岩城けいのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ大学生になったマットは、アルメニアの移民2世のアビーと出会う。どれだけ長くオーストラリアにいてもアジア人・日本人のステレオタイプで見られるマットと、自分では行ったこともないアルメニアに縛られてどこにも属していないと感じるアビーの、なんというか異なる「マイノリティ」の受け止め方というか、それぞれの葛藤が丁寧に描かれていた。
MasatoがMattになり、最後にMという書名になるのはどんどん捨象されてるような印象を受けたけど、オーストラリアで生きていくために切り捨てたMasatoも自分自身としてもう一度復活させて、MattとMasatoのどちらも自分として生きていく、その重なるところとしてのMなの -
Posted by ブクログ
ネタバレワトソン10年生になったマットこと真人が、人種差別や自己嫌悪とひたすら格闘する一巻。
新しくやってきたマット.Wは、戦時中に日本兵に虐げられた祖父の影響で、真人=マット.Aを目の敵にして嫌がらせをしてくる。マット.Wの「ジャップ」という言葉に縛られて、無視しきれなくなった真人の葛藤が丁寧に描かれていて苦しくなった。乱闘になった2人を謹慎処分として、2人を更生させるためにさまざまな仕掛けを用意する演劇科のキャンベル先生が教育者としてとても素敵。キャンベル先生は差別と暴力を繰り返すマット.Wだけでなく、それを徹底的に無視しようとする真人の無関心も戒める。嫌い、というのは無関心よりずっと良い。自分が -
Posted by ブクログ
外国で暮らすことになった子どもとその家族の描写が良いのはもちろんのこと、プロットもとても良いのでちゃんと小説として楽しめた。
子どものストレスも、母親の焦りもわかりすぎて、もっと早く読んでいたら辛くなっていたと思う。渡米から一年経って、自分もマサトと同じような経過をたどった今の時期に読んで良かった。数か月前に買っていたけど、今読んで良かった。
子どもは吸収が早いから、英語ペラペラになった?、何か英語しゃべってみて。悪気なく子どもに言う人には、子を守るべき親として逆に問い返したい。ペラペラってどういう状態ですか?あなたは日本人にも、何か日本語しゃべってみてと言いますか?
親がブレない信念を持って -
Posted by ブクログ
前作『Masato』から成長した真人の10年生(16~17歳)の一年間が描かれている。
MasatoからMattへの成長が文体にも現れて、対象読者年齢もその分あがっている。
オーストラリアに溶け込んでいたMattだったが、転校生で同姓のMattから憎しみをぶつけられることで過去に日本が犯した罪を知り、日本人であることと向き合わざるを得なくなる。
転校生Mattに怒り、父親が日本人意識を持ち続ける態度にも怒り、何より自分自身に怒っている。
I hate myself! が悲しいくらい繰り返される。
16歳の男子の悩む姿、怒りの爆発的なエネルギーに圧倒された。
前作では、母親に批判的な読み -
Posted by ブクログ
面白かった。日本人としてのアイデンティティに悩む彼の心情が、よく描かれているなと思ったら、作者も、単身渡豪して、その心境を味わったんだなと納得した。日本に住んでいると感じないが、他国に住めば、日本人はそう見られるんだなとちょっとぞっとする感覚もあった。アルメニア人は、もっと、複雑なんだな。と思った。典型的な日本人って、ステレオタイプの日本人って、どこにいるんだろう。白人は、そんなに偉いんだろうか?逆に、自分達は、他の国の人に対して差別的に扱っていないだろうか?歴史的にも、敗戦国の人々は、人権を踏み躙られるような扱いをされてきた。もう、文明が進んで、これだけ地球が狭く感じられるようになったんだか
-
Posted by ブクログ
ネタバレオーストラリアの現地校に転校した5年生マサトの話。真人がどんどん英語がわかるようになっていくと同時にどんどん成長して、親とは違う自分の世界を作って、最後は進路を自分で決めて、母の反対を振り切ってオーストラリアに残る決断をする。真人ではなくてマットになっていき、マシュー・アンダーソンみたいな目立たない名前なら良いのに、と思いながらも、それでもMasatoと書くところに、アイデンティティと自我の確立を見た気がする。日本から連れてきて、ずっと友達でいてくれた柴犬のチロが死んでしまうくだりは感情移入して辛かった。犬は一番の友達だよな。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「Masato」「Matt」に続く作品は「M」。
マサトでもあり、マットでもある「僕」が自分について問い続けるからだろう。
とにかく、父の仕事の都合でオーストラリアに連れてこられ、
困り果てていた少年が日本に戻らぬ選択をし、
ここでは、ついに大学まで卒業をしてしまう!
なんか、こちらも年をとったよね、そして読後の良さは覚えているけれど
はたしてどこがどう良かったのかを全く覚えていないという始末。
いちおう、本棚チェックをしたのだが、収めていなかった。
年のためにみた、前の本棚にも無し(あの頃はムラがあったからな)
とにかく本作は、岩城系らしさが全開、良い意味で。
マットは自分のグルグルから -
Posted by ブクログ
本屋さんで平積みされてお勧めになってた本。
著者の岩城けいさんも初めて。
内容は、オーストラリアの小学校姉妹校の子供たちが日本へ3日間の留学に来るというお話。
子どもたちは単純そうで、実は色々考えてて感受性が強いって事がよくわかる。
外国の子どもをホームステイさせるって体験はなかなかないけど、浜松だと国際ピアノコンクールの出演者をホームステイさせるボランティアがあったかな?
ピアニストなので、受け入れるにはグランドピアノが無きゃダメとか色々ありそうで簡単じゃないだろうね。
この辺は「蜜蜂と遠雷」にも少し書かれていたね。
で、外国の子どもたちの場合、それなりに言語が通じない事を大前提として -
Posted by ブクログ
少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。 -
Posted by ブクログ
前作が良かったので続編
仲の悪い夫婦の関係を子供が冷めた目で見ているところとか、うざい親はほっとけばいいけど、面倒いのはほっとけないとかリアル。親子でも他人の始まり。「親に向かって」とかいつまでも言っても仕方ない事。人間としてどうなの?と言いたい。
新しく登場したw.マットがマサトがら日本人だという事で言いがかりの嫌がらせをしてくる。我慢を重ねるがついに行き着くところまで行って謹慎。
顔も生まれも変えられない事。それを受け入れて進んでいくのは生みの苦しみ。若者の葛藤だね。異国で住むのにはそれだけタフな精神力が必要だと思う。
ジェイクのおじいさんの「いい耳をしてるね。でも君の周りはひどい音