渡辺一史のレビュー一覧

  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    素晴らしい新書だった。いろんな人に配りたい。
    障害者の話?と倦厭している人にも「人間のコミュニケーションの話だよ」と強くすすめたい。

    福祉とか介護とかの話題には、なぜか偽善的な思い込みがつきまとう。しかし、なぜそう思うのか? なぜ私たちは(本音は)障害者を避けようとしてしまう、あるいは深く考えまいとしてしまうのか?
    著者はそんな「普通」の感覚にひとつひとつ向き合い、障害者のリアルを紹介していく。そして、「障害」は障害者自身にあると考えるのではなく、それを受け入れる能力のない社会にこそあるのかもしれない、という考え方があることを鮮やかに教えてくれる。

    「障害者は高齢社会の水先案内人」など、

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    2021年03月07日
  • こんな夜更けにバナナかよ  筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち

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    障がい者の在宅医療を切り開いた筋ジス患者とボランティアの物語

    障がい者がフツウに他者と暮らす意味を突きつけつつ、僕らのフツウって何だと考えさせる

    それは「フツウのことができなくなったときの尊厳死」に対する強烈なアンチテーゼだ

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    2021年02月16日
  • こんな夜更けにバナナかよ  筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち

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    ネタバレ

    障がい者福祉の知識がないので本を読みたいと言ったら、その仕事の人に勧めてもらいました。
    美談にされておらず、具体的な描写から関わる人たちの心情も想像もでき、入門に良い本。

    「わがまま」と見える態度について、覚えておきたいところ。
    障がい者自身にとっては、周囲の望む方向と自分の欲求のズレをいかに明確に意識するかが、自我に目覚めるために決定的に重要。
    健常者が「よかれ」と思ってした好意、安易な優しさを突き破るような自己主張として伝えられることが多い。介助者にしてみれば、常に好意が打ち砕かれるような、激しさと意外性を伴う体験なのだ。

    とは、誰にでも、健常者同士にも当てはめられるね。

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    2020年12月29日
  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

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    はじめはなんてわがままなんだろうと思って会話を読んだ
    医療職として、ケアに関わる身であってもそんなふうにみてしまった
    でもそれが勝手に障害者とレッテルを貼っている対等にみていなかったんだろう
    できないところは手伝ってもらう必要があって、それでOKなはずなのに、当然と思うなよとどこかで思ってたんだな
    一人の人としてわがままを言い合える、遠慮しない関係が必要で、
    でもそれは医療福祉職という立場からはできないのかもしれない

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    2020年12月21日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    購入後に、こんな夜更けにバナナかよ、の著者の著書ということに気づいた。ケアがわかる本として映画を勧められて観たが、さらに理解が深まった。

    障がい者のために税金を負担することの考え方など、ライター経験の長い方だからこそ書ける親近感を持てる内容と思う。

    長い人生のなか、一度は読んでおきたいと思えた。子どもよりも、むしろ大人に読んで欲しい。

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    2020年07月14日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    人と人が支え合うこと。それによって人は変わりうるのだということの不思議さに、人が生きていくことの本日もまた凝縮しているのだと。

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    2020年07月03日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    福祉が芽生える瞬間とは、思わず誰かを支えたいと思って行動してしまう時のことだ。
    つまり福祉の定義は「誰かを支えようとした行動」と言い換えることができる。

    1章には2020年3月末に死刑判決を受けたやまゆり園事件の植松死刑囚の話が出てくる。
    意思疎通のできない人間は「人間」ではない。だから殺した、という植松死刑囚の主張はメディアでも連日取り上げられた。
    高い生産性を発揮する人間にこそ価値があるという近代資本主義の考え方に染まっていると、この主張にすぐさま反論することは難しいと思う。自分もそうだった。

    だが、この本を通じて、
    ・障碍者の存在理由は?
    ・なぜ障碍者に手を差し伸べるべきなのか?

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    2020年04月20日
  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

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    ネタバレ

    とっても感動した。最後の、田中さんとあんどうさんが、鹿野さんのことを考えてるところが、じーんときた。障害者とは、どんな人か、考え直した。鹿野さんは、すごいなあと思った。ボランティアの人もすごいとおもい、そこからストーリーが、生まれるんだなと思った。

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    2020年04月11日
  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

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    ノベライズということで短くてあっという間に読めます。ドラマチックにも仕上がっていて、感動しました。もう少し主人公が活躍するところを見続けたくなるくらいでした。映画ともとの本を見たくなりました。

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    2020年03月12日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    あわれみの福祉感、まさに、自分の中にあった障がい者への気持ちを言い当てられた具合の悪さがあった。
    確かに、かわいそう、気の毒、頑張ってる、24時間テレビ的な、きれいごとが私の中の障がい者に体する意識としてあった。

