山室信一のレビュー一覧

  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    概要
    わずか13年間中国に存在した日本の傀儡国家「満州国」。満州の建国背景、国家理念、統治機構を明らかにし、そこに表れた近代日本の中国や韓国に対しての差別意識、天皇制という国家体制についてが語られる。

    感想
    文章に風格があり、歴史もので有りがちな淡々とした描写ではなく小説のような読み味。
    正直難しい言い回しや熟語が多く、読むのは中々骨が折れた。

    満洲国を実験国家として理念をぶち上げておきながら、結局それらは欺瞞まみれで中国人や朝鮮人を日本の様式に無理矢理従わせ、待遇や金銭面など色々な場面で差別する歪な構造にしかならなかった。
    近代日本の歪みがわかりやすく形になっている

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    2024年09月03日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    王道楽土の建設の夢も歪み、占領政策化した満洲国の肖像を省みる。ロシアのウクライナ侵攻に合わせて、ロシアの主張と蛮行がもたらしているものが、私たちの歴史と無縁でないことを、今だからこそ思う。

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    2022年11月20日
  • モダン語の世界へ 流行語で探る近現代

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    ポストモダンという言葉によって超越されちゃっているからなのか…お好み焼きのモダン焼きな感じで過去の最先端みたいなイメージがついちゃっているからなのか…モダンには、ちょっと微妙なニュアンスがります。だから、本書で流行語でもなく新語でもなく「モダン語」という初めての括りで日本人が使ってきた言葉を総覧すると、肯定的という訳でもなく否定的という訳でもなく日本人が新しい出来事に対して何を語ろうとしてきたか、の地に足がついて血が通った記録になったような気がしました。舞台は1910〜30年。第一次世界大戦が始まり、そして終わり第二次世界大戦が始まるまでの時代。日本に資本主義が定着し、マスコミが成長し、識字率が向上し、グローバル経済とのシンクロが進行した季節。映像だとモノクロの世界で人々がパタパタ動いていて、書籍だと後の視点で総括され語られていますが、単語から見ると、なんて今の時代と感覚はほとんど変わらない、なんて現代に相通じるのだろうと驚きました。言葉の生まれ方、作られ方は、現代のコピーラーターや雑誌編集者の手法となにも変わらないような気がします。またジェンダーを揶揄する◯◯ガールの羅列をみると女子に対する視線は100年たっても変わらないのかな、とも思いました。今年、高齢の親の携帯をスマホに変えたのですが、操作より機能より用語の難しさに、打ち拉がれています。日々使う単語は生活の変化で変化し、それを取り込めないと生活から拒絶されるのは100年前から続いているのだと思います。著者の見識の幅があまりに広く、対象領域が広汎なので読む側は呆然とした気持ちになりますが、この新書は「日本人は何を気にしていたのか?考えていたのか?」の記録だと思います。

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    2021年09月11日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    京都大学人文科学研究所教授(近代日本政治史)の山室信一(1951-)による「満洲国」の成立と変容。

    【構成】
    序章 満洲国へのまなざし
    第1章日本の活くる唯一の途-関東軍・満蒙領有論の射程
    第2章在満各民族の楽土たらしむ-新国家建設工作と建国理念の模索
    第3章世界政治の模範となさんとす-道義立国の大旆と満洲国政治の形成
    第4章経邦の長策は常に日本帝国と協力同心-王道楽土の蹉跌と日満一体化の道程
    終章 キメラ-その実相と幻像

    驚愕の歴史研究である。

    「満洲国」と呼ばれる国は、わずか12年の間しかこの世に存在していなかった。にも関わらず、その実相についてある日本人は王道楽土を追求した理想郷といい、ある中国人は傀儡の「偽満洲国」であるという。
    本書は、その満洲国を「頭が獅子、胴が羊、尾が龍という怪物キメラと想定してみたい。獅子は関東軍、羊は天皇制国家、龍は中国皇帝および近代中国にそれぞれ比」して、その胚胎していた要素が刻々と変化しながら表層に浮かび上がる様を記している。

