角田安正のレビュー一覧
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日本という国を見渡す力をつける読書。
第二次世界大戦時下、アメリカの文化人類学者であるベネディクトが戦時情報局の命により書き上げた敵国日本人についての考察本。
①”菊”の盆栽における美的感覚
②”刀”をあがめ武士をうやうやしく扱う風習
どちらも日本人だ矛盾するものでないと本書を通じて説明していく。
執筆から時代が流れ、現在では欧米文化に浸った私にとってアメリカ人はこんな気質(罪の文化)で、日本人はこんな気質(恥の文化)のような画一的分類には少し違和感を感じた。
しかしながら、さすが読み継がれる古典だけあって、「応分の場を占めること」や「子どもは学ぶ」の章は日本人の本質を捉えていた。
「 -
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植民地アメリカの人々を独立戦争へと駆り立てた冊子の新訳。
我々からすると、アメリカとは超大国であり、独立戦争は歴史のなかで当然の通過点と思ってしまうが、当時のアメリカ住民からすればまだまだ発展途上の不安定な土地だったのだろう。この本を読むと、そうした感覚が伝わってくる。
著者トマス・ペインは、そんな彼らを力強く鼓舞し、宗主国のイギリス王室をかなりこき下ろす。ちょっと、彼の身の安全が心配になるレベルで、口汚く断罪している。
だがしかし、独立を促す説得力はある。独立の必要性、しなかった場合のリスク、なぜそれが今すべきなのか、をしっかり説明している。特に、著者も触れているがイギリスがまさに課税や -
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アメリカ人の文化人類学者であるベネディクトが日本人の特性・特徴を研究して著した本。
本著の起因は1945年、太平洋戦争終結後にアメリカ軍が日本を統治するにあたって分析を試みた際、ベネディクトに鉢が回ったことにある。
アメリカ人からすれば当時の日本人は不可解な行動を取る国民であった。
日本人は、攻撃的であるかと思えば、一面では温和であり、軍事を優先する一方で、美も追求する。このような二面性が彼らには理解できなかった。
ベネディクトは、アメリカ人には理解できないこのような不可解さも日本人なりの価値観や論理に基づいた相互に有機的な関係であると考えた。
そこで、日本人捕虜の尋問録、日本の映画、新聞 -
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近代に誕生した資本主義は、形を変えて発展し続けて今でも存在する。レーニンがこの本で説いた「帝国主義」とは、金融の影響力が強まり、企業があらゆる面で独占したり、国内で余った資本を国外に輸出する資本主義である。そのため、産業資本主義のような自由競争はなされていないと言われる。このように、資本主義は発展するたびに、異なった性質を帯びるようになるのだが、本書がマルクス『資本論』では十分に考察されなかった「植民地」の記述が特徴的である。レーニンが生きた時代、日本を含む世界列強は、アジア・アフリカ地域をめぐって国同士が競争をした時代であった。この内容は第5〜7章にかけて考察されるが、ここで語られる内容は
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途中で飽きてしまい、最後まで読んでいないのですが笑
戦時中の雰囲気を感じつつ、現地調査ができない中でのベネディクトの鋭い考察には感心した。
戦後から半世紀以上が経って日本人の行動パターンも若者を中心に変化しており(ジェネレーションシフトというやつ?)、私もその世代の一人なので共感できないところも多々。しかし高齢者率が高いことを考えればこの本で述べられている日本の行動パターンを理解するのには意義がある。
日本人は法律や制度、役割を設けて過剰に環境面の秩序を保とうとする。"過剰に"、"環境面の"というのが日本独自のポイントだと思う。秩序を保とうとするのは、 -
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例の闘争状態を証明するために、人間の性質についてかなり細かく論じられているのが面白い。契約などについての自然法が、平和の追求を基本として演繹的に導かれているのもよく分かりました。素晴らしい翻訳がそれらの理解の助けになっています。
ホッブズが分析する人間の行動様式は、感覚的に納得のいくものばかり。現代人も基本的には変わってないなと思えるので、彼の演繹には普遍性があるかも。その人間の愚かさを前提に三段論法で万人の闘争状態を導く流れは見事です。
個人的には、ある程度豊かさの底上げがされ、人間の利他性や共感力が証明されてきている現在、この理屈が通用しない世の中がくるのでは?という期待を持っています -
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難しかったー。
でも面白かった。
簡単に説明するならば。
第二次世界大戦の折のアメリカ。
「日本人、不可解すぎるよ」
攻撃的なのに温和。
思い上がりつつ礼儀正しい。
頑固さと柔軟さを兼ね備え。
従順でありながらぞんざいに扱われると怒る。
節操あると思いきや二心もある。
勇敢でもあり小心でもあり。
保守的であると同時に新しいものを歓迎する。
他者の目線を気にし見られていなくても気にし。
上からの規律を守るが上に反抗的な態度もとる。
竹槍で戦闘機は落ちないよ。
ラジオ体操で空腹はおさまらないよ。
冬場の乾布摩擦や滝行、何?
