奥田祥子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
丁寧に取材された良書です。何が価値があるかというと、取材をした方の
「過去」「その時」「そして今」を、数年から十数年に渡って、継続的に取材されている点です。
キーワードは、「結婚」「育児」「介護」「老い」そして「仕事」です。
この6つの現実を、取材した対象者を通して丁寧に語られています。
何が語られているか?それは、今の時代の変化であり、今の社会で生きる大変さです。
具体的なエピソードが盛りだくさんですが、どれも、重いテーマを含んでいます。
人が他人を見て、幸せそうだな、充実してそうだな、不幸そうだな、可愛そうだなと、その人の
一時を見て判断する傾向があります。しかし、時が経てば、自分や他 -
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結婚、育児、介護、老い、仕事……それぞれについてうまくいっていない男たちの姿が描かれる。読んでいながら、どれもこれもについて自分も片脚突っ込んでいるような気がして戦々恐々としながらページを繰った。対象人物を追ったルポなのだが、相手によっては足かけ10年くらいかけているものもあり、その点で非常に真面目な構成。著者は女性で、定番の戯言として「女に男の何がわかるか」という声もあろうが、こうした男性の生きづらさに焦点を当てるのは女性か女性的に生きる男性にしかできないだろう。
男たちの何がつらいかというと、おそらく理想の男像と自画像との乖離にある。女たちはたぶん、わりと日常的に女であることの不条理や理不 -
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結婚・育児・介護・老い・仕事と5つのテーマに沿って新聞記者である著者による問題当事者である男性(主として中年)への取材記録です。
イクメンという言葉だけが先立ってブームの圧力に押され慣れない子育てに右往左往している元エリート銀行員男性、母親を介護することによって自暴自棄になってしまった中年未婚男性、そして若い女性との性的関係でしか自己満足感が得られない老いに対する恐れ・アンチエイジングへの執着が強い男性などとて興味を持ちました。
自分に関係することはもちろんのこと、自分とは関係がないことでも自分と同世代の男性が抱えている問題・悩んでいることを知ることによってとても勉強になります。こういった当事 -
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結婚がこわい、育児がこわい、介護がこわい、老いがこわい、仕事がこわい…って、怖がりすぎだろ!と若いころの私ならば飛び蹴りの2~3発でもかましたくなるところで、今の私だって、飛び蹴りとは言わずとも、回し蹴りの1発くらいはお見舞いしたい気持ちになる…のは目次まで。
中身を読むと、「そんなことこわがってるなんて甘い」とはとてもじゃないけど言えず、そういうことってあるよね…とその「こわさ」をまじまじと見つめることになる。
男性の老いに対するこわさとかも、なんかもう女性からすると、そんなことを考えてるのね、と、もうこれはカラダのつくりの違いからくるものなんだろうけれど、新たな発見というかなんというか。
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Posted by ブクログ
ネタバレとある書評を読んで思うところがあり、購入。
”ミドルエイジ”というのが一体どの世代を指すのかというのはさておき、結婚、育児、介護、老い、仕事など、中年(=ミドルエイジ)男性に直面するさまざまな不安要素とそれによる内面の崩壊、再生(諦観なども含む)だとかを1人1人丁寧にインタビューを重ねてルポ化したもの…の模様。
まだ全部読んでないので読んだらまた更新します。
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読後…。
うーん…。思うところと「ここは突っ込んでもらいたかった」とか、取材の対象者にフラットな立場にいるんだろうかとか…。また、男性読者と女性読者では視点も違うので何とも言えないけれど。
丹念な取材と、男 -
Posted by ブクログ
女性学、女性外来…、なんかは確かにメジャー。
男性学、もぼちぼちですが、男性外来、は確かにあまり聞かない。
でも、男の人も大変なんです。最近は男性の更年期障害の話もメジャーになりつつありますしね。
ただ、2005年の国勢調査によると、30歳前半の男性の二人に一人、女性の三人に一人が結婚しておらず、生涯未婚率(50歳の時点で一度も結婚したことが無い人の割合)にいたっては、女性が7.3%なのに、男性は16.0%だとか。
もともと20〜40歳男性は同年代の女性より2%も人口が多いそうなんですが、そんなもんじゃあ片つけられない数字ですわな。
私も作者と同じように、自分のことは棚に上げ(笑) -
Posted by ブクログ
夫婦はこうあるべきという幻想にとらわれて、現実的な等身大の夫婦になれない夫婦を長期にわたる取材を通して明らかにしていくルポ。
子育てを終えて、積極的に外に出て行く妻と定年後孤立していく夫。
その理由として、女性は長年妻として、母として精一杯努力してきたからすっきりするが、男性は夫として、父として役割を果たしてこなかったからうまく子育てを終えられないというのには納得。
戦後は明日の生活が豊かになることが夫婦の共通の目標だったが、今はある程度豊かになったのでただ一緒に生活しているだけでは満足できなくなってしまった。
より多くを相手に求めるようになる。
その解決策として
・コミュニケーションを