【感想・ネタバレ】再生 角川ホラー文庫ベストセレクションのレビュー

あらすじ

1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を厳選収録したベストセレクションが登場。大学助教授の〈私〉が病院で知り合った美しい女性、由尹。ミステリアスな雰囲気をたたえた彼女は、自分の体は呪われていると告げる。ともに暮らし始めた二人だが、やがて悲劇的な事件に見舞われて……。ミステリとホラーの巨匠・綾辻行人90年代初頭に執筆した傑作「再生」をはじめ、『リング』の鈴木光司が東京湾のクルーズ船を舞台に戦慄の一夜を描いた「夢の島クルーズ」、故・今邑彩が角川ホラー文庫のために書き下ろした不穏な物件ホラー「鳥の巣」、の第72回日本推理作家協会賞に輝いた澤村伊智の学園ホラー「学校は死の匂い」など、バラエティ豊かに、ホラージャンルの面白さと可能性を示す全8編。最高にして最恐、これが日本のホラー小説だ。ホラー評論家・ライターの朝宮運河セレクション。

収録作は以下の通り。
綾辻行人 「再生」(『亀裂』、『眼球綺譚』)
鈴木光司 「夢の島クルーズ」(『仄暗い水の底から』)
井上雅彦 「よけいなものが」(『怪奇幻想短編集 異形博覧会』)
福澤徹三 「五月の陥穽」(『怪談歳時記 12か月の悪夢』)
今邑彩 「鳥の巣」(『惨劇で祝う五つの記念日 かなわぬ想い』)
岩井志麻子「依って件の如し」(『ぼっけえ、きょうてえ』)
小池真理子 「ゾフィーの手袋」(『異形のものたち』)
澤村伊智 「学校は死の匂い」(『などらきの首』)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

8篇のホラーアンソロジー。
どの作品もすんなりとその世界に連れて行ってくれてとても楽しめた。
「よけいなものが」(井上雅彦)では、短い会話文の中に違和感をするっと埋め込んできていて凄かった。気づいたときには役割がひとつズレて堂々巡り。抜け出せるきっかけが見つからない。
「依って件の如し」(岩井志麻子)はバラバラに思えた話がひとつに繋がってゾッとさせられ、読後に余韻を残す話だった。
「ゾフィーの手袋」(小池真理子)は主人公が何ひとつ悪くないのでひたすら気の毒だったのだが、あっさりした文章が好みだった。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ホラーも、文章なら耐えられるようになった気がします。面白かった。
ショートショートの広場で初読だったらしくて読みたかった「よけいなものが」を再び読めて嬉しいです。
「依って件のごとし」が哀しくてよかった。さすが志麻子…「再生」は弱い富◯か…好き。
澤村伊智さんのお話も初読だったので、この姉妹は比嘉姉妹だったのだと他のレビューを読んで知りました。

0
2024年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カバーイラストは濱口真央。

■綾辻行人 「再生」 (『亀裂』、『眼球綺譚』)
中高生の頃に既読。再読。
思った以上に・・・・の「・・」で笑ってしまった。

■鈴木光司 「夢の島クルーズ」 (『仄暗い水の底から』)
中高生の頃に既読。再読。
当時はすごい大人の話だと思っていたが、マルチ勧誘というしょぼさとヨットという対比が、実に大人っぽい。
またヨット好きの作者らしい描写(専門用語)もきりっとしている。

■井上雅彦 「よけいなものが」 (『怪奇幻想短編集 異形博覧会』)★
面白いアイデア。
よく会話文が連続するときに陥りがちな混乱を逆手にとって。巧み。

■福澤徹三 「五月の陥穽」 (『怪談歳時記 12か月の悪夢』)★
こ……、これは実に嫌な小説!
というのも子供の頃、こういう夢をよく見た。
天井裏の筒状の通路に入ったはいいがつっかえてしまうとか。
あるいは今も時々見ているかもしれない。
いやないやな描写だ。
純・物理的ホラー描写に、笑うしかない。
とってつけたような怨みも笑ってしまった。

■今邑彩 「鳥の巣」 (『惨劇で祝う五つの記念日 かなわぬ想い』)
正統なホラーで、巧い。
映画「・・・・・・・・」あたりを思い出すが、その公開より早い。

■岩井志麻子 「依って件の如し」 (『ぼっけえ、きょうてえ』)
最近既読。

■小池真理子 「ゾフィーの手袋」 (『異形のものたち』)
解説に森鷗外「舞姫」を彷彿とさせるとあり、なるほど。
単著としては「恋」を読んだのみで、あとは「アイロンのある風景 日本文学100年の名作」「平成怪奇小説傑作集1」や「家が呼ぶー物件ホラー傑作選」で知るだけの作家だが、かなり怪奇小説を手掛けているな。
皆川博子の推薦もあるし、この作家には手を伸ばしてみたいかも。

■澤村伊智  「学校は死の匂い」 (『などらきの首』)
最近既読。

◇解説 朝宮運河

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2023年10月24日

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