毎日新聞取材班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
不就学の外国につながる子供達の問題を丁寧に取材した本。そこには出稼ぎで日本にきた親に呼び寄せられたものの、虐待、いじめ、日本語ができない等々の理由で学校からそして社会からドロップアウトしてしまう子供達の姿がある。親は工場で10数時間の勤務をこなし、子供に気を配る余裕さえない。せっかくお母さんと暮らしたくて日本に来たのに、という子供の声が心に刺さる。
学校に行けたとしても支援が不十分で、板書を写すだけという子供達。子供は吸収力があるからと、放り込めば柔軟に対応できると考えがちな大人にとって衝撃的な点は、日常会話ができていても授業についていけない子供もいるということ。授業で使われる「学習言語」が習得できないと内容が理解できない子供もおり、子供が学校教育慣れるには7年かかるという指摘は、長期的な支援の必要性を示唆する。
この本が繰り返し指摘するのは、義務教育を受けさせる義務が外国籍の人には及ばないため、就学を無理強いできないという問題。市町村に追跡するだけの人手や予算の余裕や法的根拠がなければ、対応が後手にまわり、悲しい事件につながって初めて問題になるというケースもあろう。でも、そもそも親を子供の様子に気づけないほど酷使される状況に追い込んでしまう出稼ぎ者の問題をどうにか解決できないのだろうか。言葉ができないからつまづいているのは子供だけではなく、低時給長時間の仕事に就かざるを得ない親達の足枷にもなっている。そんな状況の労働者を放っておいてまでも日本人の職が奪われる、なんて言うのだろうか。外国籍の人が幸せに暮らせる社会は、日本人にとっても生きやすい社会になると私は思う。と、大風呂敷を広げても自分にできることは少ないが、この本で知ったことを頭の片隅においてact localせねばと思った。 -
Posted by ブクログ
知らなかった。外国人が義務教育から除かれてることも、外国籍児童に就学の強制力を働かせられないことも。外国人が日本で暮らしてる理由自体に貧困が絡んでいることがきっと少なくない中で、受け入れ態勢が整ってないことで学校に通えなくて、社会入っていけなかったりドロップアウトしたり、それがまた貧困につながる負の連鎖。
自治体だったり先生の熱意に支えられたり左右されたり。
でもこのキャンペーン報道で行政が少し動いたり。
自分は知らなかったんじゃなくて知る気がなかった。
義務教育なんて制度がうざったくてかったるかったことも沢山あったけど、勉強したくてもできない子供たちがいる。
陳腐な感想文しか出てこないけど、忘れないで自分にできることを。
あ、宇多丸さんのラジオで取り上げててて本買いました。出会いに感謝。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ不妊治療に関して理解したい人におすすめ。
実際に不妊治療を受けている人の声を多くまじえながら
制度や仕組みなどをわかりやすくまとめてある。
「不妊治療のリアル」を少しは知ることができた。
不妊治療には2種類ある。
1、一般不妊治療
タイミング法、排卵誘発剤、人工授精など
2、生殖補助医療
体外受精、顕微授精
どれもお金かかる。
そして時間もかかる。特に女性の周期と合わせて治療が進められるため
フルタイムで仕事をしている女性にとってはきつい。
毎日のように通院する必要あり。
そして心身にも負担あり。
毎日注射する場合あり、
採卵はとても痛いらしいし。
「不育症」について初めて知った。
妊娠しても胎児がうまく育たず死産にいたることがある。
授かりものである命を大切にしようと思った。
また、不妊症&不育症に苦しむ人がいるということを忘れてはならないと思った。 -
Posted by ブクログ
1948年に議員立法で制定され、1996年まで存続した「優生保護法」は、「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的としており、その下で、2万人以上の「障害者」が不妊手術を強いられることとなった。本書出版後、最高裁で違憲判決も確定した、そのような戦後最大級の人権侵害について、なぜ発生し、ずっと放置されてきたのか等を、当事者の声も踏まえて問い直す毎日新聞のキャンペーン報道を書籍化。
旧優生保護法の成立過程やその下での「強制不妊」の実態、近年の被害者救済の動きなどについて、各都道府県への情報公開請求や被害当事者への聴き取りなど、丹念な取材により明らかにされており、この問題について考えるのに必読であるといえる。強制不妊の被害者救済への道筋ができる上で、毎日新聞のキャンペーン報道が果たした役割も大きかったということも認識した。
