ヘンリー・ミンツバーグのレビュー一覧
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社会のバランスを保つには「政府セクター」と「民間セクター」に加えてNPOやコミュニティなどの「多元セクター」が必要だというのが本書の主旨だ。
確かに政府セクターは口を開けば民営化や競争、市場原理と叫び改革を断行してきたが、実感としては改悪が続いているように思うし、民間セクターは経営指標にがんじがらめで株主に対する利益還元に躍起だが、「勢い」や「魅力」は年々なくなっているように思う。その観点でいくと確かに多元セクターの必要性も理解できる。それはトクヴィルがアメリカのデモクラシーで語った通りだ。
一方、ではそれをどう実現するか?が課題だ。コミュニティが大事なのは理解できる。しかし、この数十年で家族の紐帯や地域の紐帯は個人主義やプライバシーの名のもとに切断され尽くしたといっても過言ではない。市場原理や定量化、利益追求などは一般市民の大半に浸透してる。んー、どこから手につけるべきか。そんなもやもやが読後に残る。 -
Posted by ブクログ
今、資本主義社会が直面している問題がとてもわかりやすく説明されている。民主主義や資本主義が悪いのではなく、バランスが崩れていることが問題で、政府セクターと企業セクターに加えて、多元セクター(ソーシャルセクターと言い換えても良さそう)が力を発揮する必要がある。
インパクトスタートアップやBcorpなど、社会課題解決に本気で向き合う企業も出てきているが「蔓延している企業の社会的無責任の弊害を、企業の社会的責任を強化することで埋め合わせられると思っている人は、あまりにおめでたい」とバッサリ。
これからのどんな社会を目指していくかについて多くのヒントがあったが、中でも「やるっきゃない!」の精神(日本語訳かわいい)の大切さとパワーについての主張がとても印象に残っている。誰かのせいにして、誰かが何とかしてくれるのを待って、現状に文句を並べるのはやめて、自分ができることをやっていく。それが社会を変える力になる。 -
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組織=共通のミッションを追及するために組み立てられた集団的行動
人と人の関係のパターン
組織の3要素 アート クラフト サイエンス
4つの組織形態
1.パーソナル型組織 ※アップル スタートアップ
小規模な組織 最高位者中心
カリスマ性 大きな全体像と細部に精通 ×独裁政府の増加
2.プログラム型組織 ※ファストフード 日系製造業
成熟したシンプルで安定した環境 外部からコントロール
業務コア:シンプル・専門特化・反復性 →×疎外感 人間関係
アナリスト:業務設計 →官僚制 戦略の形成と実行部の分離 ルール/効率重視
3.プロフェッショナル型組織 ※病院 コンサルタント企業
トレーニングによる標準化 専門職の自立性 高度の分権化 サポートスタッフ多
×カテゴリー分けの狭間の問題 成果の数値化の難しさ 変化への抵抗
4,プロジェクト型組織 ※IT企業 スポーツチーム
顧客ニーズを診断し 新しいものを作りだす 組織構造
想定外の想定 互いのかかわり方を変化させていく 監督ではなく支援 共働
×曖昧さと権力の分散による対立や駆け引き ○非効率性からの成果
3つの力 文化と対立の緊張ある共存
上からの分離(委譲)
文化の注入(コミュニティシップ) 使命感 ストーリー 帰属意識
対立の浸食 システム欠陥の是正 実力者がリーダー 内部告発
多角化は事業部制を生み出す =プログラム型組織 社会への影響が無関心へ
効率という汚い言葉 コストは便益より数値計測しやすい
経済的コストのほうが 社会的コストはより計測しやすい
経済的便益より 社会的便益は 計測しにくいので 質が低下しやすい
ヘルシーよりもファストフードに
コングリマットは転落の突端 それよりも中間的な形態でシナジーを生み出せ
5.コミュニティシップ型組織 ※昭和の日本企業
ルールよりも言葉による引力 権力分散 教化 鼓舞と隷属
○群衆の知恵 ×集団浅慮
6.政治アリーナ型組織 ※政党 国際機関
対立が充満している組織 ○変革前の解体への架け橋 ×機能不全の崩壊
7.複数の形態のハイブリッド型
アップル
プロダクト=プロジェクト型 マーケティング=プロフェッショナル型
製造=プログラム型 CEO=パーソナル型 ・・異なる力の境界で対立
パーソナル型で生まれ、他のいずれかの型へ 成熟し 事業部型へ
プログラム型からプロフェッショナル型へ転換
組織の内と外の境界があいまいに
ネットワーク アウトソーシング 提携/合弁事業 プラットフォーム 合同
