デュマ・フィスのレビュー一覧

  • 椿姫

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    さすが名作と言われる作品である。

    これを単に精神世界と物質世界を対立としてしてしまってはいけない。
    実際には、あくどいお金儲けをする人間が、美しい心を持っていることもあるし、あさましい人間が素晴らしい芸術を生み出すことさえある。
    それでいい。誰か(神?)が良識や道徳で天秤にはかることなんて、できやしない。
    そこに人間の弱さと愚かさと親しみと尊さがあるんだ。

    汚い路地裏の匂い立つ腐臭の中に捨てられた一片の詩に、金満家の心中に潜む良心に、道徳者が抱える歪んだ快楽の中に、そういうことの中に我々は人生の真髄を見出さなければいけない。

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    2025年02月28日
  • 椿姫

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    マノン・レスコーを下敷きにした、娼婦との恋愛話。世間体とか、思ったより古く感じない。
    子のデュマの作品。

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    2024年12月22日
  • 椿姫

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    恋に夢中になる気持ち
    周りの助言から耳が遠くなっていく気持ち
    嫉妬で気が狂いそうになる気持ち
    夜中相手の考えを想像して眠れない気持ち
    プライドを守って相手を傷つけて満足しようとする気持ち
    相手のために苦しみを受け入れる気持ち

    恋にまつわるあらゆる感情をこんなに事細かに描いている小説は初めてでダイレクトに心に届いてくる感じだった。

    頭で考えて固く誓ったつもりでも相手の前に立つと全部吹っ飛んじゃうような感覚、それこそが愛だと信じる感覚、めっちゃ共感

    こんな昔の話なのに今も共感しちゃうって、恋をした人間の行動は昔から変わらないものなんだな。

    また何年後かに読み返したい。


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    2024年02月01日
  • 椿姫

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    光文社のこの文庫は古典でもすごく読みやすい!

    恋愛ものはあまり読まないけれど、これはとても引き込まれた...アルマンしっかりして!マルグリットを信じて!って心から最後の辺りは思ってた笑
    知らず知らずのうちにマルグリットの人柄に惹きつけられていった。

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    2023年03月19日
  • 椿姫

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    作中ある通りごくわずかな人物たちによる小さな恋愛物語で
    視点主観の一方のみから語られる情緒のみのお話
    いつでもどこにでもある話で
    小説としての展開も平凡で
    登場人物たちの行動も通り一遍そのまま
    父親作のような普遍の価値あるようには思えないが
    書かれた時代の単純さが上手く出ているのかもしれない

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    2018年10月20日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    『三銃士』などの大デュマの私生児、小デュマの作品。オペラを観に行く前の予習。単なる若い男女の恋愛を描いた小説だけ、とは言い切れない。
    わたしを愛しているようでいて実は自分を愛しているだけ、という言葉に本質がある。
    古典であるが故に他の作品に色々な形で引用されているので、完全に新しい作品として受け取ることは無理だが、読者はその本質を抑えさえすればいい。

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    2017年05月20日
  • 椿姫

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    気合いを入れて読み始めたけど、意外にも読みやすくてすらすら進められた。
    アルマンが嫉妬の心を抑えて冷静でいられたら、状況は違ったんだろうか。ただ、冷静でいられるなら真剣に恋をしているとは言えないのかもしれないけど。
    武者小路実篤の「友情」を思い出した。
    それから、言葉遣いが好みだった。

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    2017年03月16日
  • 椿姫

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    「19世紀パリ、高級娼婦マルグリットと青年アルマンの哀しくも美しい恋のかたち。物語はラストシーンにむかって収束し、その最後に綴られる感情の痛切なまでのひたむきさについて形容する言葉をわたしは知らない」との感想。ちなみに、読む前、父アレクサンドル・デュマの「倅の小説は説教くさい」とのレビューを先に読んでしまっていたため、「確かに~」ってほほえましい気持ちに。

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    2016年03月02日
  • 椿姫

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    高級娼婦マルグリット・ゴーティエと青年アルマン・デュヴァルの恋愛小説。
    お互いがお互いを想うあまり、すれ違いや仲違いをくり返す。最後のほうは、マルグリットが可哀そうで切なくて胸がしめつけられた。

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    2015年07月26日
  • 椿姫

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    ほかの本、天国の本屋 恋火
    という本で気になって読みました

    読んだ当時は幼かったけれど、今こうして身を切られるようにどうか幸せを願って別れた人がいると、このマルグリットのようにアルマンに祈りと願いを一身にそそげるか

    マルグリットは身を滅ぼしながらも、アルマンの幸せだけを望んでいる

    どうか幸あれと願ってきえた人

    崇高な想いが昔もあったんだなぁとじんわりします

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    2015年04月20日
  • 椿姫

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    「椿姫」はいくつか違う翻訳者の本が出ていて、一番評判が良さそうだった新庄さんのを選んだ。海外文学を読む時には、翻訳された日本語から受ける印象で物語のイメージがかなり変わると思うので、そこは重要ポイント。古典の場合は特に。
    新庄さんの本はかなり読みやすい翻訳だった。
    高級娼婦というブルジョアのお金持ちばかり相手にしているとやたら何でも「お」を付けるような丁寧な物言いになったり、まどろっこしい会話のやりとりも新訳だともうちょっと砕けた感じになるのだろうか?他の訳も読んでみたいという気持ちにさせられた。
    ストーリーは、勿論良く知っていて読んだわけだけれど、それでもやはり最後の方はマルグリットの心情が

