福井憲彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マリーアントワネットの日記を読んで、フランス史に興味が出て購入。
ケルトからEU成立までの2000年を超える歴史が400ページほどでつらつらと綴られている。
高校で世界史を学んでいたが、人名や地名といった固有名詞を記憶していただけで、いざ説明をするとなると「ナポレオンはすごい人」「ルイ16世とマリーアントワネットは悪い人」ぐらいしか言えなかったので、そういった覚えているだけの固有名詞たちに本書のおかげでたくさんの情報を紐づけることができた。本はいつもノートをとりながら読んでいるのだが、40ページを超えたぐらいだ。
読んでて楽しかったのは中世から絶対王政が始まる前。人名は「○○何世」しかいなくてややこしく、出来事は冷静に考えてみたらむちゃくちゃしてる感じが大好き。百年戦争や聖バルテルミの虐殺あたりが勢いあっておすすめだ。
学生の時は苦行だった中世が楽しく読めたのは、本のはじめに「一国の歴史の集まりで世界史をみないように」と著者が注意してくれたからだ。繰り返し警告してくれているが、国のかたち、政治のありよう、人々の常識が今と昔とでは全く違うことを念頭に置くことでこんなにも昔の時代を読むのが楽しいものなのかと読み進めながらびっくりした。
読み切るのに2週間近くかかってしまったが、その2週間は知識欲が満たされてとても幸せだった。興味のある方、ぜひ手にとってほしい。
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Posted by ブクログ
世界史についての本。
興亡の世界史というシリーズの中の最終巻。2007年に出されていたが、文庫化されるにあたって新しく手直しされたもの。
従来の世界史というのは西洋史を中心としたものであったが、本書ではそれに対してもっと多文化的で中立的な世界史を提唱している。
人口問題については、人口バランスとその国の繁栄について書かれており勉強になった。日本は戦後の復興期、高度成長期に人口ボーナス期を迎え、一気に経済繁栄した。これからは急速な高齢化と少子化で人口減少時代を迎える。経済的な縮小はやむを得ないだろうと思う。しかし、世界的には人口増加による環境問題に直面しており、日本の人口減少は今後に必要な世界的人口減少に先駆けたものと考えれば、やむを得ないのかもしれない。
海の歴史についてはインドを中心に西と東がインド洋で交流していたダイナミックな歴史が興味深かった。その後にヨーロッパの産業革命がおこり蒸気機関による船舶が開発され、西洋による世界の植民地化の歴史については、力による支配に辛い気持ちになる部分があった。
アフリカの悲惨な歴史については、最も衝撃的であった。アフリカには部族がいてそれが抗争して未開である、という今日のアフリカ像が西洋的な視点から作られたものであると書かれていた。アフリカの部族という存在は古くからの伝統かと思っていたが、西洋の植民地化で地域ごとに部族を縛り付けて孤立させ固定化した結果であると知った。
さらに、奴隷貿易がアフリカの発展に壊滅的な打撃を与えた。奴隷制度が西洋の発展と自由で民主的な生活スタイルを作ったが、その悪影響をもろにかぶった地域なのだと再認識した。
全体にアンチ西洋の雰囲気を感じたが、日本独自の世界史への関わりを提唱していて面白かった。地域ごとにダイナミックな歴史と異文化交流があったことを知ることができ、他のシリーズも読んでみたいと思った。
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Posted by ブクログ
ただ教科書的にイベントの羅列をするのではなく、誰もが知るような大きな出来事の背景を非常にわかりやすく解説してくれている。
長らくヨーロッパの帝国主義・植民地化の動きの背景となるマインドがわからずにいたが、産業発展・文明化されていない他国の啓蒙やキリスト教の布教という極めて一方的な理由であることがわかった。中には投資先の拡大という理由もあった。
「投資先の拡大」と書いて思ったけれど、
産業革命以前には、裕福な貴族と、家庭内手工業的な働き方だった市民や農民と明確に区別がなされ、その範囲内での経済活動であった。もちろん税金の免除など特例がなされていた貴族層に対して不満はあったにせよ、自らの意思で経済活動を行い、被支配感というのは大きくなかったのではないかと思う。
一方で、産業革命を経て資本家が誕生し、市民や農民は工場などに集められ(自らの意思でというよりも、雇用を求めて仕方ない部分が大きかったのではないか。現代でもそうだと思う)、聖月曜日も否定され、子どもも働かされるような、それまでの人権が一部否定されるような環境へと変貌してしまった。技術の発展に伴いあわよくば一般的な所得の人でも資本家へとなれる可能性は拡大した?かもしれないが、やはり相対的貧困やなんとなく感じる抑圧感というのは拡大してしまったと思う。
