山室信一のレビュー一覧
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王道楽土の建設の夢も歪み、占領政策化した満洲国の肖像を省みる。ロシアのウクライナ侵攻に合わせて、ロシアの主張と蛮行がもたらしているものが、私たちの歴史と無縁でないことを、今だからこそ思う。Posted by ブクログ
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ポストモダンという言葉によって超越されちゃっているからなのか…お好み焼きのモダン焼きな感じで過去の最先端みたいなイメージがついちゃっているからなのか…モダンには、ちょっと微妙なニュアンスがります。だから、本書で流行語でもなく新語でもなく「モダン語」という初めての括りで日本人が使ってきた言葉を総覧する...続きを読むPosted by ブクログ
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京都大学人文科学研究所教授(近代日本政治史)の山室信一(1951-)による「満洲国」の成立と変容。
【構成】
序章 満洲国へのまなざし
第1章日本の活くる唯一の途-関東軍・満蒙領有論の射程
第2章在満各民族の楽土たらしむ-新国家建設工作と建国理念の模索
第3章世界政治の模範となさんとす-道義立国の...続きを読むPosted by ブクログ -
「昭和の戦争だって、満州から撤退すればいいのに、できなかった。『原発を失ったら経済成長できない』と経済界は言うけど、そんなことないね。昔も『満州は日本の生命線』と言ったけど、満州を失ったって日本は発展したじゃないか」 と、小泉純一郎元首相は脱原発に転じて言った。
1929年に「満蒙問題の解決は、日...続きを読むPosted by ブクログ -
加藤陽子 満州事変から日中戦争へ―シリーズ日本近現代史〈5〉 (岩波新書)からの展開
満洲国についての概説書として、満洲国の国制や建国の流れ、その根底にあった思想について網羅しつつ、一方で掛け声ばかりの民族協和とその実態がもたらした不条理について迫力を持って描いている。
満洲国初心者としては非常に...続きを読むPosted by ブクログ -
まず初めに、新書レベルとしてはかなり専門的な内容であり、大学受験程度の知識を持っている人間でも予備知識なしに読むのは難しい。巻末の増補解説がかなり分かりやすいのでまずはそちらを読むことをすすめる。本編は学術的でありながらも(良くも悪くも)感情の起伏に富む面もあるが、増補解説についてはかなり冷静な分析...続きを読むPosted by ブクログ
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満州国は、おかしな国家である。日本は自国の権益を保持するため、満州を中国本土から切り離したかった。そのために満州を独立させた。これは外国が認めるかは別問題であるが、帝国主義的な戦略としては成り立つだろう。しかし、溥儀を担ぎ出すことは理解できない。
満州の住民の大部分は中国人であり、満州族の国ではな...続きを読むPosted by ブクログ -
満洲国の肖像をギリシア神話の怪獣キメラになぞらえて描くことで、その建国の背景、国家理念、統治機構などの特色を明らかにし、そこに表れた近代日本の国家観察や民族観、アジア観を抉り出している。
新書だが重厚で説得力のある内容。満洲国の理念として語られてきた「民族協和」「順天安民」「王道楽土」といったスロー...続きを読むPosted by ブクログ -
<目次>
はじめに ようこそ、モダン語の世界へ
第1章 モダン、そしてモダン語とは?
第2章 百花繚乱~モダン語のパノラマ
第3章 行き交う言葉と変転する文化
第4章 モダンの波頭を切るガール
第5章 モダンを超え、尖端へ、その先へ
第6章 エロとグロとその後にくるもの
第7章 アジア...続きを読むPosted by ブクログ -
古くて新しい問題「地方学」
「自由と責任」
多くに事が、100年たっても解決されないままでいる。
「大正」に起源をもつ現代的な問題の多いことよ。Posted by ブクログ -
当時の文書を徹底的に掘り起こした本格的論文。よく新書で出版したなという感じ。
読んで改めて思うのは、列強の圧迫の中で生き残る、という日本なりの言い分はあったとしても、満州への日本の進出は当時の基準で見てさえ明白な国際法違反だったと言わざるを得ないこと。
日本軍内部でも「さすがにこれは持たないんじゃ...続きを読むPosted by ブクログ -
フォトリーディング&スーパーリーディング
満州帝国の歴史の概要を知ろうと思って読んだ。理解したポイントは以下の点:
満州帝国建国は日本の防衛のため。(赤化防止の防波堤。)
第一次大戦以後の戦争は総力戦。その総力戦を意識して日本は資源や食糧の自給自足体制を目指した。満州国建国は欧米のブロック経済...続きを読むPosted by ブクログ -
満洲国の入門にと思い手に取ったが、
予想以上に熱のこもった記述と詳細な内容にひきつけられた。
入門書としては難しい内容もあるが、
読みづらい箇所は少なく素直に読み進められる。
増補に伴う補章の内容も著者自身の言葉で
満洲国の基礎的事項を説明しており、大変助かった。Posted by ブクログ -
[ 内容 ]
一九三二年三月、中国東北地方に忽然と出現し、わずか一三年五カ月後に姿を消した国家、満洲国。
今日なおその影を色濃く残す満洲国とは何だったのか。
本書は建国の背景、国家理念、統治機構の特色を明らかにし、そこに凝縮して現れた近代日本の国家観、民族観、そしてアジア観を問い直す試みである。
新...続きを読むPosted by ブクログ -
あ〜しんどかった。途中ついつい読み飛ばしてしまったところもあり。しかししかし、大力作です。現在の政治と照らし合わせても、吉田、岸、福田、大平の流れがすべて満州国とつながりがあるという記述には、ふ〜むとうならされます。Posted by ブクログ
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■満洲国の成立と消滅までを、膨大な資料と著者の思念を持って書かれた「生きた」満洲についての歴史が語られる。当時は「五族協和」の「理想国家」でもあり、多くの者たちが夢と希望を持ち、満洲を眺めていたこと。米国大統領ウイルソンの「民族自立論」言い換えれば西欧的「膨張主義」から自国主義の影響で、中国の抗日...続きを読むPosted by ブクログ
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満洲国について、歴史的な推移やその時代ごとの指導者の考えを考察しながら書かれた本。キメラの名の如く、満洲国が本当に多面的な価値を持った存在だったことを改めて認識できました。Posted by ブクログ