あらすじ
戦前は自由主義経済学者、マルクス主義批判の知識人、慶應義塾長として知られた小泉信三(1888~1966)。戦中は好戦的発言を繰り返す中、空襲で全身火傷を負う。戦後は皇太子教育の全権委任者として、敗戦で揺らぐ皇室を支え、美智子妃を迎えるなど象徴天皇制の基盤を作った。本書は、国家主義の台頭、戦争、敗戦という激動の中、国家のあり方を問い続け、オールド・リベラリストの生き方を貫いた小泉の生涯を描く。
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平成の終わりに、今上天皇の師として小泉信三がどの様な考え方を持った人だったのか知りたくて読んでみました。本書はとても読みやすく小泉信三の幼少時代から亡くなるまでを纏めています。政治学者としての顔だけではなく人としてどの様な人柄でどのような趣味を持っていたかなども記されており小泉信三を知るための入門書としては最適な一冊だと思います。
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慶應義塾の塾長、戦後の皇太子教育の全県委任者として皇室を支えた小泉信三の生涯。
「練習ハ不可能ヲ可能ニス」。確かラーメン二郎の三田本店に飾られていたように思う。自分も陸の王者の出身なので、有名な方。学者というより、皇太子の教育と戦死した息子さんのことを書いた著作「海軍主計大尉小泉信吉」の作者。
経済学者としての活動、戦中の学徒動員など戦争に対する対応など。激動の生涯を描いた作品。
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上皇陛下に多大なる影響を与えた小泉信三の伝記。
新書なのでサラッと読める。
経済学者にして、慶應義塾長、戦後は皇太子殿下(今の上皇陛下)の教育係を務めた。
戦時中、戦意高揚を促していた姿は知らなかった。
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「霊前にしばしの時をすわりおれば みみにうかびぬありし日の声」
その死に際して未亡人に贈られた今上天皇の弔歌である。
小泉信三。皇太子時代の今上天皇の東宮御教育常時参与であり、
慶応義塾長であり、マルクス主義批判者であり、経済学者である。
このうち、私が知っているのは東宮御教育常時参与であったこと
と、慶応義塾長だったことくらい。特に今上天皇に多大なる影響
を与えた人として興味を惹かれる人物である。
その小泉信三が、先の大戦中は戦意高揚に一役買い、塾生たちの
愛国心を煽っていたとは。平和を願ってやまない今上天皇の家庭
教師のような存在だったので、彼が戦中に展開した戦争肯定論は
いささか意外な気がした。
ただ、戦後はこの点を自ら反省しており、GHQの公職追放からも
辛くも逃れている。だからこそ、お妃選びにも係わり、戦後の
「新しい皇室」像に一役買ったのかもしれない。
「あとがき」も含め、200ページ足らずのページ数なので、かなり
駆け足の評伝になっているが、小泉信三という人物の概略を掴むに
はいいかもしれない。
福沢諭吉や吉田茂との関係などもあって、面白いことは面白いのだが、
個人的にはサブタイトルの「天皇の師として」の部分に期待して手に
したので、食い足りなさが残った。
平成も間もなく終わる。象徴天皇としてどうあるべきかを模索し続け
た今上天皇の姿を、小泉氏はどのように見たのかに興味があるが
即位さえも見届けず死去しているので私の叶わぬ思いだな。