【感想・ネタバレ】公文書危機 闇に葬られた記録のレビュー

あらすじ

「隠す」、「残さない」、「そもそもつくらない」。

「森友・加計学園」や「桜を見る会」の問題で 明らかになった、公文書の軽視。 現政権によってエスカレートする 民主主義崩壊の実態に迫る。

国がどのように物ごとを決めたのか、政府の政策決定の過程がまったく検証できなくなっている。「森友・加計学園」「桜を見る会」、そして検察庁法改正案......これらに共通して見られるのは、政権による公文書の軽視だ。
省庁は、表に出せない公文書を請求されると、「私的な文書」にすり替え、捨ててしまう。あるいは捨てたことにする。重要なやりとりをメールで行い、「メールは電話で話すのと同じ」と言って公文書にしない。公開対象の公文書ファイルのタイトルをわざとぼかし、その中身を知られないようにもしていた。
きわめつきは、官僚にメモすら取らせない、首相や大臣の徹底的な情報統制だ。証拠を隠し、捨てるどころか、そもそも記録を残さないようにしていた。情報開示請求を重ね、官僚が重い口を開く。一歩ずつ真実に近づいてゆく、取材班の記録。

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Posted by ブクログ

HONZブックガイドから。毎日新聞、こんな熱いことをやっていたんだ、ってのがとりあえず最初のビックリ。自分の場合も、いちいち書面でってなると面倒に感じてしまう。じゃあメールでってなると、効率は上がるんだけど、その内容に関する重要度が、一段どころかひょっとしたらそれ以上、落ちてしまう気もする。でもこの考え方、見事に官公庁の隠れ蓑として機能してしまっている訳ですね。でも当然、公文書を私人のメールと同レベルで語って良い訳もなく、いかにあり得ない現状かってことが浮かび上がってくる。堂々と胸を張って虚言を吐き、発言の綻びについては後付けで強引に言いくるめる。いつになれば改まるのかと注視していても、この有様じゃあ、良くなる訳はない。闇は深い。それにしても、相変わらず不快感増強効果満点の本書だし、読書によるカタルシスなんて得られようもないんだけど、こうやって定期的に怒りを保ち続けないと、きっと知らん間に、国の垂れ流す嘘に塗り込められてしまう。施行を維持するための読書はしっかり続けていきたい。そう思わされる一冊でした。

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2021年08月02日

Posted by ブクログ

僕自身は地方公務員なんですが、この本に書かれている官僚の皆さんの対応と同じことをしたら、おそらくすぐに懲戒処分の対象となることでしょう。中央官庁の官僚の公文書取り扱いはそれほどに杜撰で、公文書を扱う人間として不適格な、悪意すらこもった習慣と作法がこれでもか、これでもか!と書き連ねてありました。

の本に提起された公文書管理の問題点を解決することなしに、日本が民主主義の入り口に立つことはできないのではないか、とすら感じる、戦慄のルポルタージュです。

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2020年08月10日

Posted by ブクログ

毎日新聞がんばれ、と応援したくなる一冊だった。一つのテーマに取り組む取材と調査の方法も、とても興味深い。

関係者の証言を積み重ねる中で、どれだけ官僚・霞が関にとって記録が大事か、しかし記録を公にしたくない、する必要がない、という意識の根深さがわかり易く理解できた。

例えば、桜を見る会の招待者リスト。保存期間1年未満に指定されていて、追求された途端に廃棄処分される。しかし、政治家や著名人、各種団体が絡む招待者選定には、記録は不可欠、失われれば、不手際が起こり方々から非難が寄せられるだろう。

2017年の加計学園の問題に端を発した、2017年12月の公文書管理法ガイドライン改定では、「方針に影響をおよぼす」打ち合わせは記録作成が義務になった。しかし、官僚も政治家も、できるだけ意思決定のプロセスは公にしたくない。都合の悪い部分や、国民からの疑念などを避けたいため。それを可能にできるよう、どうやって改定が骨抜きにされたのか、言い逃れできるような仕組みになったのかも明らかにされている。

個人の仕事、民間企業の業務なら許されるかもしれないが、政治家、官僚は公人としての義務があるだろう。バカにしている、軽く扱っているという考え、態度が悔しすぎる。

この言葉も印象的だった。「今の官邸は問題の核心に迫られないように、批判をかわせるように、論点をずらすのがとてもうまい」、何とも切ない気持ちになる。

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2020年12月07日

Posted by ブクログ

霞が関の公文書は危機的状況である。森友問題では改ざんに関わった職員が自殺した。その後も公文書管理が改善されているとは思えない。組織にとって都合の悪い文書を開示しないうちは、過去から学ぶことはできない。