組織らしくない組織へ? -
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元ヤフーの方の輪読講座で使用。
やってみてわかったけどマネージャーってつくづく難しい。そんな自信がない管理職の元では部下も不安だったろう、彼らにとってのキャリアに関わることだから失敗はしないほうが良いけどあまり上手く出来なかった。もちろん毎年、少しずつ自分も成長していったのは実感出来てるけど、もっと早く良いマネージャーになりたかった。
マネージャーのいろんな大変なことは経験してみないとわからないが、経験する前に知っておきたかった。この本はそれを助けてくれるかもしれない。説教くさくないのが良いし、MBAとかビジネススクールとかグロービス的なモノを軽くディスってるのも小気味良い。
メモしたいくつかのフレーズ。
「マネジャーには際限なくあらゆることが降りかかる」
「メールでは、言葉による情報しか伝わらない。声の調子も聞こえないし、身振り手振りも見えない。雰囲気も感じ取れない。しかし、マネジメントで重要なのはそういう情報だ。電話で話すとき、私たちは笑ったり舌打ちしたりする。会って話せば、うなずいたり首を振ったりして、賛意や不同意を表現する。観察力の鋭いマネジャーは、こうした手がかりを見逃さない。」
・しかし、変わっていないものにも注意を払う必要がある。
・判断に迷う場合は、まずやってみる以外にない。実行するために決めるのではなく、決めるために実行するのだ。
・人々に学習する能力があり、学習を支援する体制が整っていれば、どこからでも戦略は生まれる。機会さえあれば、誰もが新しいアイデアを考えつき、それが戦略に発展していく。
・既存の戦略を活用すべきときと、新しい戦略に転換すべきときを見極めるのが、マネジャーの大切な役割になる。
・大勢の人が一体となり、ゆっくり足並みをそろえて、混沌とした状況の中を前進していく——これと同じことが組織でもできればいいのではないだろうか。 生きた牛のような組織をつくるためのヒントは、牛のように歩くことの中にある。みんなが一体になって仕事をし、一体になって歩くことが重要なのだ。マネジメント論ではリーダーシップが神聖視されるが、それよりも重要なのは、言うなれば「コミュニティシップ」だ。
・リーダーが不要なわけではない。特に、新しい組織にコミュニティシップを確立したり、既存の組織でそれを維維持したりするためには、リーダーの役割が欠かせない。不要なのは、過度にリーダーシップを重んじる姿勢だ。誰か一人を選んでリーダーの座に据え、その人物を組織づくりの唯一の最重要人物と位置づけ、途方もない金額の給料を支払うようなことは、もう終わりにしたほうがよい。コミュニティシップの中に組み込まれた「必要最低限のリーダーシップ」が一番だ。
・マネジャーや、経営を論じる専門家や大学教授は、変革を説くことには慎重であるべきだ。それよりも、もっとコミュニティシップに関心を払ったほうがよい。
・最高幹部たちに必要なのは、ほかの階層のマネジャーたちが何を考えているかを知ることだ。
・やることがないマネジャーほど危険なマネジャーはいない。マネジャーとは、そもそも精力的な人たちだ。そうでなければ、マネジャーにはなれない。そんな人物にマネジメント不可能な職務を与えると、その人は自分にできる仕事をひねり出す。
あとは省略。同意できるキーワードの宝庫でした。 -
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ミンツバーグ教授の新刊。
教授のブログから選んだものを本にしたものであり、これまでの教授の著作とは、少しテイストが異なる。エッセイ集的な印象を受ける本。内容自体は、これまでの教授の著作での主張に沿ったもの。
マネジメント・マネジャー・リーダーシップに関するもの。株主至上主義・資本主義に関するもの。組織や戦略に関するもの、などが収められている。
マネジメント、あるいは、リーダーシップに関する本は山ほどあるが、私はミンツバーグ教授の書かれているものが一番好きだ。
マネジャーには、ジレンマ的な、いまいましいことが、次から次に降りかかってくる。そういった中でも、何とか成果を出すのがマネジャーの役割。置かれている状況や、目指すべきものが、マネジャー一人一人異なるので、どんな場合にも通じるようなマネジメントの方法論というものはない。マネジャー一人一人が、現実を見ながら、考えながら、個々の場面に対処していくしかない。 -
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ヘンリー•ミンツバーグ教授は、カナダの大学の経営学者。日本でも、著作はよく読まれている。私も、多く読んでいる。