    明治の山縣以来、国家の利益線が主張されてきたが、第一次大戦後の満洲における軍閥割拠・反日運動激化への相乗効果として関東軍が肥大化した。そして、そのために内地の人口問題、食糧不足、朝鮮経営の安定化、そして来るべき大国との経済・軍事的競争に打ち克つために、広大な満洲を手中に収めることが必須と妄想されるようになった。
    満洲事変は林銑十郎司令官隷下の朝鮮軍が越境したことにより軍事的成功を収めたことはまさにこの欲望を充足するためである。

    そのような剥き出しの欲望とともに、蒋介石政権や馬賊の抑圧から満洲人民を解放し、日漢満鮮蒙の民族が相和す五族協和・王道楽土を満洲の地に築こうという理念も1920年代末から生起した。多数ではないが、満洲在住の漢人・満人の一部も満人の開放・独立を志向ししていた。
    石原完爾・板垣征四郎が主導し純軍事的な行動であった満洲事変ではあったが、その裏には満洲独立を彩る道義的な理念がなかったわけではなかったことを第2章は示している。それ故に、ラストエンペラーであった愛真覚羅溥儀を執政として迎え、翌年には工程として即位させることがその理念実現には不可欠であった。

    しかしながら、できあがった満洲国は総務庁を中心とした日系優位が貫徹した組織であり、重要ポストにおける日満比率は次第に日本側に傾斜し、建国時の理念を唱えた満人・漢人たちはことごとく排斥されていく。溥儀を補弼すべき国務総理大臣ですら、有能でもない、日本語も解さない人物が補せられ、全くの骨抜きとなっていく。無論その実験を握るのは関東軍司令官であった。
    そして王道と唱えた、建国理念すらも日満一体の名の下に、八紘一宇という皇道に吸収され、皮相すら消え失せた。
    五族協和といいながら、満人・漢人を徹底的に侮蔑し、労働力として駆り出し、収奪した作物を内地へ移入して満洲には還元せずに吸い上げていく。一方で、理想国家・計画経済の実験場としての満洲国に数多くの日本人テクノクラートが入り、辣腕をふるった。皮肉なことに、それを模倣した高度国防国家・国家総動員体制という名の下に、内地の日本に照射される。日本人が歴史上手にした最もエゴイスティックな国制が満洲国だったと言えるだろう。

    その国家がソ連の侵攻により最期を迎える時、搾取の対象であった満人・漢人だけでなく、大号令をかけて内地から移民させた日本人農民すらも遺棄して国家中枢である関東軍首脳は逃亡した。
    雲散霧消した国家の後に残るは、理想的な都市計画によって築かれた都市部の壮麗な建築物、あとは蹂躙された戦死者の遺体、遺された未亡人・子ども、シベリアに抑留された兵士、そして恨みの記憶であったろう。

    文学的とも言える文章によって紡がれたこのどす暗い歴史。
    思想史であり、政治史であり、社会史でもある。歴史学が総合的な学問であることを思い知らされる。
    一つになりそうもないテーマを著者の実力で何とかまとめあげた、そんな印象を受ける。

    何にせよ、新書か単行本かを問わず、「満洲国」を知る上で避けられない文献であり、時代を経ても読み継がれる古典となる一書である。

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    2013年11月24日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    「昭和の戦争だって、満州から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うけど、そんなことないね。昔も『満州は日本の生命線』と言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか」 と、小泉純一郎元首相は脱原発に転じて言った。

    1929年に「満蒙問題の解決は、日本の活くる唯一の途なり」と言ったのは石原莞爾。しかし、満州国建国がなぜわが国にとって経済的救世主たりうるのか、そしてなぜ満蒙が起死回生の新天地と目されたのか、それは確固たる裏づけに基づいての展望ではない。単なる希望的観測にすぎなかった。そうした過剰な期待が吐露されたのは、世界恐慌に巻き込まれ、冷害や凶作に追い討ちをかけられてどん底にあった日本経済がその突破口として満州国に求めざるをえなかった。1931年には窮迫した農村で娘の身売りが続出して娘地獄と呼ばれる事態が起きた。東大法学部の就職率も26%と史上最低を記録。このような社会情勢のなかで、絶望と閉塞感の裏返しが満州国への希望となり、それが「満州へ!」という満州国ブームを沸騰させていった。 
    当時の日本青年は、満州の地に民族協和する理想国家を建設しようと情熱を燃やして満州国に馳せ参じた。そして国づくりに精魂を傾けた。
    ライフネット出口会長の推薦書。

