天童荒太のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
未だに思い出したように余震が続く東日本大震災。
一瞬の出来事が多くの人々の生死を分け、15,000余の方々が亡くなり、9,000弱の行方不明者が残る。
遺体があがらない、見つかっても判別がつかない、多くの人がこのような死の形に向き合わなければならない事態は戦後の平和な時代には絶えて無かったものと思われる。
全国を放浪し死者を〈悼む〉旅を続ける坂築静人。彼ならこれにどう向き合うのか。
彼の行為をどう捉えたら良いのか、薄気味悪い、得体の知れない、意味分かんない…、もどかしさとも悩ましさともつかない思いを持ちつつ、しかし、蒔野や倖世と同じく放っておけずに読み進め次第次第にその世界に入り込む。
『亡くなった人を、ほかの人とは代えられない唯一の存在として覚えておきたいんです』と、『その人は、誰を愛したか。誰に愛されたか。どんなことで人に感謝されたことがあったか』を問い続ける。
三流週刊誌の記事を読むような生々しさをもって多くの死が描かれ、加えて彼を取り巻く人々‐人生に倦んだ週刊誌記者、自らが手にかけた夫の亡霊に取り憑かれた女、対人恐怖症の父、末期癌の母、別れた恋人の子を身籠る妹‐の壮絶な人生模様に人間の本性が垣間顔を出す。
『彼はいまどこですか。何をしていますか。なぜあんなことをしていたのでしょう。いまもああした行為をつづけていますか。何が目的ですか。〈悼む人〉は、誰ですか』…戸惑いのまま下巻へ。 -
Posted by ブクログ
家族とは何か。
幸福な家族、成功した家族、失敗した家族、普通の家族。
普通の家族ってどんなものだろう。
理想の家族ってあるんだろうか。
虐待を受ける子ども、非行傾向の子ども、被害を受ける子ども、その家族、支援する児童相談センター心理職、自らの家庭も壊れてしまった警察官、家族は持ちたくない高校教師。
できるだけ見たくない世界だ。
けど、見ないわけにはいかない世界。
私もその世界にいる。
家族、って、近いだけ難しいと思う。
周りからみえるほど単純じゃないし、入り組んで複雑だと思う。
そこに、乗り込んでいかないといけない。
すごい決意がいるし、中途半端な気持ちでは関われない。
私には、まだ決意ができていないのだと思う。