来日されて、伊丹敬之先生、野中郁二郎先生と三人で対話セッションをやられたことがあり、見に行ったこともある。その時に、一緒に写真を撮ってもらったことが、少し自慢。
本書は、2015年発行。当時の、というか今でもそうだが、特に米国において、企業の力が強くなり過ぎていることに、ミンツバーグ教授は警鐘を鳴らされている。世の中は、政府などの公的部門・政府セクター、企業などの民間セクター、そしてNPOなどの第三部門・多元セクターのパワーバランスがとれているべきであるというのが、教授の主張。
企業が社会問題の解決の担い手であるべきとする考え方は、根強いし、実際に多くの企業がそう考えて、実際に行動している。CSRやCSVは、そういった考え方を表したものだと理解している。ミンツバーグ教授は、CSRやCSVに取り組む企業に対して共感を示しているが、それで社会問題が解決されるとは考えていない。目先の利益を優先してしまう企業が多すぎると考えているようであるし、また、民間セクターだけの力では社会問題の解決には不足と考えておられるようだ。
国連のSDGsという考え方がある。世界が、持続可能な成長を続けて行くために必要なことを、具体的な17の目標に落とし込み示している。その17番目の目標は、「パートーナーシップで目標を達成しよう」だ。
ミンツバーグ教授の考え方は、既に世の中全体で共有されているようだ。 -
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巨匠ミンツバーグ教授による組織論。今まで組織構造の解説書籍を数多く読んできたが、これが原点だったか。
そういう意味では、基本的なところが書かれているし、本書から派生していく数々の組織理論を他の書籍で先に読んでいたためか、「どこかで見た理論だな」という既視感があった。
私もすでに50代後半に突入し、長年会社員を勤めてきた間に染み付いたものがあるのだろう。
「理解したつもり」という思考が、実は一番良くないのは分かっている。
しかし、それを自覚するのは、本当に難しい。
どこかで見た組織論だと評するのもおこがましい限りだが、「原点」故に目新しさが感じられなかったのは事実。
ただし、ここは基本のキに立ち返り、自らの社会人人生で経験した各組織を振り返りながら見つめ直してみようと思った。
改めて思い返してみると、自分が所属した数々のチームもバラエティに富んでいたものだ。
自分がメンバー側の時代もあるし、もちろんリーダーやマネジャーを経験したこともある。
大きな成果を出せて自信に繋がった組織もあれば、メンバーは優秀にも関わらず、仲たがいして空中分解に近い形の組織もあった。
組織論という切り口で、成果を出せたかどうかの基準で振り返ってみるのも、非常に面白い。
過去の若い時代に、これら理論を理解していて、実践してみたら上手くいったのだろうか。
そんなことを想像してみるだけで、これは結構学びになるものだ。
本書では、組織の形態について、大きく4種に分けられると解説をしているのだが、これは実体験と照らしてみても違和感はない。
①パーソナル型、②プログラム型、③プロフェッショナル型、④プロジェクト型
私はバックオフィス部門の経歴が長かったため、②の組織に馴染みがあるが、私の所属する会社の業界自体は③④で機能している部分が大きいため、そこに対してもアレルギーは感じない。
本書でも、明確に4種に分かれる訳ではなく、実際はそれぞれが重なり合ったり、交互に行き来したりもする訳なので、ここまで単純な話ではないだろうと思う。
これらは機能で特徴を分類しているが、いずれにしても「文化の土台」があるのだという。
①パーソナル型は分かりやすい。
文化も何も、カリスマ経営者がいて、その社長が独裁者のごとく全てを決めていく。
社長の考えによって、部下は振り回される訳であるが、その「社長の考え」こそが、ズバリ企業の文化そのものだ。
こだわりの料理を提供している飲食店などは分かりやすい例であるが、それに留まらない。
大企業であったとしても、カリスマ経営者が一代で築いた会社であれば、その社長の生き様そのものが企業文化として蓄積されていることが多いと思う。
当然、その良し悪しはある訳であるが、創業時の理念も含めて、受け継がれる大事な文化は確実に存在する。
人間が集まって形成される「組織」という形態は、非常に奥深い。
人間1人1人の意志が、その組織に対してどのように影響を与えているのか。
組織全体が一つの意識のようにまとまる時もあるが、それは一体どういうことなのか。
今まで上手く機能していた集団が、たった1人メンバーが入れ替わっただけで機能不全に陥る場合もある。それはなぜなのか?
