角田安正のレビュー一覧
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この本は一つの文書でまとめることができる。
「日本は恥の文化でアメリカは罪の文化である」
これはつまり人々の善悪の判断基準がどこにあるのかということである。
日本の文化では周囲の人々からの評価によって生じる「恥」が道徳基準となる。
アメリカの文化ではキリスト教をベースとした唯一神への罪悪感「罪」道徳基準となる。
こうした違いが生まれたのは拠り所とする宗教観の違いである。日本は長らく儒教をベースとした家ごとの社会を形成し、その中で父親が権力を持つという構造になっていた。その父親の面子を立てること、家名に恥じることをしないことこれが行動の指針となってる。恥というのは周りの評価があることによって生じるものである。
一方でキリスト教には唯一絶対の神という存在を基礎として、神の教えが唯一の正しい基準であるとする。そして神との誓いを破った時に生じる罪の意識が人々の行動指針となる。罪悪感とは周囲に人がいなくても生じるものである。それは自分との問題であり、神との対話の中で生じる両親の呵責なのだ。
この著作のすごいところは、上記の主張が豊富な事例をもとにして補強されていることである。しかも著者はこの本をまとめるために、約3ヶ月間の急ピッチで情報を集めているという点である。
印象的だったのは、義理の論理を御恩と奉公だけでなく、不当なことをやられっぱなしにさせないという考え方に発展させている点で、日本人の恥や名誉に対する意識の高さが窺えた。 -
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日本という国を見渡す力をつける読書。
第二次世界大戦時下、アメリカの文化人類学者であるベネディクトが戦時情報局の命により書き上げた敵国日本人についての考察本。
①”菊”の盆栽における美的感覚
②”刀”をあがめ武士をうやうやしく扱う風習
どちらも日本人だ矛盾するものでないと本書を通じて説明していく。
執筆から時代が流れ、現在では欧米文化に浸った私にとってアメリカ人はこんな気質(罪の文化)で、日本人はこんな気質(恥の文化)のような画一的分類には少し違和感を感じた。
しかしながら、さすが読み継がれる古典だけあって、「応分の場を占めること」や「子どもは学ぶ」の章は日本人の本質を捉えていた。
「応分の場を占めること」日本人は(封建社会)上下関係の中での役割を厳格に定めることに慣れており、安心と平穏を保てる。洗脳教育により”すばらしい新世界”に生きる人々が頭に浮かんだ(汗
何が凄いかって、本書は日本に来たことないベネディクトが、「源氏物語」や「忠犬ハチ公」、「坊ちゃん」、「思い出の記」などの書物から日本人をこんな人だと軍事統治資料レベルまで書き上げたことだと思う。
恥を知れ!恥を
「子どもは学ぶ」協調性や場の空気を読む力が高い理由は子ども時代に育てられた教育により「恥」を恐れるようになるから。
この感覚は日本人だからこその感覚らしい? -
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植民地アメリカの人々を独立戦争へと駆り立てた冊子の新訳。
我々からすると、アメリカとは超大国であり、独立戦争は歴史のなかで当然の通過点と思ってしまうが、当時のアメリカ住民からすればまだまだ発展途上の不安定な土地だったのだろう。この本を読むと、そうした感覚が伝わってくる。
著者トマス・ペインは、そんな彼らを力強く鼓舞し、宗主国のイギリス王室をかなりこき下ろす。ちょっと、彼の身の安全が心配になるレベルで、口汚く断罪している。
だがしかし、独立を促す説得力はある。独立の必要性、しなかった場合のリスク、なぜそれが今すべきなのか、をしっかり説明している。特に、著者も触れているがイギリスがまさに課税や軍事力行使で抑圧してきた直後にこれが世に出たというタイミングがよかったのだろう。抑圧が実感されているからこそ、従属するデメリットのリアリティが伴ったのだ。また、子孫たちにツケを回す、とも繰り返し触れられている。これも作用したと思われる。
コンパクトながらも、アメリカ、そして世界史を動かした一冊。 -
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アメリカ人の文化人類学者であるベネディクトが日本人の特性・特徴を研究して著した本。
本著の起因は1945年、太平洋戦争終結後にアメリカ軍が日本を統治するにあたって分析を試みた際、ベネディクトに鉢が回ったことにある。
アメリカ人からすれば当時の日本人は不可解な行動を取る国民であった。
日本人は、攻撃的であるかと思えば、一面では温和であり、軍事を優先する一方で、美も追求する。このような二面性が彼らには理解できなかった。
ベネディクトは、アメリカ人には理解できないこのような不可解さも日本人なりの価値観や論理に基づいた相互に有機的な関係であると考えた。
そこで、日本人捕虜の尋問録、日本の映画、新聞、小説などから分析を行い、日本人の不可解さを説明する幾つかの鍵を見つけた。
それが、「応分の場」「報恩」「義理」「特目」「名」である。
つまり、己の分を知り、自身を抑制することで慎重にこれを弁える。自分が受けた恩には何があっても報いる。受けた義理は、たとえそれが不本意なものであったとしても、必ず返す。自分の評判を輝かしいものにしておくことをなによりも尊び、名誉を回復するためなら誰かを殺すことも自らの命を差し出すことも辞さない。
ベネディクトは、これらの性質を持つのが日本人だとする。
またベネディクトは、日本人に二面性をもたらすのは幼少期における教育の極端なまでの甘さであるとする。日本人の子どもは幼少期、欧米の子どもと比較して遥かな自由を認められる。
しかし、10歳頃になるまでに躾の一環として「コミュニティから仲間外れにされる恐怖」やそれに付随する恥や嘲笑を与えられるため、日本人は壮年期には自分の衝動を抑えることが常となってしまう。
