あらすじ
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国際問題となった「首相の靖国神社公式参拝」。では,靖国神社はどのようなもので,いつごろできて,どのような人が祀られているのか? 参拝問題を考える上でもっとも基礎的な事実……しかも多くの人びとが知っておきたいと思い,立場を異にする人びとでも共通に「事実」として認めざるを得ないことを学べる授業書。
明治以降の日本の戦争の歴史については『日本の戦争の歴史』をご参照ください。この本も,「すべての人びとが認めざるを得ない基本的な事実だけ」を提供した本です。
★★ もくじ ★★
〔問題1〕 靖国神社は,いつできたか
〔問題2〕 「日本国政府」との関係
〔問題3〕 戦死者はすべて祀られているか
〔問題4〕 「まつる」とか「合祀」の意味
〔問題5〕 全部で何人が祀られているか
〔問題6〕 沖縄戦で死んだ民間人の扱い
〔問題7〕 祀ることを決めたのは誰だろう
〔問題8〕 3人の「明治維新の功労者」
〔問題9〕 日清・日露戦争での戦病死者
〔問題10〕 乃木・東郷,日露戦争の英雄
〔問題11〕 日本国籍の植民地人の戦死者
〔問題12〕 「大東亜戦争」の時の総理大臣
〔問題13〕 誰が「戦犯も祀る」と決めたのか
〔問題14〕 「戦犯も祀る」と決めた理由
言葉の解説 「靖国」の「靖」の意味
「祀る」と「祭る」
「戦犯」,A級,B級,C級
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Posted by ブクログ
靖國神社の基本中の基本が記されている。意外と知らないことが掲載。首相の参拝で揺れる日本だが、戦争責任がうやむやになったままでは、靖國神社の存在そのものも騒ぎ立てる割には、危ういのであろうと思う。
また戦争責任を、個人の罪、集団としての責任、政府の責任、道徳的責務として、ドイツのヤスパースのように捉える必要もあるのだろう。そして論者が、どのような立場に立つのか、それが明らかにされる必要もあるのだろう、その上での憲法改正であってもらいたいものであるが、そんなこともお構い無しに国際関係は、深化と展開の渦中にある。米国と中国、ロシアの関係を軸に、イスラム諸国とイスラム教そのもの、また、キリスト教の分化、ユダヤ教の民族宗教の対立と抗争、その渦中に収斂していく・・・。
そうした中にあって、靖國神社擁護は、靖國を全く無宗教な組織また団体として踏まえる「運動」へと転化しつつあり、公の道徳律として転化させようという勢力が台頭しているのが今日の右派の様だろうと推測される。
確かに靖國あるいは護国神社には、経典宗教としての意義は無い。が、無宗教の組織あるいは、無信仰の団体と見ることは適当では無いと思う。護国で騒げば、騒ぐほど靖國が、英霊を「静かに」祀ることから遠ざかるように思える。靖國神社が、単に英霊を祭り、米国との戦いを日本を守るため戦い抜いたものたちを祀るとすれば、その趣旨を戦闘行為に殉じたもの達だけでなく、米国の空爆によって多くの日本人が殺戮された、そのものたちを祭る必要がある。しかもそこには、不戦の誓いが、尊厳を持って迎えられなければ、寛容性のある特異な宗教そしての意義は無いのである。
右派の一部が主張するような宗教はない靖國神社なら、それこそ台湾人、韓国人、中国人を祭ることも、由としなければなら無いだろう。靖國の無宗教性あるいは、特異宗教性を説けば説くほど、そこには綻びが見えてくる。彼らの中に、不戦の誓いの下に、憲法の改正をし、軍備の準備と米国からの完全な独立、すなわち日米安全保障条約の齎す状態からの完全な脱却を目指す国家思想があるのだろうか?また、憲法を守るなどいう、空理空論を唱え完全に国家觀の欠落した左派?の連中が、「思考停止」に陥っていないなどといえるだろうか。憲法改正が、騒がしいが、その憲法構想に、共和制という国家構想を唱える「思想」があるだろうか。共和制もせんたくのひとつであり、この先たとえ「危険」ではあっても、その先を目指していくという国家目標無き改正は構想なき「思考」であり、既成事実の積み上げによって、だらだらと決着なき国になっていく危険さえ見いいだせる。