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    2013年10月05日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    加藤陽子 満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉 (岩波新書)からの展開

    満洲国についての概説書として、満洲国の国制や建国の流れ、その根底にあった思想について網羅しつつ、一方で掛け声ばかりの民族協和とその実態がもたらした不条理について迫力を持って描いている。
    満洲国初心者としては非常に読みやすかったし、物語的にも非常に興味深く読むことができた。

    一方でかなり筆者の満洲国に対するものの見方という点においては、満洲国の二律背反的な部分を認めながらも、基本的には批判的な立場をとっているため、一般的には十分に中立的だと思うが、読む人が読めば受け入れられ難いかもしれない。
    少なくとも読んでいて胸がすくような本ではなく、読めば読むほどもやもやする本なので。

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    2011年12月26日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    まず初めに、新書レベルとしてはかなり専門的な内容であり、大学受験程度の知識を持っている人間でも予備知識なしに読むのは難しい。巻末の増補解説がかなり分かりやすいのでまずはそちらを読むことをすすめる。本編は学術的でありながらも(良くも悪くも)感情の起伏に富む面もあるが、増補解説についてはかなり冷静な分析がなされているので、そういう意味でも増補解説から読んでもらいたい。

    その上でこの本は満洲国がどのような実体を持つ国家体であったのかについて非常に示唆に富む内容である。一部に関して被害者側に重きを置いている感はあるが、それは仕方のないことであろう。
    満洲国がなぜ傀儡政権と言われたのか、その実情がどのように変容していったのか、日本に与えた影響などを細かに分析し、「キメラ」と言う1単語に集約させている。学術論文にかなり近い内容でありながら小説のようなテーマ性を持たせた筆者の力には舌を巻く。
    日本史、中国史では聞き慣れない人名が多く、読み進めるのに苦労するとは思うが、後半になればなるほど「キメラ」という言葉に向かって綺麗に収束されていくので是非読み進めてほしい。

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    2023年11月07日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    満洲国の肖像をギリシア神話の怪獣キメラになぞらえて描くことで、その建国の背景、国家理念、統治機構などの特色を明らかにし、そこに表れた近代日本の国家観察や民族観、アジア観を抉り出している。
    新書だが重厚で説得力のある内容。満洲国の理念として語られてきた「民族協和」「順天安民」「王道楽土」といったスローガンが、(当初それらを本気で信じて取り組んでいた人々が一部いたとしても)総体として口先だけの欺瞞に過ぎなかったということがよく理解できた。「満洲国にも良い側面があった」などという言説で目を背けてはいけない近代日本の醜悪な側面が凝縮されていると感じた。著者が指摘するように、満洲国崩壊時の中国人学生が語った「善意がいかようにあれ、満洲国の実質」は「帝国主義日本のカイライ政権のほかのなにものでもなかった」という言葉に尽きていると思う。

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    2022年06月12日
  • モダン語の世界へ 流行語で探る近現代

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    <目次>
    はじめに ようこそ、モダン語の世界へ
    第1章  モダン、そしてモダン語とは?
    第2章  百花繚乱~モダン語のパノラマ
    第3章  行き交う言葉と変転する文化
    第4章  モダンの波頭を切るガール
    第5章  モダンを超え、尖端へ、その先へ
    第6章  エロとグロとその後にくるもの
    第7章  アジア、ローカル、アメリカとの往還
    おわりに 終わりなき「始まりの思詞学」

    <内容>
    第一次世界大戦から第二次世界大戦の間を中心に、流行語(モダン語)を意味、使い方、使い方の変遷、時代との関連などを分析することで、政治家や軍人などの動きではなく、庶民の考えやうねりなどを見て行こうとするもの。著者は「思詞学」と名付けている。流行語をその場で分析するだけなく、多くの文献にあたり、時代背景を探りながら、大きな歴史のうねりと対応させていく分析が面白かった。 

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    2021年05月22日
  • 大正=歴史の踊り場とは何か 現代の起点を探る

