板倉聖宣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
靖國神社の基本中の基本が記されている。意外と知らないことが掲載。首相の参拝で揺れる日本だが、戦争責任がうやむやになったままでは、靖國神社の存在そのものも騒ぎ立てる割には、危ういのであろうと思う。
また戦争責任を、個人の罪、集団としての責任、政府の責任、道徳的責務として、ドイツのヤスパースのように捉える必要もあるのだろう。そして論者が、どのような立場に立つのか、それが明らかにされる必要もあるのだろう、その上での憲法改正であってもらいたいものであるが、そんなこともお構い無しに国際関係は、深化と展開の渦中にある。米国と中国、ロシアの関係を軸に、イスラム諸国とイスラム教そのもの、また、キリスト教の分化、ユダヤ教の民族宗教の対立と抗争、その渦中に収斂していく・・・。
そうした中にあって、靖國神社擁護は、靖國を全く無宗教な組織また団体として踏まえる「運動」へと転化しつつあり、公の道徳律として転化させようという勢力が台頭しているのが今日の右派の様だろうと推測される。
確かに靖國あるいは護国神社には、経典宗教としての意義は無い。が、無宗教の組織あるいは、無信仰の団体と見ることは適当では無いと思う。護国で騒げば、騒ぐほど靖國が、英霊を「静かに」祀ることから遠ざかるように思える。靖國神社が、単に英霊を祭り、米国との戦いを日本を守るため戦い抜いたものたちを祀るとすれば、その趣旨を戦闘行為に殉じたもの達だけでなく、米国の空爆によって多くの日本人が殺戮された、そのものたちを祭る必要がある。しかもそこには、不戦の誓いが、尊厳を持って迎えられなければ、寛容性のある特異な宗教そしての意義は無いのである。
右派の一部が主張するような宗教はない靖國神社なら、それこそ台湾人、韓国人、中国人を祭ることも、由としなければなら無いだろう。靖國の無宗教性あるいは、特異宗教性を説けば説くほど、そこには綻びが見えてくる。彼らの中に、不戦の誓いの下に、憲法の改正をし、軍備の準備と米国からの完全な独立、すなわち日米安全保障条約の齎す状態からの完全な脱却を目指す国家思想があるのだろうか?また、憲法を守るなどいう、空理空論を唱え完全に国家觀の欠落した左派?の連中が、「思考停止」に陥っていないなどといえるだろうか。憲法改正が、騒がしいが、その憲法構想に、共和制という国家構想を唱える「思想」があるだろうか。共和制もせんたくのひとつであり、この先たとえ「危険」ではあっても、その先を目指していくという国家目標無き改正は構想なき「思考」であり、既成事実の積み上げによって、だらだらと決着なき国になっていく危険さえ見いいだせる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ原子論を中心にした高校生向けの科学史を書こうと目論まれたもの。高校の理科に関係しそうな問いや質問が挟まれているので、そのまま授業に使えるような形式になっている。
原子論の中でもとりわけエピクロスの原子論が重要視されている。それは、原子に重さという性質を与えたという功績を認めてのこと。あまり出典が挙げられていないのでなんとも言えないが、自分の知ってる範囲ではエピクロスが重さという性質をそれほど展開した記憶はないのだが、実際どうなのだろう。
あと実際には、エピクロスの重要性は「感覚基準論」にあるのだが、そのあたりは無視されているように思う。そういう思想を掲げるエピクロスが実験を繰り返して仮説を検証するというような行為はしないと思うが。。。
いずれにしても、高校くらいまでで習う化学の内容に関して、ただ暗記するだけではなく、その歴史的背景について知りたいという中学生・高校生にはおすすめできるのではないだろうか。原子論と化学の知識を総合して広範にまとめているものは他にはないだろう。 -
Posted by ブクログ
「仮説実験授業」を提唱し実践した先生として有名な筆者である。子どもたちに予想させ、実験をして白黒をはっきりさせるというのが、ごくおおざっぱなところだ。あまりにもおおざっぱ過ぎてたぶん怒られるだろうけど。
本の前半では、確かに興味深い実験がたくさん紹介される。「水が97度で沸騰する」とか、「綿1キロと鉄1キロではどちらが重いか」とか、虚を突かれるような実験があり、その結果や種明かしを読むにつけ、筆者の目の付け所に感嘆するし、さぞ魅力的な授業が展開されるのだろうとわくわくしてしまう。こういった実験を核に置いた上で行う予想や討論というのは、とても楽しくしかも知的なものになるに違いない。
しかし、この本は授業のマニュアルでも、実践紹介の本でもない(そういう本は別にある)。本の題名にあるとおり、ものの把握の仕方や推論の仕方など、思考の態度や方向性をテーマとした本なのだ。
そのことは「応用編」である後半を読むとよくわかる。スプーン曲げといった「超能力」について科学的に分析し批判を試みる内容なのである。筆者の主張も実にはっきりとしてきて、ある意味痛快なのだけど、「ト学会」の活動などを知っている目で読むと、特に目新しいものでもなく興味深いものでもない。作者の主張の正当さにただうなずくのみである。
「先入観や思いこみにとらわれず、考えたり実行したりすることが大切なのだ」という主張が全体をとおしてすっきりと伝わってくる。それを、理屈ではなく具体的に感じさせてくれる前半の実験の数々が、やっぱり一番おもしろい。