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2020年11月26日

Posted by ブクログ

この手のものは著者の思想イデオロギー傾向で内容や取材が偏ってたりするので鵜呑みにはできないところもあるが新聞取材版と言うことで多少公平に見れるかなと思う。
今の政権にかかわらず日本の公文書管理に関してはずさんで心もとないのはわかっていたが、ひどいもんだと思う。
直近で公開するしないにかかわらず整理されてなくても記録を残しておくと言うことで後世の調査が可能になる。
公開しなくても少なくとも保存すると言う事は必要である。

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2020年09月19日

Posted by ブクログ

霞が関には闇から闇に消える文書がある。国の政策決定の過程が、文字にならず、あらゆるところで検証不能になっている。日本の公文書は危機的状況にある。省庁間にはびこる因習、霞が関の「魔物」の正体を追う。(2020年刊)
・序 章 霞が関の常識
・第一章 不都合な記録
・第二章 ファイル名ぼかし
・第三章 記録を捨てた首相
・第四章 安倍総理の記録 
・第五章 総理執務室の内側
・第六章 官尊民卑
・第七章 官房長官のウソ
・第八章 官僚の本音
・第九章 謀略
・終 章 焚書

本書は、毎日新聞連載「公文書クライシス」を書籍化したものである。
連載当時、興味深く思ったものであるが、なかなか毎日新聞を読む環境に無く、通読する機会を持てなかった。本書を本屋で見かけて思わず購入した。
公文書に関する不祥事が続く中で、このような連載が行なわれたことは、大変、意義があることであると思う。
新聞とは、常に新しい事に重きを置き、消費しつづけ、忘れ去られるものであるが、書籍化されることにより、多少なりとも、歴史として残されるのは喜ばしい。
内容は250ページ余りで11章という構成であるため総花的なのはやむを得ないのだろうが、折角なのでもう少し踏み込んで欲しかったと思う。

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2020年08月02日

Posted by ブクログ

権力の中枢である首相官邸は東京永田町の高台にある。官邸前の茱萸坂を下ると、霞ヶ関と呼ばれる官庁街。東大を出て最難関の公務員試験を突破した数%のキャリア官僚が配下のノンキャリア職員を指揮する。中でも財務官僚が一目置かれる存在。そこで、官僚は前例主義を叩き込まれる。小さな事でもちゃんと記録してそれを残しておくということが官僚の体には染み付いている。

その官僚が公文書を改ざんしていたのが発覚したのが2018年。森友学園の問題。続いて加計学園、桜を見る会の名簿破棄。そもそも、公文書の定義や保管義務はどうなっているのか。官僚や代議士の意識を問う事から本著の取材は始まる。霞ヶ関、永田町のご都合主義が暴かれる。

表に出せない公文書を開示請求されると、私的な文書にすり替え。保存期間を1年未満にして請求される前に破棄。請求時点で存在していたとしても、捨てたことに。電子メールで重要なやりとりをし、それが残っているのにメールは電話と同じだと言う理屈で公文書にしない。首相と省庁幹部の面談記録もほとんど作っていない。桜を見る会の招待リストを本当に捨てたなら、翌年、何を参考にして誰を招けば良いか分からなくなるだろう。杜撰なのではなく、巧妙なのだ。

取材で福田康夫。「日本は民主主義の国だから、主権者の国民が正確な事実を知ることができるようにする義務がある。もう一つは日本の形、つまり歴史を残す事だ。歴史の解釈をめぐって後世の人がなるべく迷わないようにする。外国から見ても、日本はこういう国だとわかる明確になる。公文書は一つ一つが石垣の石。それを積んで城ができる」

政権の都合で歴史を修正してはならない。本著に書かれる事は、極めて重要な話だ。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

日本人に法律を守るつもりはないということ。マスコミはオフレコで取材をすることを正当化しているが、私の立場から見ると、オンレコ、オフレコ問わず、マスコミに答えること自体が公務員の守秘義務に反している。そういうそもそもの矛盾からは目を背けながら、公文書危機と言われてもというのが率直な感想。次に、自分の身を守るために記録はなるべくしないことだと痛感する。

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2022年12月03日

Posted by ブクログ

公文書に関する官僚の態度を見ていると、基本的に全ての公文書は都合の悪い情報で隠すことが基本という考えなのかと思ってしまう。福田元首相のように公文書から日本の行政を立て直してくれる人が出て欲しいと思う。

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2021年06月03日

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