「組織」と聞いて、すぐにイメージしやすいのは、軍隊かもしれない。
1人1人高度に訓練して実力を付けたとしても、結局戦争に勝たなければ意味がない。
集団として最強になるために、どういう組織を構築し、機能させなければいけないのか。
人類史において、戦争の歴史は非常に長いため、ノウハウが多く蓄積されている。
会社などの組織も、ベースは軍隊から来ているかもしれないが、それも時代とともに、少しずつ変化しているのを感じてしまう。
端的に言えば、④のプロジェクト型が今後は主流になりそうな気がしている。
DAOなどは正にプロジェクト型の典型例だが、ブロックチェーン技術の発展によって、これら組織形態を作り易くなったのは事実だ。
ファンコミュニティ。オンラインサロン。
名称は様々ではあるが、かつてのような上意下達の軍隊組織とはどうも異なる。
それぞれが自主的に、自分の価値観と共感する心地よい仲間たちとチームを組んで、目的達成に向けて協力していく。
大昔の芸能人を応援するファンクラブと、今のアーティストを推すファンコミュニティは、だいぶ様相が異なると思う。(ファンクラブの形態が進化しているとも言える)
「好きだから応援する」というだけに留まらず、そのアーティストの将来の夢に共感し、その実現を、自分の夢のように重ねて支えていく。
「共犯」という言葉がよく利用されるが、まさに「共に」という意味が強いことが現代的らしい。
今後は様々な組織形態が「共に」の要素がより強化されていくはずだ。
「この組織に所属していて大丈夫だろうか」
「この人たちと一緒にいて、働けるだろうか」
この感覚を優先することは、今では当たり前の感覚であるが、組織を運営する経営側が意識する必要があるだろう。
だからストーリーを語らなければいけないし、ビジョン・パーパスを掲げる重要性があることも辻褄が合う。
大昔は結婚すら親や血縁が決めていたし、就職先だって他人に決められたところに入社していた。
そして一度そこに入れば「郷に従え」で、滅私奉公のごとく尽くしに尽くした。
その要素は今ではほとんどなくなっているが、今後もより変化が強化されていくことは間違いない。
組織の形態を、「クラフト(技)」「アート」「サイエンス」の三軸で分析する手法は面白いと感じた。
これは自己分析にも応用できる。
自分なりの解釈であるが、「クラフト」が「行動」寄り、「アート」が「感情」寄り、「サイエンス」が「理論」寄り、と見てみると理解が深まった。
人間なので、どこかに偏るのもバランスは悪いが、その人の特徴は非常に出やすい。
会社の部門によっても、クラフト・アート・サイエンスという3軸のバランスを意識するのは必要かもしれないと感じる。
その部署、その仕事に向いた3軸の交差点は必ずあるはずだからだ。
原点とも言える組織論であるが、基本だからこそ、応用に展開しやすい。
組織形態に唯一の正解はないのだが、大いに参考にできる。
(2025/2/24月) -
Posted by ブクログ
ソ連共産主義の崩壊、中国の不動産不況、若年層の雇用問題など民主主義が勝ち誇っているかのような社会は、実は資本主義社会でもアンバランス化している、と言う。それは市場原理により大きな格差が生まれ企業から個人の利己主義へと転化している。近年、政治家の利権・特権の悪用、企業との癒着から賄賂など富裕層、特権階層への富の集中が社会変化を起こし始めている、のはその要因と感じる。それはすでに自由主義・社会への不満が逆に起こりいいどこ取りの共産・社会主義への勢い(多元主義)が出始めている、とも考えられるが、基本的にどの資本主義国(自由主義国)でも大きく変化し始めていることだ。