それでも、時折、自由奔放の身であった幼少期の記憶がフラッシュバックする。これが日本人の二面性として表出するというのだ。
本書は80年も前に発表された本だが、深く西洋化された現在の日本にも通ずる内容だと感じる。それほど日本人の本質の部分を的確に捉えている。
高度成長期の日本は敗戦後の荒野から、先を行く欧米諸国にキャッチアップするだけで成長が約束されていた。しかし、それに追いついてしまってバブルが崩壊し、日本経済は底を打った。そしてそこから30年間、遂に浮上することなく今日に至る。
日本経済の復活のためには、官民学のあらゆる領域において抜本的な改革が必要である。経営学のトレンドを追うことや細かな経済施策を考えるだけではなく、より根本的で徹底的な革新が必要だ。
そしてその革新の準備のために、今一度日本人の特徴・資質を見つめ直すべきだと思う。本書はその一助となる古典だ。 -
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近代に誕生した資本主義は、形を変えて発展し続けて今でも存在する。レーニンがこの本で説いた「帝国主義」とは、金融の影響力が強まり、企業があらゆる面で独占したり、国内で余った資本を国外に輸出する資本主義である。そのため、産業資本主義のような自由競争はなされていないと言われる。このように、資本主義は発展するたびに、異なった性質を帯びるようになるのだが、本書がマルクス『資本論』では十分に考察されなかった「植民地」の記述が特徴的である。レーニンが生きた時代、日本を含む世界列強は、アジア・アフリカ地域をめぐって国同士が競争をした時代であった。この内容は第5〜7章にかけて考察されるが、ここで語られる内容は、今を生きる人たちも十分学べるのではないだろうか。20世紀頃と異なり、今世紀はかつての植民地が独立して跡形もなく消えたが、依然として国家は存在し、各国家が特定の資源をめぐって、とりわけ米中が競っている。ゆえに、本書を地政学の書として読み込むことができる。
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途中で飽きてしまい、最後まで読んでいないのですが笑
戦時中の雰囲気を感じつつ、現地調査ができない中でのベネディクトの鋭い考察には感心した。
戦後から半世紀以上が経って日本人の行動パターンも若者を中心に変化しており(ジェネレーションシフトというやつ?)、私もその世代の一人なので共感できないところも多々。しかし高齢者率が高いことを考えればこの本で述べられている日本の行動パターンを理解するのには意義がある。
日本人は法律や制度、役割を設けて過剰に環境面の秩序を保とうとする。"過剰に"、"環境面の"というのが日本独自のポイントだと思う。秩序を保とうとするのは、どこのどの程度かに差はあれど生存欲求をもつ人類共通のものである。
まず、なぜ日本人は"環境"の秩序なのかというと日本人の世界の認識が、環境→主体だからだ。言語の構造と世界の見方には深い関係性があって日本語は英語と違って周囲から中心に向かう言語だということを最近知り、このように思った。ここらへんは今後学んでいきたいところだが、日本人は主体よりも先に環境を捉えるのだろう。
そしてその環境だけを見つめていると、誰もコントロールできない創造と破壊の世界(無常観)であることに気づく。その流れに身を任せられる勇気があればいいものの、大抵は個を失ってしまうというのではないかと危機感が芽生える。だから自分という存在を見失わないような法律、制度、役割を欲するのである。
運が悪いことに法律や制度というのは権力と相性が良く、歴史上のトップは日本人らしさを悪用して不安を煽り"過剰"なまでにはってしまったのだろう。
環境面の秩序を重んじる日本人らしさはらしさでいい。でもそれが自分や誰かを傷つけるほど過剰なものにならなってはならない。遠くの誰か見えないなにかではなく、目の前の自分と他人に素直でありたい。これからは東洋と西洋の行動パターンをバランスよく取り入れていくことが大事である。 -
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例の闘争状態を証明するために、人間の性質についてかなり細かく論じられているのが面白い。契約などについての自然法が、平和の追求を基本として演繹的に導かれているのもよく分かりました。素晴らしい翻訳がそれらの理解の助けになっています。
ホッブズが分析する人間の行動様式は、感覚的に納得のいくものばかり。現代人も基本的には変わってないなと思えるので、彼の演繹には普遍性があるかも。その人間の愚かさを前提に三段論法で万人の闘争状態を導く流れは見事です。
個人的には、ある程度豊かさの底上げがされ、人間の利他性や共感力が証明されてきている現在、この理屈が通用しない世の中がくるのでは?という期待を持っています。
ホッブズの基本原理が平和であって豊かさではないところは面白いです。その結果、正不正の概念は国家と法がないと成立しないのでなんとも不安になりました。平和のみを追求する結果、格差の拡大を許し、契約による正義でそれが正当化され、結果として人が不幸になるのではと。
自然法を演繹的に導いていますが、その基本原理が平和の追求であることの根拠が欲しかった。個人的な欲求は人それぞれだから、それを目指すと闘争状態になると書かれてますが、うーん、腑に落ちない…。 -
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難しかったー。
でも面白かった。
簡単に説明するならば。
第二次世界大戦の折のアメリカ。
「日本人、不可解すぎるよ」
攻撃的なのに温和。
思い上がりつつ礼儀正しい。
頑固さと柔軟さを兼ね備え。
従順でありながらぞんざいに扱われると怒る。
節操あると思いきや二心もある。
勇敢でもあり小心でもあり。
保守的であると同時に新しいものを歓迎する。
他者の目線を気にし見られていなくても気にし。
上からの規律を守るが上に反抗的な態度もとる。
竹槍で戦闘機は落ちないよ。
ラジオ体操で空腹はおさまらないよ。
冬場の乾布摩擦や滝行、何?
