加藤文元のレビュー一覧
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数学における「正しさ」とは何なのか。数学を「する」とはどういうことなのか。そういった問いを「人間と数学との関わり」というテーマをもとに対峙した本。
数学をするにはただぼーっと式を眺めているだけではできない。数式からパターンを見出し意味を掘り出すことで初めて新しい数学の世界を開くことができる。また、視覚的にパターンを見出すだけでなく、公理や定理による証明精神に基づいた記号化を進めることで抽象化が促され、見るだけではわからなかった背後の法則性に気づくことができる。
こうした、意味と記号の不思議な関係性を紐解いていく様はまさに数学の研究をしているようであった。 -
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数学するということが、そもそも、どういうものであるかというところから始めているのが素晴らしかった。
割り算が、文明によって、異なる処理のされかたをしているのが興味深い。特に、ユークリッドの互除法が割り算と強い関係にあったことに気づかされた。
ニュートンやライプニッツが微分積分学を発見したとは言い切れないというところに面白さを感じた。
和算がどういうものか気になってきた。ただし、西洋の数学は内に矛盾を貯めているのが特徴のようである。
射影幾何学は長さや角度を無視する幾何学であるということを知り、ためになった。
素人でも理解できるのは、19世紀くらいまでだと思った。20世紀以降は、層や多 -
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この証明が認められない論点も知りたかった
望月さんのABC予想の証明を一般向けに書いた本.出だしの部分は望月さんのABC予想証明の経過や,それがいかに革新的であるかが思い入れ満載で綴られている.その次は,ABC予想の問題そのものと,群論とかの簡単な予備的なお話が続き,最後に宇宙際タイヒミューラー理論の片鱗に触れるという構成.
普通は,本書では舞台に例えられている宇宙というものが違うと証明に使えないというのが私の理解だ.互いに相反する公理を含んだ公理系という認識でいる.それが,十分に複雑で群の対称性が一致していれば,宇宙をまたいで対応付けができるというのが宇宙際タイヒミューラ理論というものだ -
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難しかったーーーー。
書いてあることはさっぱりわからないことが多かった、しかしながら、なんだか、歴史ロマンは感じました。
数学の基礎として聞き覚えはある「ユークリッド原論」が書かれたのは、紀元前3世紀頃と知ってびっくり。日本でいうと弥生時代ですよね、遺構とかで当時が偲べる程度の大昔。すでに数学という学問、今でも基礎として充分通じる学問を確立していたことに驚き。
メソポタミア文明時の粘土版に刻まれた正方形の対角線部分に「√2(を意味する古代数字)」と刻まれていたり、紀元前1800年ごろ(今から3800年ほど前)の粘土版に古代バビロニア数字で三平方の定理に適う3つの数字の組合わせが「他の2辺の -
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ネタバレ●iut理論
NHKで放送された内容が興味深かったため読んで見たくなった。望月先生の監修があるというのもよんてみたくなったポイントである。 数学の本とは思えないくらいスラスラ読める内容で、加藤先生がとても丁寧に説明されており、こういう本がわかりやすい本っていうんだなあと実感。 まずは設定から説明。そして背景、数学界について触れ、前提条件をしっかり説明した上でIUT理論の説明に入る。一つの数学の式の証明が書かれたような一冊。読んでいてワクワクだらけであった。「数学とは論理的で、直感的な学問である」衝撃であったが、とてもふに落ちた。B****