毎日新聞取材班のレビュー一覧
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ネタバレ自由の反対の手には想像力を。
2020年に出版された本なので、当時話題になった木村花さんの件がとっかかりとして示されている。SNSが劇的によくなったわけでもなく、かと言って全然ダメでもない。相変わらず「炎上」は起きている。
承認欲求、孤独感、匿名性というキーワードに加えて、この本で印象的だったのが「公正社会信念」という考え方だ。つまり、社会は「公正」であり、良いことをしたら報われ、悪いことをすると罰されると信じているということだ。特に、不幸に見舞われたのはその人に落ち度があったと結論付けるのを、公正社会信念の中でも「内在的公正推論」というそうだ。この傾向が強い人は、努力すれば報われると考え -
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権力の中枢である首相官邸は東京永田町の高台にある。官邸前の茱萸坂を下ると、霞ヶ関と呼ばれる官庁街。東大を出て最難関の公務員試験を突破した数%のキャリア官僚が配下のノンキャリア職員を指揮する。中でも財務官僚が一目置かれる存在。そこで、官僚は前例主義を叩き込まれる。小さな事でもちゃんと記録してそれを残しておくということが官僚の体には染み付いている。
その官僚が公文書を改ざんしていたのが発覚したのが2018年。森友学園の問題。続いて加計学園、桜を見る会の名簿破棄。そもそも、公文書の定義や保管義務はどうなっているのか。官僚や代議士の意識を問う事から本著の取材は始まる。霞ヶ関、永田町のご都合主義が暴か -
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ネタバレ池上さんの本『世界史を変えたスパイたち』で紹介されていたので読んでみた。
毎日新聞社の取材班による2022年の著作。
情報社会に生きる身として、知っておくべき情報満載だった。
一方、本書のメインテーマである、オシントの重要性、将来展望のほか、情報の洪水によるデマ、ディスインフォメーション、ディープフェイクよってに引き起こされる事例の紹介に軸足が移る後半は、やや焦点がボヤける。
故に、市民もしっかりオシントを活用して自己分析能力を高めよという警鐘として読んでおくには面白い。ストーカー被害や、コロナのワクチンにまつわるデマなど、身近な話題が取り上げられていた。
今後、よりビッグデ -
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戦争で一番最初に犠牲になるのは真実である。
中々痺れるこの一文から始まる。いやしかし、戦争で奪い合うものが「支配権」である以上、真実は領土と共に収穫の一つとなる。WGIP、勝てば官軍。我々は勝者の歴史観を生きている。
オシントとは公開情報に基づくインテリジェンスのこと。例えば、世界中にメンバーが散らばる調査集団ベリングキャットは、オシントの新しい地平を切り拓いた象徴的な存在。オープンソース調査の基本動作であるジオロケーション。動画が撮影された場所を手探りで検証する。ディスインフォーメーション、いわゆる偽情報による人心操作が盛んになる中、自衛の必要性も高まる。
陰謀論。そうした動きが最近の分