寝ずの行軍練習で極限に慣れる、なんてやめとけ。
とまあ、矛盾しすぎて次の -
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1689年に発行された政治・国家論であり、いわゆる歴史的名著とよばれるものだ。キリスト教が基軸にある、産業革命前にある、など、現在とは前提が違う点を除けば、現在の民主主義、自由主義の考えにも通じるものが多くあり、まさに基本理念だ
当時は君主制度が根幹にあったが、その権力は古来に民主主義で決まったものであることから説明しているなど、論説のような文章となっているので、読みやすい(それが諄く感じられるかもしれないが)
また自由主義の根源を語るために、個人の権利、そして父親の権利・義務に関しても、多くの紙面を費やしているのも特徴だろう。ここでは男性は女性より優れているという、時代錯誤な内容もあるが、 -
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これ著者女性だったんだ。知らなかった。
太平洋戦争前後の日本人的価値観をアメリカ人文化人類学者の視点から紐解いた本。
アメリカ人との対比でさらに理解が深まる。そして70年以上経った今も日本人に根付いている価値観ばかりで面白い。恥を重んじる文化とか特にそう。夏目漱石の小説から分析したくだり超面白かった。奢ってもらった友人に馬鹿にされてることを知って、貸しを作っていることに屈辱を感じ、代金分を投げ返した話。確かに未だに日常で目にするわ〜、絶対につまらない貸しを作りたくない人いる〜。格下だと思っている相手だと特に。かたじけのうございまする(笑)だわ。
読んで良かった。誰かも言ってたけど、フィール -
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思わぬほどに時間がかかってしまいました。そんなに
読みづらい文章ではないのですが。
昔から読んでみたいと思っていて読めずにいた本です。
1946年の本。いまから70年以上も前の本
ではありますが、日本人の考え方についてよく分析している
と思いますし。自分でもなるほどと納得する部分もあります。
自分自身の根っこの部分は、両親から教えられたことが
そこに純然としてあって、それは、応分の場を意識すること
義理を果たすこと。恥を嫌うこと。過去に負い目を持っておくこと。などが確かにあると思います。
ただ、やはり日本人も少しずつかわっているのだと
思いますし、自分よりも後の世代の人たちがどのように
受け取 -
Posted by ブクログ
今なお「日本人論」の決定版といえる古典的名著。実は大学時代にゼミの教授から「絶対に読んでおきなさい」と言われ、「はい」と答えて放置すること20年。ようやく義理を果たせました。
そう。本書はこの「義理」が大きなテーマです。日本では、義理を果たすことを促す力が強力に働いています。義理を果たさないでいると、妙にそわそわすることがありますね。それはどうやら私たち日本人に特有の性向らしいです。
60年以上も前に著された本書ですが、今もなお売れ続けるのは、やはり時代を超えた洞察力でしょう。今も色あせない、というより、今こそ耳を傾けるべき示唆に富んでいます。
たとえば―。
「アメリカの生活の仕組みにおいては