旧優生保護法下の強制不妊では結論ありきのずさんな審査がまま見られたこと、法制定後、執行に当たる都道府県から人権侵害を疑う声も上がっていたが黙殺されたことなども知り、この問題の深刻さに思いを致した。
一方で、このような旧優生保護法下の強制不妊のようなことは絶対あってはならないとは思いつつ、障害者を育てていくことのたいへんさ、社会としてのサポートにも限界はあることなどに鑑みると、出生前診断や障害者ができるだけ生まれないようにする取組などは肯定してしまわざるを得ない自分もおり、本書で問われている「優生保護法なき現代の「優生思想」」ということについては、考えさせられるものがあった。本書は、もちろんあるべき姿を問うているということはよくわかるのだが、どうしても「きれいごと」に終始しているのではないかというきらいは感じた。 -
Posted by ブクログ
妊娠がわかった家庭はもちろんのこと、子どもを考えている方も必読の一冊。
さすが毎日新聞と唸るような文章力と取材力、そして構成力。
読者に思考を促すような、説得力とわかりやすさのある内容。
印象に残っている文。記者「NIPTを受けた女性を取材すると、夫と十分に話し合っていなかったり、夫と一緒に来院したりした方が少ないと感じた。」→病院側「ハードルを下げるために夫婦で来ることを前提にしていない。よくあるのは妻が夫から選択を丸投げされているケース。」
如何に女性が妊娠時から子育てに関して1人で重責を抱えているかが丸裸になっている。母子保健法の大きな課題である。 -
Posted by ブクログ
安倍元首相が銃撃により殺害された事件以降、「2世信者」という言葉がメディアで取り上げられるようになり、よく耳にするようになったが、宗教信仰による児童虐待がここまでひどいものとは、この本を読むまで知らなかった。信仰の自由と信仰による制限、禁止、医療ネグレクト、非常に難しい。筆者の言うように、必ずしも宗教=悪とバッシングするのではなく、信仰の自由を保障しながら、信仰しない人とも共生していくことを考えなければいけないと思う。そして、今もなお苦しんでいる、苦しいことにすら気づけずにいるかもしれない2世信者に対して、どう支援していくかは重要な課題。
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Posted by ブクログ
素晴らしい本でした。
内容への詳細な取材と、各立場への比較的フラットな調査、意見や状況の記載とともに新聞の当時の立場への反省なども含め書かれています。
こういった倫理的には決着がついている内容の深掘りは、日本の新聞社の得意なところなのかなと想像しました。各立場の心情が、とても解像度が高い人間として描かれています。
社会は色々な必要性や危機感から成り立っていて、この場合は人口の急増と貧困という背景の中で、優生法という歴史的な負の遺産が生まれ、倫理性について大きく吟味されないまま積極的に運用、維持されてきたというものでした。
ここでいう倫理観とは現代の我々の倫理観ですが、おそらくは僕らが当時の人たちに、倫理的に許されないことではないのか?と質問できたとして、その反応は「え?そうなの?」ぐらいのものなのではないかと想像する。
現代の倫理観とはそういう意味では無視されてきた、というよりはどこかで発見されてきたものなのではないかと想像する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレヤングケアラーという言葉が知られるようになったのは本当に最近の事だった。ヤングケアラーという言葉自体が知られていなかった頃から、政府の支援につながるまでの経緯が、当事者への取材を挟みながら描かれている。毎日新聞の記者達の熱意によりヤングケアラーの実態が表に出てきたという事が伝わってくる。
当事者のインタビューには心苦しくなるものが多く、虐待だと思われるようなケースもあった。虐待でなくとも毒親に近いのかもしれない。子供らしく子供時代を送れていないのだから、今後もそれが尾を引き、生きづらさになって欲しくないと切に思ったし、ヤングケアラーとして子供時代を過ごし大人になった人は、ケアから離れてもそれを引きずっていないか心配だ。
そして、ヤングケアラーが誕生してしまう背景も切なかった。子供の純粋さと優しさ、親や家族を大切にするという心と、さらに圧倒的に知識がない、社会を知らない子供だからこそヤングケアラーとなってしまう。しっかりした子、偉い子だけで済ませてはいけない。
しかしヤングケアラーといえどそれを決して否定していないケース(ケアを通して得たものがある、ケアは日常になっている)もあると知り、ヤングケアラー自体の線引きだったり、支援の介入が必要なのかどうかもそれぞれだと分かり、難しい問題だと感じた。
いずれにしても、この本によりヤングケアラーと言うものが広まり、支援を必要としている子供、若者に手が差し伸べられることを祈りたい。