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    ネタバレ

    古くて新しい問題「地方学」
    「自由と責任」
    多くに事が、100年たっても解決されないままでいる。
    「大正」に起源をもつ現代的な問題の多いことよ。

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    2021年01月02日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    当時の文書を徹底的に掘り起こした本格的論文。よく新書で出版したなという感じ。
    読んで改めて思うのは、列強の圧迫の中で生き残る、という日本なりの言い分はあったとしても、満州への日本の進出は当時の基準で見てさえ明白な国際法違反だったと言わざるを得ないこと。

    日本軍内部でも「さすがにこれは持たないんじゃないの」という議論がさんざんなされている。当初直接占領を理想と掲げた石原莞爾は、妥協策として考え出した「五族協和の満州国」という建前にだんだん本気で惹かれていく。そして、民族の壁を越えた理想国家、という理念に貢献しようとして海を渡った善意の日本人が多くいたことも事実。

    しかしその実態は、日本人が官僚、警察、軍を支配するまぎれもない傀儡国家。満州人に皇居のある東に向かっての遥拝を強制・・・。中国戦線不拡大論者だった昭和天皇も全く本意ではなかったろう・・。

    「てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った」という詩は、当時の満州と日本を覆った漠然とした希望と不安を体感していないとなかなか本当の味がわからないのでは、という趣旨の著者の指摘は印象的だった。

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    2019年01月01日
  • 「戦後80年」はあるのか――「本と新聞の大学」講義録

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    本のタイトルにあるように、日本に今後戦後80年は
    くるのかという議題で、現政権を中心に批判する
    下記の講義集
    内田樹氏ー比較敗戦論
    東浩紀-本と新聞と大学は生き残れるか
    木村草太-集団的自衛権問題とはなんだったのか
    山室信一-戦後が戦前に転じるとき
    上野千鶴子-戦後日本の下半身
    河村小百合-この国の財政・経済のこれから
    姜尚中-総括講演
    このなかでも、山室信一氏、上野千鶴子氏、河村小百合氏の
    3本がとても興味を引きました。
    どれも、日本が破綻し、または戦争の道に進むのでは
    ないかという潜在的な恐れを感じる内容です。

    支持率は高いですが、本当に今の政権でいいのでしょうか?
    他人事ではないような気がします。英国や米国、韓国、
    日本と反知性主義的というのか、そういうものが蔓延して、
    そのうえに乗っかっている知性的でない治世者に将来を
    奪われていくことになるような暗い気持ちになってきます。
    そうではないかもしれませんが、そうならないためにも
    これらのことを、警告として受け止めて
    自分の判断基軸の一つとして認識することに意味が
    あるのではないかと思います。

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    2016年11月26日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    満蒙領有か独立国家建設か、共和制か帝政か。
    満州国成立までの紆余曲折を丁寧に描き出している点がよい。

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    2015年03月15日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    フォトリーディング&スーパーリーディング

    満州帝国の歴史の概要を知ろうと思って読んだ。理解したポイントは以下の点:

    満州帝国建国は日本の防衛のため。(赤化防止の防波堤。)

    第一次大戦以後の戦争は総力戦。その総力戦を意識して日本は資源や食糧の自給自足体制を目指した。満州国建国は欧米のブロック経済の日本版。

    満州国の理想は高かったが、現実の指導原理は日本のための支配という概念で動いた。そのため理想と現実のギャップを誰もが意識した。

    満州国は時代の必然から生まれたあだ花のような存在で、多くの人々に傷を与えた。

    関東軍は日本のために満州を支配した国民無き兵団だった。

    以上

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    2014年07月07日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    満洲国の入門にと思い手に取ったが、
    予想以上に熱のこもった記述と詳細な内容にひきつけられた。
    入門書としては難しい内容もあるが、
    読みづらい箇所は少なく素直に読み進められる。
    増補に伴う補章の内容も著者自身の言葉で
    満洲国の基礎的事項を説明しており、大変助かった。

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    2012年06月20日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    一九三二年三月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか一三年五カ月後に姿を消した国家、満洲国。
    今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。
    本書は建国の背景、国家理念、統治機構の特色を明らかにし、そこに凝縮して現れた近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す試みである。
    新たに満洲・満洲国の前史と戦後に及ぼした影響など、その歴史的意義を想定問答形式によって概観する章を増補した。

