毎日新聞取材班のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ自由の反対の手には想像力を。
2020年に出版された本なので、当時話題になった木村花さんの件がとっかかりとして示されている。SNSが劇的によくなったわけでもなく、かと言って全然ダメでもない。相変わらず「炎上」は起きている。
承認欲求、孤独感、匿名性というキーワードに加えて、この本で印象的だったのが「公正社会信念」という考え方だ。つまり、社会は「公正」であり、良いことをしたら報われ、悪いことをすると罰されると信じているということだ。特に、不幸に見舞われたのはその人に落ち度があったと結論付けるのを、公正社会信念の中でも「内在的公正推論」というそうだ。この傾向が強い人は、努力すれば報われると考えるから努力ができる。でも、弱者に対して努力不足と見做す自己責任論に持っていきがちだと。そのような意識がバッシングにつながる。自分の中にもその考えはしっかりあって、顔を出してくる。
その人の人生経験から生まれた考え方の傾向が匿名空間での攻撃性につながるのであれば、その根を断たなくてはならないが、問題は複雑だ。被害者が泣き寝入りするしかない仕組みも厄介だ。私はもうひとつの方向に目を向ける。ネットに限られたマナーもルールもない。現実と同じように発言を意識する。言葉を投げた向こう側に人がいることを忘れずに、その言葉の効果を想像する。こちらはネットが広まったここ20年の話ではなく、ずっと教育の中にあった。その方法を学ぶ方が、また新しい技術や世界が生まれてきても、対処できる。回り道かもしれないけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ池上さんの本『世界史を変えたスパイたち』で紹介されていたので読んでみた。
毎日新聞社の取材班による2022年の著作。
情報社会に生きる身として、知っておくべき情報満載だった。
一方、本書のメインテーマである、オシントの重要性、将来展望のほか、情報の洪水によるデマ、ディスインフォメーション、ディープフェイクよってに引き起こされる事例の紹介に軸足が移る後半は、やや焦点がボヤける。
故に、市民もしっかりオシントを活用して自己分析能力を高めよという警鐘として読んでおくには面白い。ストーカー被害や、コロナのワクチンにまつわるデマなど、身近な話題が取り上げられていた。
今後、よりビッグデータを活用した、事実把握が必要となっていくが、そうなればなるほどAIを駆使した分析となり、人の手から離れていくことになるだろう。
諜報活動は、ヒューミントから、既にオシントに移行してきたと思わせるが、日常生活のなかでの情報への接し方は、いかに変化していくのだろうか。
今は、過渡期なのだとは思うが、一気呵成に物事が進みそうな、不気味な胎動を感じた。