寝ずの行軍練習で極限に慣れる、なんてやめとけ。
とまあ、矛盾しすぎて次の行動が読めず、
「この民族滅ぼすしかないんじゃね?」
日本人を知るための研究レポートに加筆修正を加えたのが本書です。
面白かった考え方。
「恩」について。
受けた分はきっちり返さなければならない、まるで借金のようなもの。日本人は「恥」を以って、返済を強要されている。「名前」「名誉」を汚すことのないよう、他者からの評価、つまり自分に向けられる目線を気にして生きている。
「そんなことしてたら人に笑われるよ」
と小さい頃からしつけられる。
もし「名」が汚されたときには「復讐」として人に返すことを好む。侮辱には報復を。しかし仕返しが叶わなければ、憎悪は自分自身に向かっていく。
「やられたらやり返す…」
って現代でもやってますもんね。
忠臣蔵のときからそれは変わらん、と。
そして、人からの目線が気にならない人間を「悟った!」と崇め、皆鍛錬を積んで目指す。
無我の境地。ゾーン。邪魔をするなら仏でも倒す。
日本人にとっての修行はそんな感じ。
「恥」から逃れた生き方ができるのが、達人。
わがままに過ごせた幼児期に帰る、とも言う。
それこそが日本人の二面性を生むらしい。
大胆不敵な子どもだった自己。
慎重に「恥」に気を配る、自重する大人の自己。
菊を愛でる美的感覚を持ちながら。
武士のように刀を振るうのを厭わない。
日本人の国民性を浮き彫りにした著作として、ロングセラーになる理由がわかりました。
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1689年に発行された政治・国家論であり、いわゆる歴史的名著とよばれるものだ。キリスト教が基軸にある、産業革命前にある、など、現在とは前提が違う点を除けば、現在の民主主義、自由主義の考えにも通じるものが多くあり、まさに基本理念だ
当時は君主制度が根幹にあったが、その権力は古来に民主主義で決まったものであることから説明しているなど、論説のような文章となっているので、読みやすい(それが諄く感じられるかもしれないが)
また自由主義の根源を語るために、個人の権利、そして父親の権利・義務に関しても、多くの紙面を費やしているのも特徴だろう。ここでは男性は女性より優れているという、時代錯誤な内容もあるが、それでも女性の権利をしっかりと書いている。
国家とは何か。国民とは何か。国家は国民の生命・自由・財産を守るために存在していると、ロックは語る。そのためにルール(法律)を設けているのだと。それを理解したうえで、「日本のため」という言葉を思うと、違和感を強く感じる。訳者の解説で哲学者の言葉が紹介されている。「1940年現在において、父権論を基軸とした国がある。それが日本だ。日本は拡大した家族にほかならず、天皇は家族の父だ」というものだ。戦後、日本は憲法を改め、天皇は象徴化したが、基本構成は何も変わっていない。2020年代となった、いまも、それは変わらず続いているように感じた -
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これ著者女性だったんだ。知らなかった。
太平洋戦争前後の日本人的価値観をアメリカ人文化人類学者の視点から紐解いた本。
アメリカ人との対比でさらに理解が深まる。そして70年以上経った今も日本人に根付いている価値観ばかりで面白い。恥を重んじる文化とか特にそう。夏目漱石の小説から分析したくだり超面白かった。奢ってもらった友人に馬鹿にされてることを知って、貸しを作っていることに屈辱を感じ、代金分を投げ返した話。確かに未だに日常で目にするわ〜、絶対につまらない貸しを作りたくない人いる〜。格下だと思っている相手だと特に。かたじけのうございまする(笑)だわ。
読んで良かった。誰かも言ってたけど、フィールドワークしないでここまで日本人という独特な人種を分析できたのスゴい。