高遠弘美のレビュー一覧

  • 失われた時を求めて 5~第三篇「ゲルマントのほうI」~

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    失われた時を求めて 5~第三篇「ゲルマントのほうI」~ (光文社古典新訳文庫)
    by プルースト、高遠 弘美
    ある年齢にあっては、「名前」というものは、私たちに現実の場所を指し示すと同時に、私たちが名前のなかに注ぎ込んだ不可知のもののイメージを差し出すことで現実の場所とそのイメージとを無理矢理同一視させ、その結果、私たちはある都市へ、そこに含まれているはずのない魂──といって、そんな魂を名前から追い払う力はもはや私たちにない──を求めて旅立つことになるのだが、かような年代にあるとき、寓意画のように名前が個性を付与するのは町や河だけではないし、名前がさまざまな色で飾り、不可思議なもので満たすのは

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    2025年01月04日
  • 失われた時を求めて 6~第三篇「ゲルマントのほうII」~

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    失われた時を求めて 6~第三篇「ゲルマントのほうII」~ (光文社古典新訳文庫)
    by プルースト、高遠 弘美
    そうなんですよ。本当にそんな必要なかったんです。でも、結局、魅力のない人ではなかったから、あのひとのことを愛する人がいるということはすごくよくわかります。

     ロベールがまったくの勘違いをしていたとは思わない。ブロックがしばしば怒り狂ったように他人を中傷するのは、自分は熱烈な好意を抱いているのに相手が応えてくれないからである。彼は他人の生活を想像することができないから、相手が病気だとか旅行に出ているかもしれないなどと考えることすらせず、ただ一週間返事がないだけでたちまち、わざと自分に

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    2025年01月04日
  • 失われた時を求めて 4~第二篇「花咲く乙女たちのかげにII」~

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    625P

    失われた時を求めて 4~第二篇「花咲く乙女たちのかげにII」~ (光文社古典新訳文庫)
    by プルースト、高遠 弘美
    花の絵を描くのは心躍る気晴らしであり、もし絵筆の先から生まれる花がつまらぬものだとしても、少なくとも花を描くというのは自然の花々と交流しながら生きることであって、とくにその姿を正確に写すためにごく近くから花を見つめなくてはならないとき、花の美しさに飽きることはないと。だが、バルベックではヴィルパリジ夫人は目を休ませるために画業のほうは中断していた。

    あるいは「今の時代の貴族って何なのでしょうね」、「わたくしからすると、働かない人間は何の存在価値もありません」、など

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    2025年01月04日
  • 失われた時を求めて 3~第二篇「花咲く乙女たちのかげにI」~

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    451P

    失われた時を求めて 3~第二篇「花咲く乙女たちのかげにI」~ (光文社古典新訳文庫)
    by プルースト、高遠 弘美
    多くのブルジョワが保守的な人たちとだけつきあおうとして重ねる努力、将来意義ある結果を生み出すはずもなく、結局は当たりさわりのない意見だけを口にすることにしかならない努力など、自分に何かをもたらすものではないがゆえに避けて通っていいことを知っているからである。

    しかし私として言っておかなくてはならないことがある。それは、ノルポワ氏の会話は、ある種の職業や階級や時代──といっても、その職業や階級に属している人たちからすれば、完全に過去のものとなったわけではない時代かもし

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    2025年01月04日
  • 失われた時を求めて 2~第一篇「スワン家のほうへII」~

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    516P

    失われた時を求めて 2~第一篇「スワン家のほうへII」~ (光文社古典新訳文庫)
    by プルースト、高遠 弘美
    こうした心の接近は、若いころなら恋愛が必然的に目指す目的であったにしても、いまはその逆に、さまざまな観念連合によって固く恋愛そのものと結びついているので、もしそうした心の接近が恋愛の前に実現していたとすれば十分恋愛の原因となりうる。かつては恋する女の心を実際に自分のものにしたいと願った男たちも、年を取れば、単に女の心を我がものにしていると感じるだけで、女に恋することができるようになる。とりわけ恋愛のなかに人は主観的な快楽を求めるものだから、女の美しさに対する好みが恋愛のも

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    2025年01月04日
  • 失われた時を求めて 2~第一篇「スワン家のほうへII」~

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    「私」は、バルベックでアルベルチーヌと「花咲く乙女たち」に出会う。

    この物語を読んでいると、走馬灯のように人生の様々な出来事が思い出される。
    そして、読むほどに自分の姿が露わになってくる。
    もちろん、思い出すのは楽しい思い出ばかりではない、それどころか、むしろ「苦しきことのみ多かりき」なのだが、僕にとってはこの物語自体が紅茶に浸したマドレーヌの働きをしている様なのだ。/

