奥田祥子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代の夫婦のあり方に一石を投じる良書。
自分達の親世代(高度成長期)には、「夫は仕事、妻は家庭」という分業が成立していたが、経済成長が頭打ちになった現在ではこのような分業が成り立たなくなっている。さらに時代は女性の社会進出を推し進めていため、夫婦の形も多様化してきている。
本書では、それらの代表的なパターンとして、「活躍する妻とイクメン夫」「大黒柱と内助の功(前時代の夫婦像)」「恋人夫婦(子供なし)」「羽ばたく妻と立ちすくむ夫(熟年離婚)」について、それぞれ長年の取材事例を紹介している。
そこには、それぞれのパターンにおける夫と妻の「こうあるべき」という幻想と理想の解離に苦しむ姿が赤裸々に紹介されている。
夫は家庭内や社会から孤立し、「男らしさ」の呪縛から解放されずに苦しんでおり、妻は家事と仕事の両立に苦しめられている。さらに一旦離職した女性は正規雇用ではなく非正規雇用という低賃金にも苦しめられている。
政府は盛んに働き方改革という名目だけを推進しているが、実行面は企業に押し付けているだけであり、それがそのまま現場の労働者に押し付けられてしまい、以前よりも働きづらい労働環境になっていると一人の労働者として思う。よく言われることではあるが、政府・企業ともに真の働き方改革を推進すべく、現在の労働環境の問題を直視した実効性のある対策を早急に打ち立てることを望むばかりである。 -
Posted by ブクログ
丁寧に取材された良書です。何が価値があるかというと、取材をした方の
「過去」「その時」「そして今」を、数年から十数年に渡って、継続的に取材されている点です。
キーワードは、「結婚」「育児」「介護」「老い」そして「仕事」です。
この6つの現実を、取材した対象者を通して丁寧に語られています。
何が語られているか?それは、今の時代の変化であり、今の社会で生きる大変さです。
具体的なエピソードが盛りだくさんですが、どれも、重いテーマを含んでいます。
人が他人を見て、幸せそうだな、充実してそうだな、不幸そうだな、可愛そうだなと、その人の
一時を見て判断する傾向があります。しかし、時が経てば、自分や他人の状況は変わります。
今の時代は、信じられないぐらい状況が、変わります。明日、自分の身に何が起こるかわからない時代です。
この本を読み、取材された方の、今までの人生を知れば、ずっと幸福でいられるなんて、
不可能に近いです。どの方も、気楽には人生を歩んでこれなかったと思います。
ただ、この本を読んで非常に勉強になったのは、決して今の現実から目を反らしてはいけないことです。
何におびえているかの答えは、自分の中にあります。自分と向き合い、おびえている対象を
明確にして、対応する。辛い作業ですが、そうすることでしか、対処しようがありません。
答えがないものに、対応するんです、怖いに決まっています。しかし、今の時代で必要なことは、
そういう心の態度と行動力だと思います。
著者も、あとがきに書かれています。
「現実から目を背けず、男であることから逃げないで、一歩ずつでも前進していってくださることを
願ってやみません」 -
Posted by ブクログ
結婚、育児、介護、老い、仕事……それぞれについてうまくいっていない男たちの姿が描かれる。読んでいながら、どれもこれもについて自分も片脚突っ込んでいるような気がして戦々恐々としながらページを繰った。対象人物を追ったルポなのだが、相手によっては足かけ10年くらいかけているものもあり、その点で非常に真面目な構成。著者は女性で、定番の戯言として「女に男の何がわかるか」という声もあろうが、こうした男性の生きづらさに焦点を当てるのは女性か女性的に生きる男性にしかできないだろう。
男たちの何がつらいかというと、おそらく理想の男像と自画像との乖離にある。女たちはたぶん、わりと日常的に女であることの不条理や理不尽、不便を感じながら生きている。対して、男にそれはない。男であることの不条理や理不尽、不便ではなく、自らの不徳のいたすところとされてしまうから。理想的な男の姿でない自分を情けなく思い、堕ちていく。男だと過剰に意識したりしなければもっと気楽に対処することができるのかもしれない。自分の意識や世間がそれを難しくさせている。理想の男像を最大公約数の男にしておけばいいのに、最上の男においていることがつらさを生んでいる。最大公約数の男=「平均的な男」という言葉からしてポジティブワードでないのだから。
とはいえ、書中の男たちは気の毒だ。わが身をなぞらえて共感も覚える。やさし過ぎたり正面からぶつかることが彼らの不幸を呼んでいる気もするのだ。本当なら、やさしかったり正面からぶつかるというのは「男らしい」とされていることなのに、そのことが不幸を呼ぶということは、少々強引だが、男らしくいることが不幸を呼ぶと言い換えることもできよう。そのものずばり旧来の男性像、価値観を意識するあまりの不幸もあるだろう。世の中は「男らしく」生きていると生きづらい。一番のうのうと漂っていけるのは「男ぶって」、いいとこどりしながら生きていくことではなかろうか。もっとも、それでは男の魅力も世のゆく末も期待の外になってしまうだろうけれど。 -
