは死別したこと、さらにその女性との間に娘がいることなど知らない事実が満載だった。
父親が亡くなったものの十五年離れていたためなんの感情も浮かばない佳乃。
葬儀は仕事の都合で行けない幸は欠席するので千佳と二人で山形に行くことになった。
葬儀のため山形に行くのに佳乃はヘソ出しファッションで、千佳はアフロヘアで行くという状態になる。
電車を乗り継ぎ着いた先は信じられないくらいの田舎だったことに驚愕する二人。
そんな彼女たちに声をかけてくる少女がいて……。

こういう複雑な家族関係はいろいろ大変だよなぁと思う作品だった。

0
2022年12月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画をテレビで見て、原作を読んでみようと。
映画が原作のテイストをそのまま持っていたのだと感じた。時間の制約があるから端折らざるを得ないところもあったのだろうが。

0
2021年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前、読んだのだけれど、改めて。

すずが、告別式の挨拶をすると言った時のさち姉の言葉。
映画でも見ているので、知っているのに泣ける。。

0
2020年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まだまだ序章という感じ。
各話のタイトルのつけ方がすごくいいよなー、と本屋で見かけてる時から思ってた。

映画のキャスティングはちょっと違うイメージ。
ちょっと見たかったけど、読んだら映画見る気なくなった……。

0
2015年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

静かな街の4姉妹。

作者らしいさらっとした描き方で、つられてこちらもさらっと読んでしまうのですが、振り返ると「えらいことになってた話だよね…?」となる。
感動とかそういうのとは別の、考えてみれば全然さらっとしてないよね、という。

特に目新しいところのある話でもないし、多分現実にごろごろあるような出来事の羅列なのだろうけれど、それでも「物語」としてきっちり成立しているところがこの作者の凄いところなんだろうなと思う。

あ、2巻買いました。

0
2018年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この間映画を観たので、原作を読んでみる。

映画だと腹違いの妹のイメージが大きかったが
原作だと姉妹それぞれ、また周りの友人、友人の兄弟や親せきが繋がったりしていて
(古くから住み続けている土地柄だろうか?他作品に登場するキャラクターが今作に登場しているようだ)
鎌倉に住む人達、という印象。

次女の失恋や四女の友人の病気による足切断など、四女の両親がいない設定がそこまで強烈に感じないくらい、人には色々な事が起こるのだなぁ、と思った。

0
2017年02月06日

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