    加えて、言うまでもなくプルーストの見事なまでに精緻な恋愛心理の分析を辿っていくことには、無類の楽しさがある。
    呆れるほど息の長い彼の文体にしても、一度慣れてしまえば心地良い旋律となって、ハンモックの様にそれに身を委ねること

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    2024年08月10日
  • 失われた時を求めて 4~第二篇「花咲く乙女たちのかげにII」~

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    「私」は、バルベックでアルベルチーヌと「花咲く乙女たち」に出会う。

    この物語を読んでいると、走馬灯のように人生の様々な出来事が思い出される。
    そして、読むほどに自分の姿が露わになってくる。
    もちろん、思い出すのは楽しい思い出ばかりではない、それどころか、むしろ「苦しきことのみ多かりき」なのだが、僕にとってはこの物語自体が紅茶に浸したマドレーヌの働きをしている様なのだ。/

    加えて、言うまでもなくプルーストの見事なまでに精緻な恋愛心理の分析を辿っていくことには、無類の楽しさがある。
    呆れるほど息の長い彼の文体にしても、一度慣れてしまえば心地良い旋律となって、ハンモックの様にそれに身を委ねること

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    2021年08月12日
  • 失われた時を求めて 2~第一篇「スワン家のほうへII」~

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    スワンが高級娼婦のオデットにひたすら振り回されたあげく、通っていたサロンからも村八分にあうという悲惨な巻。

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    2013年04月10日
  • 物語 パリの歴史

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     パリ旅行の予習として購入。歴史をしっかり学びたい人はやや物足りないかもしれないが、観光のための予備知識を得るには最適な分量だと思う。パリ観光者を読み手として想定した内容であり、歴史を学びながら観光ポイントを選択するのに非常に便利。冒頭のパリ中心部の地図が助かる。コロナ前の出版であるため最終章の飲食店のいくつかが閉店してしているのはご愛嬌。

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    2025年08月26日
  • 物語 パリの歴史

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    パリの歴史がコンパクトに整理された一冊
    一度で理解するのは難しいので、パリに行くまでに何度か読み直して何処に何があるのか理解したいと思います

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    2024年12月05日
  • 失われた時を求めて 5~第三篇「ゲルマントのほうI」~

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    三十八歳年上のゲルマント公爵夫人に対する恋心というのがどうしても理解できず、今ひとつ物語に入っていけなかった。
    終盤の祖母との電話のエピソードに救われた。/

    サン・ルーの計らいで、「私」は祖母と電話で話すこととなる。

    【そしてこちらの呼び出し音が鳴り響くやいなや、私たちの耳だけが開かれている、幻に満ちた夜のなかで、微かな音ーー具体性を離れた音ーー距離が消え去った音ーーが聞こえ、愛しい人の声が私たちに届けられるのだ。
    その人だ。その人の声がそこにいて、私たちに話しかけている。それにしても、何と遠いのだろう。

    ー中略ー

    そして、手を伸ばしさえすれば愛する人を捕まえられると思えるときでも、実

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    2024年08月10日
  • 失われた時を求めて 3~第二篇「花咲く乙女たちのかげにI」~

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    スワンは、オデットに恋心を抱き頻繁に逢うようになる。
    やがて、スワンは、オデットの言動に疑いを持ち、強い嫉妬に駆られる。
    だが、幸福な時は短い。
    スワンの中にもう一つの疑念が生まれ、追うほどに彼の前にオデットの新たな相貌が現れる。
    この辺りのプルーストのメスさばきは、氷のようだ。/

    スワンの孤独な横顔に惹かれる。
    彼は、田舎娘を貴婦人と見間違うドン・キホーテのようだ。
    彼がオデットの中に見ていたボッティチェリのチッポラは、跡形もなく打ち砕かれる。
    やがて、スワンにも結晶解体の時が訪れる。/

    彼はまた、自らの意見を昂然と口にするがゆえに、ヴェルデュラン夫人の不興を買い、サロンから追われる。

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    2024年08月10日
  • 物語 パリの歴史

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     オーディブルだったけれど、パリという都市に焦点を当てた歴史なので興味深く聴くことができた。こういう本を読むと無性に行きたくなる。死ぬまでに一度はセーヌ川沿いを歩きたいと思いました。

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    2024年03月04日
  • 失われた時を求めて 4~第二篇「花咲く乙女たちのかげにII」~

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    ネタバレ

    語り手は祖母と避暑地バルベックで過ごす中でヴィルパリジ夫人、サン・ルーそして花咲く乙女たちの一人アルベルチーヌと出会う。

    乙女たちに心惹かれる語り手がそりゃあもう思春期、青春真っただ中という感じでサン・ルーよりも乙女たちのそばにいたいという長々長々と言い訳めいた語りが続いたときには「男子ってやつは…」と微笑ましかった。

    そんなに長い登場ではなかった悪友・ブロックの台詞がいちいち可笑しいので印象に残ってしまった。姉妹に「雌犬たちよ」(125/358)と呼びかける兄は嫌だ(笑

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    2023年06月15日
  • 失われた時を求めて 5~第三篇「ゲルマントのほうI」~

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    ネタバレ

    語り手のゲルマント公爵夫人に対する恋心と友人サン・ルー(ロベール・ド・サン=ルー侯爵)の恋が描かれている。

    ゲルマント公爵夫人との年齢差38歳というのは夫人から見た語り手というのはどんな存在だったんだろう??

