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古代バビロニアで粘土板に二次方程式の解法が刻まれてから四千年、多くの人々の情熱と天才、努力と葛藤によって、人類は壮大な数学の世界を見出した。通約不可能性、円周率、微積分、非ユークリッド幾何、集合論-それぞれの発見やパラダイムシフトは、数学史全体の中でどのような意味を持ち、どのような発展をもたらしたのか。歴史の大きなうねりを一望しつつ、和算の成果や19世紀以降の展開についても充実させた数学史決定版。
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Posted by ブクログ
数学するということが、そもそも、どういうものであるかというところから始めているのが素晴らしかった。
割り算が、文明によって、異なる処理のされかたをしているのが興味深い。特に、ユークリッドの互除法が割り算と強い関係にあったことに気づかされた。
ニュートンやライプニッツが微分積分学を発見したとは言い切れないというところに面白さを感じた。
和算がどういうものか気になってきた。ただし、西洋の数学は内に矛盾を貯めているのが特徴のようである。
射影幾何学は長さや角度を無視する幾何学であるということを知り、ためになった。
素人でも理解できるのは、19世紀くらいまでだと思った。20世紀以降は、層や多様体、作用素環やスキーム、トポスは理解しにくいかもしれない。
主軸として、計算する数学と計算しない数学(見る数学)をもとにしているので、読みやすかった。
主題があるので、歴史の順序が右往左往するが、それは、最後の年表をみれば済むことなので、気にすることはないと思う。
Posted by ブクログ
紀元前のユークリッド「原論」やアルキメデスからフェルマーや現代の研究者までの数学の歴史について記したもの。簡潔にまとめられているが、素人には内容が難しい。特に近代の数学の理論は理解できなかった。印象的な記述を記す。
「ユークリッド「原論」」
「アルキメデス」
「フィボナッチ数列(ウサギの繁殖行動)
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55..
隣り合うフィボナッチ数の比
Φ=1+1/ 1+1/ 1+1/1+...=1+1/Φ
=1+√5/2
=1.618033989...(黄金比)」
「オイラーのゼータ関数
1/1※2 +1/2※2 +1/3※2 +1/4※2 +...+1/n※2 =π※2/6」
Posted by ブクログ
「古代ギリシャ世界から始まり、中世アラビア世界を経由して、その後ヨーロッパ世界に流入」(p.i)する「西洋数学」の流れ、そして「古代中国に起源を発し、近世以降の日本に和算という独特の数学の伝統をもたらした」(同)「東洋数学」の流れについて概説し、その2つが統合されていきつつある「現代の数学」について述べられている。
数学の門外漢が読むと、ほとんど理解不能な部分もあったが、そのエッセンスというか、ある枠組みが取っ払われてもう1つの枠組みが構築されていく様子が、まるでミステリーのどんでん返しのような感じがして、面白いと思った。
まず数学には「『計算する』という数学の形式的側面と、図形を『見る』という直観的側面」(pp.15-6)の2つの側面があって、いわば縦糸と横糸のような2本がどう織り合わされていくのか、といった面があるということに気付かされた。これに符号するように、本書のサブタイトルである「正しさへの挑戦」に示されている「正しさ」というのが「知性的な精神活動であるという側面と、感性による受け入れという側面」(p.34)があり、長い引用になってしまうが、「数学するという行為においては、直観の重要性はいくら強調しても強調しすぎることはない。数学の進化とは、正しさの直観能力の進化である。それは人間の悟性が、より抽象的な世界の中に新たな正しさを見出すことである。そして数学における抽象化とは、対象やパターンに対する意図的な健忘を通して、人間の感性を洗練することに他ならない。」(pp.34-5)という部分は、おそらく数学を研究する上で心得ておくべき大事な部分、というか数学の持つ「美しさ」を発見する上で必要な認識なんだろうなと思った。数学に限らずすべての自然科学、あるいはそれをモデルとした諸分野で、こういった感性を研ぎ澄ます必要があるのではないかと思った。逆に緻密な演繹的作業が行われていても、感覚的に違うと思うような理論は、全人類的な学問にはならないんじゃないかとも思った。
議論からは逸れてしまうが、なぜ古代ギリシャ人が色んなことを思いついたのか、というあたりの説明が面白い(pp.76-8)。要するにヒマだったから、とか計算が苦手だったから、と説明されている。ヒマな人たちがいないと哲学に帰結されるような学問は発展しないのかな、と思ってみたり。
具体的な数学の話としては、やっぱり微分の話が面白い。微分というと、単にグラフ書いて接線の式を求めるとか、そういう作業的なものという意識がおれには強いが、要するに「運動の瞬間速度を求めることと、函数のグラフの接線を求めることは、同じ数学的現象を二通りに言い表したものに過ぎない。どちらも『変化率』、つまり変化の割合が問題となっているからだ。」(p.129)のあたりが、面白い。どんな曲線もある1点から極めて微細な距離を持った点までは直線なんじゃないか、という。そもそも点という概念の難しさや、極めて微細な、というあたりの、限りなくゼロ、無限、という概念が数学の中の大きなトピックになっているように思えた。
また、やっぱり非ユークリッド幾何学の発見、というのはよく分からないけどすごいと思った。平行線は交わる、という考えを積極的に認めようとする理論なんて、凡人には思いが至らない。
というように、よくは分からないけど、数学の発展の歴史を概観しながら、数学とはどういうことをどういう風に考えるものなのかということをそれなりに知ることはできる有益な本だった。よく言うことではあるけど、こういうことを理解していれば高校の数学はもっと面白いと思ったかもしれない、という月並みな感想を持った。(15/01/2-)
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