小川原正道のレビュー一覧

  • 地図と読む日本の歴史人物

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    聖徳太子から渋沢栄一といった歴史上の人物の軌跡を地図をあわせて簡単に解説した一冊。人物ごとにその妻や娘などの大きく影響を与えた女性についても紹介している。
    そこまでボリュームの大きい本ではないので各人物についてより詳しく知るなら別の書籍を読んだほうがいいだろう。

    こうして地図上で辿った道や史跡などを見るとかなりの長距離を移動していたことがわかる。
    いまでこそ電車や車があるのに同じ地域にとどまる人が大半だと思うが、徒歩や馬でここまで移動できたことは信じられないほど苦労が伴ったように思う。

    また、度々女性についても紹介しつつ津田梅子の章で締められていて、なかなか焦点を当てられてこなかった女性を

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    2024年08月05日
  • 福沢諭吉 変貌する肖像 ――文明の先導者から文化人の象徴へ

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    福沢諭吉が、その生前から現代にいたるまで、どのように評価されてきたのかということをまとめている本です。

    功利主義の立場に近しい福沢とその門下生たちに対して、同時代の人びとは「拝金宗」という批判を投げかけました。その後、帝国主義者となった徳富蘇峰などによって、福沢が国家をないがしろにしているという批判が強まり、小泉信三は福沢の愛国者としての側面を示して反論をおこなうなど、その評価をめぐって論戦がくりひろげられました。さらに、戦後の福沢研究をリードした丸山眞男は、福沢の思想のうちで個人主義と国家主義がせめぎあいつつも統合されていたことを明らかにしました。その一方で、服部之総や遠山茂樹などマルクス

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    2024年06月12日
  • 独立のすすめ 福沢諭吉演説集

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    福沢諭吉の考え方、思想を理解する上で最初に読んだ方が良いと思う良書。
    知識交換により、民主的なより良き法治国家を作って行こうとする諭吉の気概が感じられる。
    また、酒池肉林の宴会を止めよ、法律を学ぶ事の重要性を説いており、共感できる点が多かった。

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    2023年02月25日
  • 明治日本はアメリカから何を学んだのか 米国留学生と『坂の上の雲』の時代

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    大本は、条約改正が、目指した目標なんだろうな。

    目標達成するため情報格差を自覚し、その壁を越えるための留学をする旧士族の若者たち。
    日米双方の理念と友誼が、その時代状況、日露戦争ぐらいまでは、上手く嵌っていた。
    双方共、知らない量が良いバランスだったのだな。

    結局は、条約とか条文とかに対する宗教も踏まえた言語体系が、情報処理感覚の根本的な差異と相まって亀裂を生み、国内状況に影響し合って戦争へと向かったのか。
    ある意味、天祐のような時代だったんだな。
    まぁ、太平洋を隔てての、ご近所になった結果だね。

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    2022年01月09日
  • 小泉信三―天皇の師として、自由主義者として

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    「霊前にしばしの時をすわりおれば みみにうかびぬありし日の声」

    その死に際して未亡人に贈られた今上天皇の弔歌である。

    小泉信三。皇太子時代の今上天皇の東宮御教育常時参与であり、
    慶応義塾長であり、マルクス主義批判者であり、経済学者である。

    このうち、私が知っているのは東宮御教育常時参与であったこと
    と、慶応義塾長だったことくらい。特に今上天皇に多大なる影響
    を与えた人として興味を惹かれる人物である。

    その小泉信三が、先の大戦中は戦意高揚に一役買い、塾生たちの
    愛国心を煽っていたとは。平和を願ってやまない今上天皇の家庭
    教師のような存在だったので、彼が戦中に展開した戦争

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    2019年03月03日
  • 西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦

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    気安く読める内容ではない。かなりしっかり書かれた歴史書。時系列的に書いてある。小説ではなく淡々と資料を基にした史実が書かれている。

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    2018年12月18日
  • 西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦

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    西南戦争の前後に何が起きたか時系列に整理した本。

    この本の立場は 西南戦争は 士族、薩軍(私学校党)による 近代化、西洋化、腐敗政府、専制政治への反乱、征韓論など 多様な原因により 起きたとした

    西南戦争について、西郷隆盛の大義名分は 見当たらないが、西南戦争の前後における 西郷隆盛の大き過ぎる存在感だけは 理解できた

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    2017年12月27日
  • 近代日本の戦争と宗教

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    ネタバレ

    幕末から日露戦争まで、仏教・神道・キリスト教の各派の戦争「適応」「従属」から何を学ぶか。


    近代日本というドラマを創造するさい、宗教はどのような役割を果たしたのだろうか。戦争という切り口からその歩みを丹念にスケッチしたのが小川原正道『近代日本の戦争と宗教』(講談社選書メチエ、2010年)である。

    著者は、『大教院の研究』(慶應義塾大学出版会、2004年)や『西南戦争』(中公新書、2007年)で知られる近代日本の研究者。本書は「新書」以上「専門書」未満といる「メチエ」の一冊だが、なかなか本格的な労作だ。

    タイトルの『近代日本の戦争と宗教』の通り、近代日本の歩みとは戦争の歴史にほかならない。

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    2012年04月26日