あらすじ
バナナフィッシュをめぐるアッシュとディノ・ゴルツィネの闘いは、ディノの勝利で終わったかのように思えた。アッシュを手に入れたディノは、彼を養子にしてコルシカ人財団内で自らの後継者として認めさせる。英二を人質にとられた形のアッシュは心ならずもそれに従わなければならなかった。一方、月龍(ユエルン)は白(ブランカ)の実力を目の当たりにして、彼を雇おうとする。一旦断られた月龍は、彼の弱味を握り、自らの用心棒になることを承知させた。だが、それはブランカにとって前の仕事に縛られなくなることを意味していた。英二たちが救出に来た時に、ブランカからそれを告げられたアッシュは…。
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「人間は運命をかえることができる 豹にない知恵をもって… そしてきみは豹じゃあない そうだろ?」
「バナナフィッシュ」という謎の言葉を巡るマフィアとストリートキッズの抗争が、国家の陰謀にまで発展していくという少女マンガらしからぬ骨太ストーリーと、アッシュと英二の絆がこの作品の魅力です。
高いIQと身体能力、美貌を兼ね備えたアッシュ。容赦なく人を殺す冷徹さと年相応の無邪気さ…十代で二つの顔を持たざるを得なかったアッシュの生い立ちはかなりハードですが、彼の心を救うのは銃を持ったことさえない日本人の英二でした。
第8巻にヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』の豹の話が出てきます。“死”について考えたことがあるか、と問うアッシュに、英二は冒頭の台詞で答えます。ストリートキッズのボスであるアッシュに臆せず対等に向き合う英二だから言える、友への言葉。
血腥い世界で見返りを求めない友情がいかに難しく、そして奇跡のようなことか。この作品を読み返す度に涙し、マンハッタンに思いを馳せています。
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