    [ 目次 ]
    序章 満洲国へのまなざし
    第1章 日本の活くる唯一の途―関東軍・満蒙領有論の射程
    第2章 在満蒙各民族の楽土たらしむ―新国家建設工作と建国理念の模索
    第3章 世界政治の模範となさんとす―道義立国の大旆と満州国政治の形成
    第4章 経邦の長策は常に日本帝国と協力同心― 王道楽土の蹉跌と日満一体化の道程
    終章 キメラ―その実相と幻像
    補章 満洲そして満洲国の歴史的意味とは何であったか

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年04月02日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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    あ〜しんどかった。途中ついつい読み飛ばしてしまったところもあり。しかししかし、大力作です。現在の政治と照らし合わせても、吉田、岸、福田、大平の流れがすべて満州国とつながりがあるという記述には、ふ〜むとうならされます。

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    2011年09月09日
  • キメラ 満洲国の肖像 [増補版]

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     ■満洲国の成立と消滅までを、膨大な資料と著者の思念を持って書かれた「生きた」満洲についての歴史が語られる。当時は「五族協和」の「理想国家」でもあり、多くの者たちが夢と希望を持ち、満洲を眺めていたこと。米国大統領ウイルソンの「民族自立論」言い換えれば西欧的「膨張主義」から自国主義の影響で、中国の抗日戦線の活況があった。関東軍の捻じ曲げられた満州論、石原莞爾の「世界最終戦争論」から見た満州論の排除の過程と石原と板垣征四郎の確執。中国を知悉しその上で中国と日本の関係の理想を満州国に描いた橘撲(しらき)の理想であるが故の<変節>の過程。満州国建国の民族協和と王道政治理念と現実の満洲の「指導者層の齟齬と格闘と「理想」の費えていく過程が、中国と日本の「人々」の想いを絡めて描かれる。相した多様な側面を持つ満洲国の姿がギリシャ神話の「キメラ」のような国家として形容された。多くの者たちが、この「国家」について想いをめぐらせ、交錯した思いを募らせ、移民の国策や、不況社会で起きた農村部では不作によって娘を売りにだすまでの困窮が見られた時代の打開策として新聞は、満洲国への移民まで読者を煽った。■その様は、歴史的な感受性があれば、重厚な感涙を持って向かい入れざえるを得ない叙述が、縷々と述べられて、ある。■マルクス主義的な単純な「帝国主義」的な歴史観ではなく、それ故中国から見た満洲国の見方そのものでもない、また、近頃ブームの「皇国」史観とも違った歴史観から書かれている。「歴史」を想定できてている重厚かつ情のある歴史書。■本書によって日本とって、近代の「歴史」はかくも重い題材であることを再度確認させられる。近代史に向かうとき精神的に、重いものを負わせられているの、だ。■尚、石原莞爾の「世界最終戦争論」は、対米国との対戦を想定した記述があり、満洲国建設時の参謀である石原の想定が、当たってしまったことになる。米国は、日本が日露戦争の勝利し、米国大統領セオドア・ルーズベルトの仲介で、ポーツマス条約を結ぶことになるのだが、その当の本人が、「オレンジ計画」すなわち米国の対日本との戦争を想定した軍事戦略の策定を軍部に指示、策定していた。日本の戦略は、石原のような個人に帰せられ、米国はシステムに帰せられるその違いを、本書によって思い知らされることにもなった。

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    2009年10月04日
  • 見果てぬ夢 満州国外史

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    一言で言うと個人の感想や考察を綴った読み物です。
    で、これだけ読めるのは国を作ると言う特殊な環境下だからなのかな。
    身内の回顧録を読むのも不思議なもんです。

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    2025年10月03日
  • 「戦後80年」はあるのか――「本と新聞の大学」講義録

