高遠弘美のレビュー一覧
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しばらく休んでいたけど、また『失われた時を求めて』を読み始めました。
「ゲルマントのほう」の第1巻は光文社の翻訳で。
久しぶりに読んだということもあると思うけど、この「ゲルマントのほうへ」は、今まで読んだ、「スワン家のほうへ」「花咲く乙女たちのかげに」より数段難しい気がしました。
『1Q84』で、青豆がこの巻で読むのを挫折したというのもなんとなく頷けます。それでもやっぱり、『失われた時を求めて』を読んでいる時間って、他の本を読んでいるときの時間の流れかたと全然違う気がして、個人的にはすごく好きです。なんというか、今この時が止まって、主人公と一緒に色々な時間を思い出しているような。一瞬でもあるし、永遠でもあるような時間。
今回一番好きだった部分は、主人公がおばあさんに電話をかけるシーン。電話をかける、という一つの行動からなぜあそこまでの文章を書けるんだ、とプルーストに恐れ慄きました。
下巻は何で読もうかなあ。 -
Posted by ブクログ
新婚旅行でパリに行くので予習のため読んでみた。
そもそも世界史ほぼ勉強していないので前提知識がないため古代史がまったくイメージつかず、、横文字も覚えづらいので最初の方はあまり理解出来てません。
ところがフランス革命あたりから急に面白くなるし心なしか分量も多くなってる気がする。ただ、革命あたりのパリ、とにかく治安が悪い…。そして時代関係なくパリの住民は上に対して抗議やデモを行ってきたんだなと感じた。
また、ナポレオンについてあまり知らなかったため、三世も含めて現代に通じるパリを創り上げて来たという点が学びだった。
旅行の際は歴史を感じながら各地を巡りたい。 -
Posted by ブクログ
ドストエフスキー五大長篇を読み終えた今、「世界一長い小説」に挑戦して見るのは今ではないか?と思って読み始めたものの、読み難い。。
そして、光文社古典新訳文庫は6巻で中断したまま、完訳するのかよく分からないと知って、このまま読み進めたものか、悩み始めた。
マドレーヌを紅茶に浸して一口食べた瞬間から、幼少期のフラッシュバックが始まり、430頁後に、回想終了、という驚きの展開。
回想中は、場面は飛びまくり、壮大なまだら模様の上、ひとつひとつの描写はとても細かく、比喩の巧みさは世評の通り。ストーリーは特にない、といって良いのだろうか。
義妹曰く、2巻が一番ストーリー性はある、とのことなので、まず、次の巻までは読んでみようかな。
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Posted by ブクログ
「源氏物語」と「失われた時を求めて」は誰の翻訳でもこれくらい面白い本は無いから、次々に目を晒すのだが、いずれも翻訳によってその文学世界が完全に異なってしまうので、面白いというより恐ろしい。だから本当の読書とは、やはり原書・原文に直接当たるべきなのだろう。
実際に今までにそうしてみたこともあったが、源氏よりもよく頭に入ったのはプルーストで、この重層的複合文てんこもりの牛のよだれのような羊腸の小径を辞書を頼りにおぼつかなく分け入る辛気臭い作業は、しかし微分積分的読解の快楽というものを与えてくれたのである。
かというて文庫本で10数冊に及ぶこの膨大な著作をそのまま読み切る自信はまるでないから、次々に出版される翻訳につい手が伸びるのであるが、最初に触れたように翻訳のテーストはこんにゃく同様十人十色であるから、いろいろ読み比べて自分の感覚に合致したものと仲良く付き合えばよろしいかな、と思うのである。
光文社から出ている高遠訳は今回がはじめてであるが、語学的に正確であろうと努めるあまり、井上訳で成功していたプルーストの独特の文学的香気がまったく感じられない点に不満を覚えた。こういう文章なら別にプルーストでなく、ジッドでもアナトール・フランスでもおんなじことではなかろうか。
全体のトーンとしては岩波の吉川訳に似た現代文の平明さを基調にしているのだが、訳者としては完全にその調子になり切っては困ると考えたのか、ときおり「されど」といういささか古めかしい接続詞を節目節目で投入する。
「されど」は私も嫌いではない言葉であるが、3ページに1回の割合でそれが繰り返されては迷惑千万。さながら平成のビジネスレターに明治の候文が闖入してくるような違和感が付きまとい、今度はいつ出てくるのだろうと比叡山のお化けの出現に身構えてしまうようになり、とても主人公とオデットの娘ジルベルトの恋物語の透徹した心理分析に身を委ねるどころの騒ぎではなかった。
今宵また我が家のチャイムを鳴らすのはおそらく風の又三郎ならむ 蝶人