それは突然商品として売り出されることになった奴隷と近しいものに感じるし、現代社会も似たようなものだと思う。自ら企業するなりお店を経営することも可能だが、失敗することのリスクが大きすぎる。それであればある程度の自由や権利を削ぎ落としてでも、企業傘下で自らの時間と労働力を提供するほうが、経済的・社会的に安心を得ることができる。生きてはいられるけれども、保守的な社会。もっと人間的なるもの(創作や芸術活動や自分のアイデアをもとにした経済活動など)が爆発した世の中の方が楽しいだろうなと思う人は多いと思う。それと現実は異なるし、そのような社会が現実になったこともない(労働の価値が低かった古代ギリシャだってその背景には奴隷がいた)。そういった社会はどうしたら実現するんだろうなと思う。 -
Posted by ブクログ
学習院大学学長(フランス近現代史専攻)の福井憲彦(1946-)による近代ヨーロッパ史概論。
【構成】
1 ヨーロッパによる海外進出の開始
2 世界交易における覇権争い
3 18世紀における社会経済と政治
4 「啓蒙の光」と近代思想の誕生
5 人口増加の開始から「移動の世紀」へ
6 革命に揺れる大西洋世界
7 ウィーン体制と48年諸革命
8 工業化と社会の変容
9 農村のヨーロッパと都市のヨーロッパ
10 科学技術の実用化と産業文明の成立
11 国民国家とナショナリズム
12 植民地帝国という野望の衝突
13 さまざまな帝国主義
14 第一次世界大戦という激震
15 歴史文化の継承と芸術的創造
終章 近代ヨーロッパの光と陰
本書は、2005年に出版された放送大学テキストの文庫化である。
わずか250頁あまりだが、上記構成を見ればわかるように構成として社会・思想分野を中心に論が組まれているため、細かい政治外交史上のイベントの記述にはほとんど触れられていないので、高校生でも難なく読めるぐらいの内容である。
とはいえ、第3章の18世紀農業経済史、第5章の人口論、第9章の農村経済の変容、第15章の世紀末文化のあたりは政治史からは見えてこない内容が多く、面白く読めた。 -
Posted by ブクログ
ウェルキンゲトリクス。カエサル(ローマ)の侵略に抵抗したケルト人。フランスの英雄。p.28
ユーグ・カペーの「カペー」はあだ名で、ケープの意味。ユーグがケープを愛用していたから。p.50
三十年戦争で財政難になり、マザランは増税法令を作る。法令を承認する権限をもつ高等法院(官職をもつ貴族が運営)が、これを拒否。すると、マザランは官職の給与を4年間停止した。これに官職をもつ貴族が反発した。フロンドの乱。p.119
ルイ14と15の放漫財政の尻ぬぐいのため、ルイ16は経済学者テュルゴーに財政立て直しを命じる。テュルゴーはほぼ無税の扱いだった聖職者と貴族にも税金を負担させようとしたが、反発にあって失脚。p.139 -
Posted by ブクログ
パリの歴史をざっと網羅できてよかった。
時系列ではあるものの、宗教・政治・芸術・学問など、テーマが統一されていない中で時間が流れていくような構成になっていたので、ちょっと読みづらかった。(慣れたけど。)
パリはかなり昔からデザインされた街という点で特殊なのだと感じた。
山手線一周ほどの広さなのにかなりの区があって、それぞれ特徴があったり、右岸と左岸で雰囲気が違うのはそうしたデザインされた街だからこそなんだろうなと思った。
パリ左岸は学問が発展したエリアということで、フランスの学問の歴史が書かれていた。
ワインがやや学問チックだったり、ミシュランが評論チックだったりする理由がなんとなくわかった気がする。
また、中世のフランスの識字率(日本と比較したもの)と、フランス語教育についても興味深かった。
歴史や格式を重んじるフランスは言語にもルールをしっかり定めているらしい。
そうした理由からフランス人はフランス語に誇りを持っているのだろうと感じた。(フランス人はフランス語しか話さないと言われているのはそうした背景もありそう)
あとはフランスは万博の影響が大かったことも驚き。
フランスでジャポニズムが流行っていたのも知らなかった。
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Posted by ブクログ
このテーマを1冊でまとめることに無理を感じたが、大きな流れをつかむには勉強になった。
・14世紀にペストが大流行した後、15世紀半ばから17世紀半ばにかけて人口は増加したが、17世紀半ばからは気候の寒冷化を背景として疫病・飢饉・戦争の三悪によって人口は再び停滞した。
・18世紀に北西ヨーロッパで経済成長が始まった要因は、マメ科植物の導入や畜産との併用などによる農法の技術改良によって食糧事情が好転したこと、それに伴って人口が継続的に増加したこと、ギルドなどの同業組合が衰退して職業活動が自由になったこと、経済活動がヨーロッパ外へ膨張したことがあげられる。
・イギリスでは、17世紀にピューリタン革命による一時的な共和体制の実現を経て、名誉革命による立憲王政を確立し、安定した政治体制を実現したことが、経済的に展開する重要な基盤となった。また、オランダでは、スペインから独立して以来、商業に携わる有力者たちが政治的な支配層を形成していた。
・イギリスとオランダ以外の18世紀のヨーロッパは、既存の王権に基づいた政治体制を変更することなく社会経済の動きをあらたにする啓蒙専制の時代になっていったが、中途半端な展開に終わり、フランスでは政治体制が革命的に変化することになった。
・18世紀後半からの産業革命によって、イギリスは圧倒的に有利な立場に立ったため、後発の多くの国家は保護関税体制と政府主導による産業育成政策をとる殖産興業や、生産のための原料と市場を確保するための強兵政策を採用した。