    この巻は個人的にはサン・ルーや部下のやり取り、当時の男子の会話、当時の青春をを体感できて楽しかった。

    やっぱりこの『失われた時を求めて』は何回も読んで文章を味わう作品なんだなぁ、と読書1回目にして思う。1回では筋を追うだけでせいいっぱい。

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    2023年05月30日
  • 失われた時を求めて 6~第三篇「ゲルマントのほうII」~

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    ドレフュス事件によって分断されてゆくヴィルパリジ夫人のサロンの様子と、死にゆく祖母の様子が描かれる。/

    祖母の最期を描くこの巻は、老いた母を抱える身には、この物語の胸突き八丁かも知れない。
    どうしてもプルーストが描く祖母の末期の様子が、母の姿と重なって見えてしまうのだ。
    こんなことは四年前に吉川一義訳を読んだ時は思いもしなかった。
    プルーストのこの物語は、流れる雲の位置によってその陰影を変化させてゆく山の端の木々の葉叢のように、読み手のその時々の心のありようによって七色に色彩を変えてゆくのだ。/


    ヴィルパリジ夫人のサロンにおけるスノビズムにみちた会話の相克を読んでいると、ナタリー・サロー

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    2022年10月20日
  • 失われた時を求めて 3~第二篇「花咲く乙女たちのかげにI」~

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    ネタバレ

    語り手の初恋、スワンの娘・ジルベルトとの恋についてあれこれと語り手が考えを巡らせるが、ジルベルト自身の印象は薄く、スワン一家、特に第一部のタイトル「スワン夫人のまわりで」が最初から最後まで通底している印象の第3巻。

    ジルベルトは語り手の中のこうあってほしいと思う理想のジルベルトが描かれ、スワン夫人(オデット)については、服装、趣味、会話が事細かに描かれている。

    話の筋としては単純なのに、その情景も空気も心情も丸ごと作品に閉じ込められている。

    流麗な文体の中に語り手の若さが出ていて(憧れの作家に会いその風貌に落胆したり、相続した壺を売って「毎日ジルベルトに花を贈ることができる」とウキウキす

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    2022年05月18日
  • 失われた時を求めて 2~第一篇「スワン家のほうへII」~

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    ネタバレ

    ~P475「スワンの恋」、P476~「土地の名・名」という475頁まで語り手の私ではなくスワン(と高級娼婦オデット)の恋が綴られている。

    スワンの恋情のすべてが綴られている、恋に落ち、夢中になり、嫉妬し、そして唐突に心が変わる。人の気持ちだけで475頁!普段読んでいる小説だと考えられないボリューム。スワンがあるグループから冷遇されるぐらいで(少し「浮気してる?」っぽい描写はあるものの)大きな出来事は起こらないのにこれだけ書けるってプルーストすごいなぁ。恋情すべてを書くとこの頁数になるのか…。

    次のパートは語り手(私)の恋。スワンが大人の恋、こちらは青年の恋で躍動感に溢れている。自分からじゃ

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    2021年11月16日
  • 失われた時を求めて 2~第一篇「スワン家のほうへII」~

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    小説の中の恋愛というと、ロマンティックでドラマティックで…という先入観にも似たイメージがあり、実際そうした小説も多い。フランス小説となればなおさら。けれど、この『失われた時を求めて』第二部「スワンの恋」で描写されるスワン氏の恋愛は、とことんリアルである。恋の始まり、思いが通じて盛り上がる蜜月期間、相手の心が遠ざかるにつれ深まる苦悩。それらの経過すべてが、幻想を相手にした思い込み、独り相撲のような空回りとして淡々と描かれ、容赦のないその筆致は可笑しくも残酷なほど。
    特別な思いを持っていなかった時にふと感じた、好んでいた絵画の人物像に似た一瞬の印象。そして当然会えると思っていた時に会えなかったこと

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    2021年10月22日
  • プルーストへの扉

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    「失われた時を求めて」への案内本ということになるのかな。この本自体はとても分かりやすい。ちゃんと「プルーストの文章はなぜ分かりにくいのか」まで解説してる。
    でもテーマごとの解説で「失われた時を求めて」から引用される文章が、ホントに分かりにくいんだ。「コンブレー」を読んでた時の悪夢が蘇ってきたよ。

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    2021年03月27日