あらすじ
数学はそれ単体で進化したのではない。各々の文明圏から生じ、征服と同化を繰り返しながら一つの「世界の数学」に収斂していく文化的征服史といえる。歴史の流れの中で数学をとらえ、新しい数学観を見出す。
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Posted by ブクログ
難しかったーーーー。
書いてあることはさっぱりわからないことが多かった、しかしながら、なんだか、歴史ロマンは感じました。
数学の基礎として聞き覚えはある「ユークリッド原論」が書かれたのは、紀元前3世紀頃と知ってびっくり。日本でいうと弥生時代ですよね、遺構とかで当時が偲べる程度の大昔。すでに数学という学問、今でも基礎として充分通じる学問を確立していたことに驚き。
メソポタミア文明時の粘土版に刻まれた正方形の対角線部分に「√2(を意味する古代数字)」と刻まれていたり、紀元前1800年ごろ(今から3800年ほど前)の粘土版に古代バビロニア数字で三平方の定理に適う3つの数字の組合わせが「他の2辺の和/直角三角形の底辺」が小さいものから順に15組も刻まれていたり、といったエピソードを読むと、古代の数学レベルの高さに驚いてしまう。
ユークリッド幾何学を超えた近代、現代、そして未来へとまだまだ数学は進化していくようで、はじめに、で書かれているような「征服史としての数学史」「世界の興亡史の中での数学」というところまでは感じられなかったものの、数学史という、今まで意識したことのないものの見方を教えてもらえました。
Posted by ブクログ
破綻せずに、現代数学まで世界の歴史をうまく接続させた。締めくくりは圏論だった。
最後まで読み通すのに、なかなかの素養が求められる。数学はもちろん、現代物理の素養も。
P142の通約不可能性の証明が無理数の発見と同等というのは、あらためてすごい発見だなと痛感した。
P173の無限を有限で表現する方法(現代ではεδ論法か)は見事。
Posted by ブクログ
数学がどのような流れで今の形になったのか。数式を抑えて、概念の変遷を中心に、わかりやすく丁寧に書かれている。
数学史というわけではないけれど、数学というものを俯瞰的に捉え直すことができて楽しい。
昔、ベルの「数学を作った人々」で人を中心に数学をながめ、吉田洋一と赤攝也による「数学序説」やクーラントとロビンズの「数学とは何か」などで数学の内容をもって数学をながめたのとはまた違う満足感がある。
ただ、終盤19世紀以後が駆け足で過ぎ去ってしまい残念。丁寧に書くとそれだけで分厚い本にならざるを得ないだろうから仕方ないかな。
Posted by ブクログ
数学がバビロニア、エジプト、インド、中国それぞれで始まり、ギリシャのユークリッド的な論証数学 総合的演繹的数学とインドアラビア経由の解析的発見的数学が16世紀にヨーロッパで交わり微積分の発見へとつながっていった歴史が判り易く書かれている。残念ながら その後の代数方程式のガロア理論や非ユークリッド幾何学、リーマン幾何学など現代数学への道筋は駆け足で良く判らなかった。
備忘録
バビロニア 紀元前3500ウルク期 60進法 ピタゴラス 粘土板
エジプト 紀元前3000 二倍法による掛け算 パピルス
インド 紀元前1000ヴェーダ聖典 499アールヤバティーヤ ゼロの発見
10進法位取り記数法、筆算
14世紀マーダヴァ 三角関数無限級数表示
ライプニッツの公式より300年前にπの公式
中国 紀元前7000 九章算術 負数 天元術による連立方程式 竹簡
4大文明とも 面積 体積 等積変形 円周率 三平方の定理を個別に研究
ギリシャ タレス、プラトン、アルキメデス、 定理と証明 ゼノンの逆理
アキレスと亀 運動と現実は適合しない
ヘレニズム アレキサンドリアのムセイオン ユークリッド原論紀元前300頃
アルキメデス円の計測(3.14)外接と内接から評価する点が白眉
アラビア アルゴリズム代数学 機械的な手順と解析的な数学(なぜか負数なし)
イタリア 1202フィボナッチ 複素数
16世紀以降 ニュートン、ライプニッツ 微分積分
オイラー 無限級数の母関数展開