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    今日は令和4年8月15日だ。正午少し前から毎年の様に戦没者への哀悼を示す番組が国営放送(NHK)で流れ、武道館には天皇皇后両陛下だけでなく岸田首相も訪れ、正午の時報がなれば1分間の黙祷が捧げられる。1945年8月15日は昭和天皇による玉音放送が流れた日であり、ラジオで初めて聞く天皇の言葉の前に、何やら難しい事を言っている様だが、日本が戦争に負けた事だけは確からしい、と膝をついて泣き出すもの、心の中では生き残れたと安堵するもの、様々な感情が渦巻いた日でもある。特に戦争遂行の最前線にいた軍部には腹を切って自決するものも多数いた。
    終戦記念日と呼ばれるこの日は、この様に先の大戦において国民が戦争に負けた事を実感した日というのが正しいところであろう。実際に世界を見渡せば韓国は抗日戦争の終結は、日本支配が終わって独立した事を祈念する日だ。当然の事ながら中国もそうである。あれから78年の月日が過ぎた。
    日本では長く「戦後」という言葉で一括りにしている今に至る時代を果たしていつまで戦後と呼ぶか。これについて「本と新聞の大学」と題して朝日新聞社と集英社が共同で実施した講義が本書の内容となっている。本書が記載されたのは2016年であるから、当時はちょうど戦後70年の節目にあたり、果たして後10年、戦後80年は訪れるかを大きなテーマとしている。
    戦後に対して「戦前」という言葉がある。戦争に至るまでの歴史の経緯を辿った時、いつからが全然と呼ばれるかは、対象となる「戦争」を何にするかにもよる。石原莞爾がアジア・太平洋戦争のきっかけが何かと問われた際に、ペリー来航こそが外国からの侵略の始まりと捉えたのは有名な話であるが、海外からの侵略的行為に対して、国力をつけ国防を整備する、その流れの中から西洋と同じ様に外地に資源や労働力を求めて戦争に突入するという対極的な観点からは当たっていると感じる。本書はまずはそうした日本と海外との交戦の歴史に触れながら、先の大戦以降の「戦後」の具体的な話に入っていく。
    戦後は次の戦争が始まるまでの一時的な呼称であるから、日本が戦後80年より前に再び戦争をする可能性があるのか。この観点が本書の軸となっている。戦後の平和な時代を支えてきた平和憲法、在日米軍の抑止力、そして日本自体の国力となる経済および喫緊の最大の課題とも言える少子高齢社会の問題などを一つ一つ講義形式で読むことができるため非常にわかりやすい内容となっている。
    特に多額の借金を抱えながらも異次元の政策を取り続けた当時の黒田総裁下の日銀の施策などは、それから8年近く経った今、答え合わせもできる。実際には株価は上がったが、本書予測通り円の価値は下がり、本書執筆時点では存在しなかった新型コロナやウクライナ侵攻などが再び日本をはじめとする世界経済に大きな影響を及ぼしている。
    日本の周辺東アジア情勢を見てみれば、親日的な政策に舵を切った韓国に対して、相変わらずの嫌韓振りから目が覚めない日本、中国の脅威に晒されて、沖縄独立も現実味を帯びてきている。国を動かすのは非常に難しい事であるのは百も承知であるが、相変わらずの選挙投票率の低さを見ていると(直近の埼玉県知事選挙も30%を切っていた)、先ずは幼い頃から政治に参加するのが当たり前になる様な教育改革が必要ではないかと感じる。勿論長い目で見なければ成果がわからない様な施策を政治家が好むはずはない。株価を上げる様な目先の利益に囚われ、国債を乱発し将来にツケを残し、尚且つそれが原因で利上げもできずに円の価値暴落を引き起こすのが政治ではない。勿論、国家百年の計を意識しない政治家は皆無だろうから何らかの意図がある事は信じている。ただ持ち前の日本人らしさである、黙して語らずでは国民の「不安」は払拭できない。子供に苦労をさせる様な未来への懸念は、人々の心にいつも不安と壁を作っていく。
    開かれた政治を期待するとともに、自分からドアを開いて政治の中に入っていくような双方歩み寄りに必要なのは、本書の様なテーマの投げかけ(戦後80年は来るのか)になるのかもしれない。本書を出版する経緯に、人が集まって座談会形式で一つのテーマについて語る世の中にしたい、という意図がある。正にその通り、将来的に今の時期を戦後と見続けられるか、戦前になるのかは私たち一人一人が政治に参加して決めていかなければならない。

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    2023年08月15日