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    2014年04月28日
  • 椿姫

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    友人にミュージカル『マルグリット』のライブCDを借りたことがきっかけで、その作品の原作を手に取りました。もっと早く出会いたかったなー。
    読んだあとは切なさがのこります。

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    2014年03月24日
  • 椿姫

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    デュマ・フィスが1848年に書き上げた彼の実体験を基にした小説。父親は、"巌窟王"や"三銃士"で知られるアレクサンドル・デュマ。本書を原作にしたヴェルディのオペラが有名なので、そちらを知ってる人が多そうです。青年アルマン(デュマ・フィス)と高級娼婦マルグリット(マリー・デュプレシ)の恋愛模様を綴った悲しい物語です。アルマンの昔語りという体裁で話が進み、読者は結末を知った上で彼らに何が起こったのかを読み進めます。後半のマルグリットの手記は胸に響きます。何度か映画にもなっており、古い映画ですが、おすすめです。

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    2013年12月26日
  • 椿姫

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    著者デュマが実際の体験を基にして書いた長編小説。
    高級娼婦マルグリットは椿を愛し、常に身に付けていたことから「椿姫」と呼ばれていた。華やかな美貌を持ち、お金持ちのパトロン達に囲まれ、不自由ない生活を送っていた。友人の紹介で青年アルマンはマルグリットに出会い、一目惚れをする。アルマンの直球な愛の告白をあしらいつつ戸惑いも感じていたマルグリットだったが、その誠実さに惹かれ、2人は相思相愛になる。マルグリットは贅沢な生活も捨て、郊外でアルマンと2人きり穏やかな生活を始めるが、それは長くは続かなかった。

    奔放でプライドが高く、寂しがり屋。様々な表情を見せるマルグリットは読者目線でも魅力的です。特にア

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    2015年04月28日
  • 椿姫

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    アルマンがマルグリットを愛するがあまり深い嫉妬をしてしまい、
    意地悪な手紙を寄越してしまう場面や、その返事が帰ってこないため
    後悔をしながらもマルグリットが謝ってくるのを待ち続けるところが
    とても共感できて、なんだか落ち着かない気分になりました。
    胸がチクチクするような恋愛小説を読みたい人にはオススメだと思います。

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    2012年06月05日
  • 椿姫

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    慎み深くあれ
    25年くらい前に新庄さん訳のこの文庫を読みました。25年分しっかり色あせた本になっています。少し前に、朝比奈さん訳の単行本を読んでみました。訳者によってずいぶん文章がちがって、今回の本はとてもわかりやすいです。
     しかしながら、マノンレスコーへの書き込み、「頭を低くして」と「慎み深くあれ」。同じ文章の訳とは思えません。新庄さんの「慎み深くあれ」はやはり名文の風格があると思います。
     後に見た、グレタスカッキの映画「椿姫」もとてもきれいでそしてとても悲しいよい映画でした。

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    2015年03月18日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    本編もさることながら、訳者解説に興味を引かれてしまった。
    デュマ・フィスとマリー・デュプレシーの馴れ初めである。
    妻であり自身の二人の娘を産んだ妻よりも、かつての恋人マリーの墓の近くへの埋葬を求めた、なんて未練たらしいことだろうか。
    つまり、デュマ・フィスをモデルにしたとされるアルマンの後日譚があるとすれば、マルグリットのことが忘れられず、死ぬまでその影を求め探し続けるのだろう。
    アルマンの父はマルグリットを去らせることで娘の幸せは守れたが、アルマン自身とその妻の心の平安や満ち足りた幸せは残念ながら死ぬまで失わせたのだ。

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    2024年06月14日
  • 椿姫

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    他作品に引用され登場したのを懐かしく思い、新訳にて再読。
    読みやすく、分かりやすい訳にとにかく驚いた。
    訳本にありがちな妙な言い回しがひとつもなく、美しく流れるような表現のおかげで、作品の純愛度が増したように思う。学生の頃は悲恋に憧れ、作品に没入した印象だったけれど、今回は違う選択をした場合、に興味がわいた。

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    2024年02月01日
  • 椿姫

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    高級娼婦である美しいマルグリットは馬車や宝石などの高級なものに囲まれた生活を送っていたが、それらは虚栄のもので、本当の愛情を前にしたら価値がないということを理解していた。
    自分の本当の幸福が何で構成されているのかということを知り、その他のものは迷いなく手放すことができる勇気がかっこいい。
    聡明な女性とは、愛情深く、勇気をもって優しさを体現することができる人かもしれない。
    一方で、女性の心の素直さや優しさを信じきれなかった男が悲しい。男には到底想像のつかないような、何層も深い愛情を理解するのは難しく、結局は保身に走ったように見えた。

    今と異なる時代背景、身分差などはあるけれど、愛や死というもの

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    2023年10月21日
  • 椿姫

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    想像以上に魅力的な女性だった!
    気高く賢い魅力的な女性だった!
    可愛さ余って憎さ百倍なんてくそくらえだね
    アルマンの幼稚で執拗な傷つけ方にしっかり怒りを覚えてしまったーーー

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    2023年06月17日