あらすじ
駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。大事な探しものがある人は、必ずここで見つけられるという。今日、その扉をくぐるのは・・・? 慌しく過ぎていく毎日の中で、誰もが覚えのある戸惑いや痛み、矛盾や切なさ。それらすべてをやわらかく受け止めて、昇華させてくれる5つの物語。
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Posted by ブクログ
2006年刊の児童書の加筆文庫化で、5短編
ふだんはお稲荷さんのお堂がある場所に出現する、欲しいものが必ずあるコンビニが生む奇跡の物語。
出色は猫好きの村山さんらしい「あんず」。
子猫のあんずは1年前に母親が病死したとき、少年に拾われて家族に加わったが、自分の死期を悟り、コンビニで人間の姿になれるが正体を明かすと死んでしまうというキャンディを買い、1日だけ従姉妹だと誤解されて家族とすごし、感謝と星空で待っていることを伝えて消えてしまう。
少年はその後コンビニであんずの首輪を見つけるという切ない話で、泣かされる。
ほかに、気になる女の子が転校するときにくれようとしたメメ帳を見つける表題作。母親にリカちゃん人形を捨てられた女の子が、母親が祖母に捨てられた人形を見つける(毒親は連鎖する!)「手をつないで」。アナウンサーの声が時空を超えて未来や、空襲で焼けた町の人々を勇気づける「桜の声」。生まれたときから一緒だったテレビが壊れてお別れを惜しむ1年生の女の子が、意識をもつテレビの魂が変わった光の粒をもらう「あるテレビの物語」。