【感想・ネタバレ】NANA―ナナ― 9のレビュー

「自分にとって一番大切なものはみんな違うんだから」

正反対の性格の小松奈々と大崎ナナ。同じ名前の少女が出会い、それぞれの幸せと向き合う。平成が舞台の本格青春ストーリー!

冒頭のセリフは、作中で最も心に響いた言葉です。カリスマバンドのボーカルを務めるナナと恋愛最優先な生活を送る奈々。性格も生活も全く異なる2人が、お互いのことを真剣に理解しようとする姿に心動かされます。現在私たちの生活では、SNSで周りの近況を知り、会いたい人には簡単に連絡を取れるのが当たり前。そんな時代を生きているからこそ、私は作中の2人の「接点が少なくても心の距離は近い」関係性が羨ましいと感じました。
読めば必ず『NANA』の世界観に引き込まれること、間違いなしです!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

友達が隣の部屋にいるのに手を出してくるタクミは
本当にデリカシーが無いしモラハラ男なのだが
俺の怒りを鎮めろというのは確かにそうで
タクミの立場からしたらいじけて他の男と寝た挙げ句
こんなことになっているのは奈々なのだ。

レイラのことを考えている時にかかってきた電話に
なんでもする、と答えたら他の男の電話番号を教えて
という頼み事なシンちゃんもかなり切ない。
みんなの駆け込み寺になっているヤスもしんどいなと思う。
その度仕事を抜けてタクシーで帰って、なんてしていたら
仕事もまともに続けられない気がする。

2つともグラスが割れてしまったこと、
奈々からしたらナナがブチギレて割ったとしか思えないだろうし
ナナは割れたかどうかも覚えていない。
このすれ違い方もとても辛いものがある。
二人共相手のことが大事で、グラスも本当に大事に思っていることは同じなのに。
自分が割ったことを覚えていないから、グラスをひとつだけ買って謝ろうと考えているシーンも悲しくなる。

スタッフにまで怒鳴り散らすタクミは本当にモラ男なのだが
レイラを歌姫として大事に思っていても恋愛感情は無いし
だからずっと気づかないふりをしてきたというのは
それはそれで大変だっただろうとは思う。
トラネスにレンがいなかったら、タクミが諸々さらけ出せる相手はいなかったのではないだろうか。
『城』が大きくなったら窮屈になるジレンマ。

レイラの歌っていなければ価値がない、という台詞は苦しくなる。
レイラを我儘だという感想を言う人も結構見かけるが
確かに我儘に見えるのだろうがこれは自己肯定感が低いからこそで
レイラも相当可哀想な人だと思う。

ナナは奈々のことが大好きだけれど、
ノブへの信頼も本当に強くて、ノブを「頼りなくなんか無い」と言って泣くシーンもきゅんとする。
だからハチと仲直りできないというのは、わかる理屈だけれどやっぱり切ない。
友達なら真っ先に駆けつけて話を聞いてやれ、と言うのがノブなのだし
友達でいたかったのだからそうできていたらまだ良かったのに。

ヤスと川野さんの会話は良心のある大人同士という感じで
唯一と言っていいレベルで落ち着く。

何も事情をわかっていないからこその
リップサービスだとしても、味方だよというシンの言葉は嬉しい。
一瞬で奈々の事情だけでなくレイラのことまで
全てを察するところは流石だ。

別れの手紙ではなくラブレターだ、
会いに行ってやれヒーローとはそういうものだ
というレンの言葉が好き。
この先どうするかまでは考えないにしても
折角買ったグラスを持って謝りに行くくらいは
してもいいのにと思う。

0
2023年10月29日

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