毎日新聞取材班のレビュー一覧
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少子化を人口政策的な観点から見ると、「子供が増えれば幸せなのか」というそもそもの問いが抜け落ちてしまうのかもしれない。世界各地の事情を知る読み物としても面白いが、当事者たちへの取材を読みながら、「子どもを産み育てることにまつわる幸せとは…」という問いに立ち返れたように思う。
子どもを産み育てるのが難しい状況を、「個人の自由が阻害されている」と捉えなおし、少子化対策を「個人の自由の保障」だと定義しても良いのかもしれない。労働力不足や社会保障制度の維持、市場の縮小、税収減…など少子化により想定される問題は山積み…。でも、子どもの数を増やすことが唯一の解ではないというのは念頭に置こうと思った。少子 -
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世界7カ国の少子化事情を掘り下げながら、日本の少子化問題を考察する本。「子供が増えれば幸せなのか」というタイトルに惹かれて手に取ったが、各国事情の取り上げ方や本題へのアプローチなどが非常に分かりやすく面白かった。
少子化は何語問題なのか。人口減による経済的損失や福祉制度の破綻が指摘されるものの、それは労働生産性の停滞が問題であり、人口減が根本的な問題なのではない。少子化問題で根本的に解決すべきは、出産・子育てを思い通りにできない境遇が存在してしまうことと、人口減が止まる兆しが見えてないことにある。
少子化の議論にはリプロダクティブ・ライツ(性や生殖に関する権利)の観点と国力維持の観点があるが -
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止まらない日本の少子化問題に対し、
毎日新聞の記者がアジアやヨーロッパ諸国の出産・育児支援策を調査し
今後の日本の政策の在り方について言及した本。
各国の歴史や国民性を背景にすると出産、子育てを取り巻く状況は本当に様々で
日本が際立ってレベルが低い、というわけではないことが分かりました。
と同時に、
もし国が出生率を上げたいのならばまずは
個人ないし家族単位での仕事や生活における幸福度を上げる努力をするべきで
子どもを産む数はあくまで結果論であるのだと思いました。
これらを踏まえると、
少子化対策を謳いながら子ども手当や各種給付金に所得制限を設け
増幅の対象が出産育児金、といった政策を打 -
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少し前から気になっていた言葉「ヤングケアラー」。
テレビなどでも取り上げられるようになってきたので、気づいたらチェックするようにしてきた。
その「ヤングケアラー」が世間に認知されるようになったきっかけをつくった報道のドキュメント。
新聞社の取材班が執筆しているので、調査データなどをベースに説得力があり、読みものとしても読みやすく仕上がっている。
これまでに「存在」はしているけど「認知」はされていなかった弱者を「発見」して、社会を動かしていく。記者冥利につきるだろうそのエキサイティングな熱量を、共に感じられる本だ。
「ヤングケアラー」の問題は、本人にその自覚がない、家族の問題を他人に知られたくな -
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ネタバレ韓国
大卒の就職率は6割、大学はSKY出身者がステータス。TOEIC800点以上、文系なら900点以上、国家試験に通ることが必須。日本以上の競争社会。
大統領の権限が強いが再任はなく任期5年。短期的な成果を求める。
日韓では就職するまでが子育て。欧米より長い。
中国
一人っ子政策が生んだ男女人口比のひずみ。大学入学には科挙に似た高考が必要。学習塾を規制した。一人っ子政策は少子化を早めた。出産適齢期の女性の減少。
政治はエリート政治=民主主義の利害調整メカニズムはない。全体としては正しい選択ができる。迅速性がある。利害調整は矛盾の解消は問題t。
フランス
支援と個人の選択の保障が原動力。単身 -
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ヤングケアラーたちの介護(ケア)の実態をと、取材班の現場でのやりとり や 全国調査に至るまでを取材した過程 で構成された本。
昨年、新聞の記事でヤングケアラーという言葉と意味を初めて知った。1クラスに1人いるという事実も衝撃だった。
が、今回ここで書かれている内容を読んで、かなりショックだった。娘や息子と同じ年頃の子がこういった境遇に置かれているなんて。
数年前、『欠席の連絡がなかったから、先生が電話したら、お母さんの具合が悪いから休むって子がいた』という話を娘から聞いた時、ヤングケアラーについて全くの無知だった私は「そんなことってある??」と思ったことを思い出した。私も無知だったけれど、 -
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親の仕事の事情などで来日したものの、就学できていなかったり、就学したもののじゅうぶんな日本語教育を受けられていなかったり。そういった外国籍等のこどもたちを取材したもの。
全体を通じての感想としては、もちろん様々な施策や自助努力によって、こういった子どもたちへ頑張ってサポートしている学校や自治体がある、というのは凄いことだしとても良いことだと思うけれど、それでいいのだろうかということでした。学校の先生たちの多忙化については近年ずっと叫ばれているし、自治体の財政やマンパワーは自治体によりけりで、どうにかしようと思ってもどうしようも無いことも多いのではないかと。国の施策として、法的・財政的な基盤が必 -
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毎日新聞がんばれ、と応援したくなる一冊だった。一つのテーマに取り組む取材と調査の方法も、とても興味深い。
関係者の証言を積み重ねる中で、どれだけ官僚・霞が関にとって記録が大事か、しかし記録を公にしたくない、する必要がない、という意識の根深さがわかり易く理解できた。
例えば、桜を見る会の招待者リスト。保存期間1年未満に指定されていて、追求された途端に廃棄処分される。しかし、政治家や著名人、各種団体が絡む招待者選定には、記録は不可欠、失われれば、不手際が起こり方々から非難が寄せられるだろう。
2017年の加計学園の問題に端を発した、2017年12月の公文書管理法ガイドライン改定では、「方針に -
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霞が関には闇から闇に消える文書がある。国の政策決定の過程が、文字にならず、あらゆるところで検証不能になっている。日本の公文書は危機的状況にある。省庁間にはびこる因習、霞が関の「魔物」の正体を追う。(2020年刊)
・序 章 霞が関の常識
・第一章 不都合な記録
・第二章 ファイル名ぼかし
・第三章 記録を捨てた首相
・第四章 安倍総理の記録
・第五章 総理執務室の内側
・第六章 官尊民卑
・第七章 官房長官のウソ
・第八章 官僚の本音
・第九章 謀略
・終 章 焚書
本書は、毎日新聞連載「公文書クライシス」を書籍化したものである。
連載当時、興味深く思ったものであるが、なかなか毎日新聞を読