Posted by ブクログ
結婚・育児・介護・老い・仕事と5つのテーマに沿って新聞記者である著者による問題当事者である男性(主として中年)への取材記録です。
イクメンという言葉だけが先立ってブームの圧力に押され慣れない子育てに右往左往している元エリート銀行員男性、母親を介護することによって自暴自棄になってしまった中年未婚男性、そして若い女性との性的関係でしか自己満足感が得られない老いに対する恐れ・アンチエイジングへの執着が強い男性などとて興味を持ちました。
自分に関係することはもちろんのこと、自分とは関係がないことでも自分と同世代の男性が抱えている問題・悩んでいることを知ることによってとても勉強になります。こういった当事者を追いかけたインタビュー形式のルポルタージュは少しでも他者を理解するうえで本当にいいものだと思います。 -
Posted by ブクログ
結婚がこわい、育児がこわい、介護がこわい、老いがこわい、仕事がこわい…って、怖がりすぎだろ!と若いころの私ならば飛び蹴りの2~3発でもかましたくなるところで、今の私だって、飛び蹴りとは言わずとも、回し蹴りの1発くらいはお見舞いしたい気持ちになる…のは目次まで。
中身を読むと、「そんなことこわがってるなんて甘い」とはとてもじゃないけど言えず、そういうことってあるよね…とその「こわさ」をまじまじと見つめることになる。
男性の老いに対するこわさとかも、なんかもう女性からすると、そんなことを考えてるのね、と、もうこれはカラダのつくりの違いからくるものなんだろうけれど、新たな発見というかなんというか。
女性の方が、こういった問題について「友達となんとなく愚痴を言い合って、解決した気持ちになりつつ、日々を乗り切る」みたいな術を持ち合わせてきたように見えて(コレまでの時代、育児がこわいとか、介護がこわいとか言ってる場合じゃなくて、女性(嫁)が担うしかなかったってのも大きいのかも)、それを苦手とする男性たちが、これからどうこれらの問題と向き合い、解決していくかってのは大きな問題なんだろうなと。
ともあれ、ここで語られている問題の裏側には、「育休世代のジレンマ」で取り上げられていた女性側の問題もあるよねというのは色々感じられて。だって、育児がこわいっていってた旦那さんの、仕事を辞めて専業主婦になった奥さんの「ダンナの仕事のために辞めたわけじゃない。自分の仕事にやりがいを見出せなくなったから辞めた」って、それまさに育休世代のジレンマっていうか、マミートラック?まさにそれよね、なんて。
数多くの男性を、かなり長期間にわたって取材し続けた本書は、密度も濃いし、文章も面白い。女性たちの悩みの裏側で、男性は何を考えているのか。これからの時代、「育児と仕事の両立」を本当に実現するには男性の意識改革がカギだと思っているのだけれど、その男性たちも悩みを多く抱えているんだよね、という当たり前のことに気づかされた。たぶん、これまた当たり前だけれど、私たちが協力し合えることは多いはずなんだ。そうして世の中が少しでもいい方向に、多くの男性が多くのことを怖がらなくて済む世の中に、なることを祈って。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとある書評を読んで思うところがあり、購入。
”ミドルエイジ”というのが一体どの世代を指すのかというのはさておき、結婚、育児、介護、老い、仕事など、中年(=ミドルエイジ)男性に直面するさまざまな不安要素とそれによる内面の崩壊、再生(諦観なども含む)だとかを1人1人丁寧にインタビューを重ねてルポ化したもの…の模様。
まだ全部読んでないので読んだらまた更新します。
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読後…。
うーん…。思うところと「ここは突っ込んでもらいたかった」とか、取材の対象者にフラットな立場にいるんだろうかとか…。また、男性読者と女性読者では視点も違うので何とも言えないけれど。
丹念な取材と、男性を救ったのが何であるか、何であったかという点を掘り下げた部分については、すっごく評価できるものであった。と思う。
また、これからの生活にも参考になりうる内容だと思った。 -
Posted by ブクログ
女性学、女性外来…、なんかは確かにメジャー。
男性学、もぼちぼちですが、男性外来、は確かにあまり聞かない。
でも、男の人も大変なんです。最近は男性の更年期障害の話もメジャーになりつつありますしね。
ただ、2005年の国勢調査によると、30歳前半の男性の二人に一人、女性の三人に一人が結婚しておらず、生涯未婚率(50歳の時点で一度も結婚したことが無い人の割合)にいたっては、女性が7.3%なのに、男性は16.0%だとか。
もともと20〜40歳男性は同年代の女性より2%も人口が多いそうなんですが、そんなもんじゃあ片つけられない数字ですわな。
私も作者と同じように、自分のことは棚に上げ(笑)、読んでいましが…。ねぇ…。