西股総生のレビュー一覧
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購入済み
二重構造
「侍」というと江戸時代に高度に純化されてしまった武士道に基づく侍を想定してしまいがちだが、本当に毎日命のやり取りをしていた戦国時代の武士はもっともっと野蛮なものだった、という最初の説明にすっと納得してしまった。職能別の軍隊構成や侍と足軽以下の二重構造 という説にもさもありなんとこれまた納得。有名な長篠合戦の解説にもこれまた素直に納得 してしまった。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。10年以上前の本だが、我々市井の戦国好きの中で最近流行っている戦国史をもとにしたマンガや小説なんかは著者が取り上げた研究結果が大きく反映されているんだなというのを感じる。軍事的な視点から戦国史を見ると、これだけ景色が変わるのかと。史料の読み方も、目を引く表現にとらわれるのではなく、書いた人間がどういう意図でそういう表現をしなのかとか、冷静に考えているところがまたいいと思う。
高白斎記などにある備えを立てるという表現、これはそれぞれの領主が動員した兵員を連れて着到してから兵種ごとに部隊を再編したことを指すのではないかと指摘している。東国のほうがそういった面では進んでいたのでは -
Posted by ブクログ
とても楽しく読みました。そもそも、自分が城跡好きだからかもしれないけれど。これまで城跡なんて興味が無かったという人が読んでも、魅力に気付いてくれる人がいるのでないかなぁ。
筆者による城跡に関する考察と、城跡の各パーツに関する説明、それから城跡に関する筆者の随想/主張が程良いバランスで記述されています。
筆者の縄張り図及び城跡への想いがひしひしと伝わって来て、そこが本書の魅力だと思います。
城跡/史跡の保存に関する主張や、復興天守に関する主張は、大いに共感できます。
多くの方に読んでもらって、まだまだ残されている歴史の痕跡に触れてもらえたらいいなぁと思います。
みなさん、本書を読んで、城跡に行き -
Posted by ブクログ
堅苦しくなく、フランクな語り調子で、読みやすかった。
知識を詰め込むよりも、実際に城の防御機能を体感するのが、城の楽しみ方だという考え方で、それはそれで良かったけど、基本的な用語や仕組みも、紹介してくれていたのも、良かった(石垣の積み方など)。
全体を通して、筆者が本当にお城が好きなんだという事がヒシヒシと伝わってきて、ほほえましかった。
数を競ったりするのではなく、必ずしも沼にハマらないといけないわけではなくて、自分なりに、気楽に楽しめるのが、一番だと書いてあり、自分もそう考えて城に接していきたいと思った。また、これを機に他の城本にも手を伸ばしてみようとも思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお城って考古学のようなところがあって、まず遺構があって、その遺構からこれはどういう目的で造られたのかとかそういうことを考えることが多いのですが、そのときに常に看板の解説とかを怪しいものとして(斜に構えて)考えるのが面白いんです。看板の解説とか固定観念とか、そういうものをなるべくとっぱらって、あるがままの状態から読み解くと、たまーにどこにも解説されていないことが見えてきたりするのです。
本書の著者は、こういった楽しみ方の超上級者といえるように思います。著者は実際に城跡に出て行って縄張り図を書く中で通説に対して、いやそう考えるのは辻褄があわない、実はこうなんじゃないかといったことがたくさんあった -
Posted by ブクログ
まだ第二章を読んでいるところですが、いま書いておきたい。
これは名著。日本の在野の歴史研究家は、ほんとうにレベルが高い。
本書全体を通しての問題意識を綴る第一章は、秀吉の小田原征伐の前哨戦である山中城攻めを、豪傑渡辺勘兵衛覚書を題材に辿る。
そこから、優れて組織的な鉄砲戦術と、手柄第一の個人プレーという相反する要素にどのように折り合いを付けたのか?という論点が提示される。
同じ在野の歴史研究家である鈴木眞哉の著書も面白かったが、本書はそれを上回る面白さである。
ちなみに渡辺勘兵衛は、『信長の野望』ファンならお馴染みの豪傑。山中城攻めでも、強襲を渋る主君中村一氏の判断を待たず、どんどん突撃してい