ヘンリー・ミンツバーグのレビュー一覧
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「エッセンシャル版 ミンツバーグ マネージャー論」は、本書を内容を圧縮したものです。
400ページ以上の大作ゆえ読み切るのに時間はかかりましたが、相変わらずミンツバーグ先生からは学びが多いです。
本書には、病院の看護師長、銀行の会長、国際機関の事務局長、通信企業のセールスマネージャーなど、ミンツバーグ先生が密着取材した8人のマネージャーの「典型的な一日」が付録として掲載されています。
マネージャー(管理職)は大所高所から計画を立てて指示を行い、組織を導く…なんてことは、本書を読むと幻想だというのがハッキリ分かります。
マネージャーには常に忌々しい出来事が降りかかる、という記載どおり、それぞ -
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理論からマネジメントを語るのではなく、実在する29人のマネージャーの行動からマネジメントを考察した傑出の一冊。
著者のミンツバーグ氏は、ドラッカーほど有名ではありませんが、理論ではなく実践を重視する異色の経営学者であり、ドップリとその世界にハマってしまいました。
マネジメントは、専門技術ではなく「アート・クラフト・サイエンスが合わさった実践の行為」であり、このいずれかが突出しても、あるいは欠けてもマネジメントに弊害があるという指摘はよく心得ておく必要があると思います。
特にアートの部分はもっと重要視されるべきでしょう。
・アート…ビジョン、創造的発想
・クラフト…経験、現実に即した学習
・サ -
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ネタバレ組織には型があると教えられた一冊。冒頭の「効率的なオーケストラ」の例は、笑い話のように思えて、自身もこのような見当違いの示唆出しを行っていないのか、身につまされる思いであった(例: 20人のバイオリン演奏者が全く同じ楽譜を演奏しているのは無駄であり、削減できるはずだ)。
本書を踏まえた個人的な行動変容は主に2点。1点目は、新規事業や戦略の創出などを議論する場合、必ず組織の型を念頭に置くこと。スタートアップのようなパーソナル型と、大企業に象徴されるプログラム型の組織を一緒くたに比較し、差異分析を行ったとしても、意味のある示唆出しに繋がらない可能性が高い。夫々の組織形態の特徴を理解の上、どの粒度で -
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組織論の大家であるミンツバーグのマネージャーに向けたストーリー集。
仕事における思考の再整理のヒントを掴みたく、手に取った。
ショートストーリー形式で、短い隙間時間でも読み進められた。
内容は、目から鱗というよりは、自分がすでに考えていたことを整理してくれる本であった。
考えていること、やるべきことを思い浮かべながら、ゆっくり読み進める時間は、とても有意義だった。
印象に残ったのは、下記の内容。
・マネジャーの選考では、候補者にマネジメントされた経験のある人の声を聞け
・人は変化するものばかりに目を向けがちだが、ほとんどのものは変わっていない。変わっていないものにも注意を払うべき
・IMPM -
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(1回目 2018/11/08)
タイトル通りの本だった。前半はマネージャの仕事が組織や個人の性質によって異なることを述べつつ、共通して、サイエンスで一刀両断出来るような単純な仕事ではない、ということを書いている。一番大きな学びは、マネージャという仕事がジレンマを抱えながら進めざるを得ない、ということか。全体を通して読むことはできたので、今後は再読を重ねて自分の知識にしていきたい。
なお、29人のマネージャが、それぞれの環境に適したまったく異なるマネージャとしての役割を果たしていたという事実には、画一的なマネージャー像しか知らない人にとっては励まされるものがあると思う。 -
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日々不安を抱えながらマネジメントを遂行している人達にとって安心感を与えてくれる良書ではないだろうか。
”成功するマネージャーも欠陥を抱えている。そもそも欠陥のない人間など一人もいない。マネージャーとして成功する人は、欠陥が少なくともその環境では致命的な弊害を生まないのである”
マネージメント業務は、終わりがなく、忙しい。その中で完璧を目指そうとすると大きなストレスを抱える。その結果全体像が見えなくなり致命的な弊害を生じてしまう。これは、マネジメントとして最悪のシナリオだ。
そうならないためには、アート、クラフト、サイエンスの三要素をなんらかの形でブレンドさせることが不可欠であると説く。別 -
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社会のバランスを保つには「政府セクター」と「民間セクター」に加えてNPOやコミュニティなどの「多元セクター」が必要だというのが本書の主旨だ。
確かに政府セクターは口を開けば民営化や競争、市場原理と叫び改革を断行してきたが、実感としては改悪が続いているように思うし、民間セクターは経営指標にがんじがらめで株主に対する利益還元に躍起だが、「勢い」や「魅力」は年々なくなっているように思う。その観点でいくと確かに多元セクターの必要性も理解できる。それはトクヴィルがアメリカのデモクラシーで語った通りだ。
一方、ではそれをどう実現するか?が課題だ。コミュニティが大事なのは理解できる。しかし、この数十年で -
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今、資本主義社会が直面している問題がとてもわかりやすく説明されている。民主主義や資本主義が悪いのではなく、バランスが崩れていることが問題で、政府セクターと企業セクターに加えて、多元セクター(ソーシャルセクターと言い換えても良さそう)が力を発揮する必要がある。
インパクトスタートアップやBcorpなど、社会課題解決に本気で向き合う企業も出てきているが「蔓延している企業の社会的無責任の弊害を、企業の社会的責任を強化することで埋め合わせられると思っている人は、あまりにおめでたい」とバッサリ。
これからのどんな社会を目指していくかについて多くのヒントがあったが、中でも「やるっきゃない!」の精神(日本語