「隠す」、「残さない」、「そもそもつくらない」。
「森友・加計学園」や「桜を見る会」の問題で 明らかになった、公文書の軽視。 現政権によってエスカレートする 民主主義崩壊の実態に迫る。
国がどのように物ごとを決めたのか、政府の政策決定の過程がまったく検証できなくなっている。「森友・加計学園」「桜を見る会」、そして検察庁法改正案......これらに共通して見られるのは、政権による公文書の軽視だ。
省庁は、表に出せない公文書を請求されると、「私的な文書」にすり替え、捨ててしまう。あるいは捨てたことにする。重要なやりとりをメールで行い、「メールは電話で話すのと同じ」と言って公文書にしない。公開対象の公文書ファイルのタイトルをわざとぼかし、その中身を知られないようにもしていた。
きわめつきは、官僚にメモすら取らせない、首相や大臣の徹底的な情報統制だ。証拠を隠し、捨てるどころか、そもそも記録を残さないようにしていた。情報開示請求を重ね、官僚が重い口を開く。一歩ずつ真実に近づいてゆく、取材班の記録。
Posted by ブクログ 2021年08月02日
HONZブックガイドから。毎日新聞、こんな熱いことをやっていたんだ、ってのがとりあえず最初のビックリ。自分の場合も、いちいち書面でってなると面倒に感じてしまう。じゃあメールでってなると、効率は上がるんだけど、その内容に関する重要度が、一段どころかひょっとしたらそれ以上、落ちてしまう気もする。でもこの...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月10日
僕自身は地方公務員なんですが、この本に書かれている官僚の皆さんの対応と同じことをしたら、おそらくすぐに懲戒処分の対象となることでしょう。中央官庁の官僚の公文書取り扱いはそれほどに杜撰で、公文書を扱う人間として不適格な、悪意すらこもった習慣と作法がこれでもか、これでもか!と書き連ねてありました。
こ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年12月07日
毎日新聞がんばれ、と応援したくなる一冊だった。一つのテーマに取り組む取材と調査の方法も、とても興味深い。
関係者の証言を積み重ねる中で、どれだけ官僚・霞が関にとって記録が大事か、しかし記録を公にしたくない、する必要がない、という意識の根深さがわかり易く理解できた。
例えば、桜を見る会の招待者リス...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年09月19日
この手のものは著者の思想イデオロギー傾向で内容や取材が偏ってたりするので鵜呑みにはできないところもあるが新聞取材版と言うことで多少公平に見れるかなと思う。
今の政権にかかわらず日本の公文書管理に関してはずさんで心もとないのはわかっていたが、ひどいもんだと思う。
直近で公開するしないにかかわらず整理さ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月02日
霞が関には闇から闇に消える文書がある。国の政策決定の過程が、文字にならず、あらゆるところで検証不能になっている。日本の公文書は危機的状況にある。省庁間にはびこる因習、霞が関の「魔物」の正体を追う。(2020年刊)
・序 章 霞が関の常識
・第一章 不都合な記録
・第二章 ファイル名ぼかし
・第三章 ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月05日
権力の中枢である首相官邸は東京永田町の高台にある。官邸前の茱萸坂を下ると、霞ヶ関と呼ばれる官庁街。東大を出て最難関の公務員試験を突破した数%のキャリア官僚が配下のノンキャリア職員を指揮する。中でも財務官僚が一目置かれる存在。そこで、官僚は前例主義を叩き込まれる。小さな事でもちゃんと記録してそれを残し...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月03日
日本人に法律を守るつもりはないということ。マスコミはオフレコで取材をすることを正当化しているが、私の立場から見ると、オンレコ、オフレコ問わず、マスコミに答えること自体が公務員の守秘義務に反している。そういうそもそもの矛盾からは目を背けながら、公文書危機と言われてもというのが率直な感想。次に、自分の身...続きを読む