    後半の海老原さんの人サーフィンして生きる姿はたくましい。
    ものを頼むというのは、生きていく中でもっとも神経をすり減らす作業の一つです。という言葉が刺さる。

    実際、健常であることは永遠ではない。自分や、身近なひとが障がい者になったとき、
    健常でなくなっても、どれだけ同じように他者と関わって行けるか=自分と障がい者の関わり方として考えないと…。

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    2019年10月19日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    ネタバレ

    『なぜ人と人は支え合うのか 「障害」から考える』渡辺一史

    先日公開されていた映画『こんな夜更けにバナナかよ』(未見)の原作者であり、ジャーナリストの渡辺一史さんによるビギナー向けの新書。

    映画の中で描ききれていなかった障害者の自立生活へ向けた運動の歴史、声を挙げる運動あってこそ駅のバリアフリーが普及し、ベビーカーや高齢者も恩恵を被っていること。「障害者・障がい者・障碍者」の表記の議論について。言葉を選ぶことで「いい人(ちゃんと配慮している人)に見られたい」自分を見破られ、戸惑う。

    相模原の施設で起きた殺傷事件から、ネットでは見るに耐えない言動が撒き散らされる中、「その人に価値があるか無し

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    2019年08月07日
  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

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    人の気持ちというのは人の数あるわけですが
    相手の気持ちをわかっているようで、実はわからないことばかりなのです。
    そして、相手を知れば知るほど、自分のこともよく分かっていく。
    いつしか自分や人を認めて自分自身が生きやすくなる。

    “障害があっても、障害がなくても、悩みはある。その悩みが世の中から見て、小さくても大きくても、その当人にとっては大問題だ。”
    *悩みというのはだれだって持ってんだな、やっぱりそれを他人が他人の物差しでその辛さを測ることは不可能だしなんの意味もないなと

    “なんでも完璧に自分一人でやろうと思うのはもうやめた。できないことばかりだ。”
    *自分の中の堅い癖、人に頼りたくないと

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    2019年07月03日
  • こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話

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    映画脚本を文章化しただけあって、さくさく読めた。でも、細かな演出や演技が文章化されてるので、あそこはそういう意図だったのか!というのがわかっておもしろかった。映画みた後でも、読む前でも楽しめる一冊。

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    2019年05月09日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    駅のエレベーターも最初はコスト的にムリ、次に車椅子で来たら突き落とすぞ(すごい言葉…)、と言われていたものが、今ではすっかり普通に。求めなければ与えられない。「社会に生かされているだけでもありがたい…」と遠慮していてはダメなんだと。

    障害者は生きる価値がない、というのであれば、あなたにどんな生きる価値があるのかを示してください、という問いがおもしろい。

    誰かを支えることで、自分が幸せになれる。一億円積まれてもやらない人はやらないが、一億円積まれなくても「あ、やりますよ」という人間はいる。人間関係というのは単純なものではない、と思いました。

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    2019年02月13日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    これだから、福祉の本はやめられないなあ、という本。
    すごい人がたくさん出てくる。思いもよらなかった視点を持っていたり、行動力が半端なかったり、忍耐力もすごかったり。
    私はいま、心に余裕がないが、社会福祉の最前線を知るたびに、不思議と生きていることへの無前提の肯定が得られる。

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    2019年02月02日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    映画の『こんな夜更けにバナナかよ』の作者が書いた本。
    相模原の事件犯人に反論することも含めて、障害者の価値
    についても書かれてある評論。
    とても有意義な内容だと思います。常々私自信も
    障害者は、社会のリトマス試験紙というか、生きづらさに
    悩む人たちに対する対応は、社会全員に有意義な対応になり
    得ると思っています。
    こういう考えというか、感じ方ができる人や社会が
    作られていけば、本当にいいなあと思います。
    皆さんに読んでほしいと思います。

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    2019年01月30日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    障害については色々あって、割と詳しいのだが、障害の社会モデルや、「役に立たない」論、障害者福祉政策の変遷など、分かりやすくまとまっていた。
    同著者の「こんな夜更けにバナナかよ」も映画化され、今までの障害者観が変化しつつある現在、本書で多くの人に障害について知ってもらえたら嬉しい。

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    2018年12月23日
  • こんな夜更けにバナナかよ  筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち

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    ネタバレ

    人に迷惑をかけずに生きるのが理想か。

    何年か前に映画化もされた話題のノンフィクション。ページは多いが引き込まれて一気に読み切った。鹿野靖明という在宅介護を望んだ筋ジストロフィーの男性とそこに集うボランティアたちの生活を取材して書かれている。著者もいつしかボランティアの1人として痰の吸引など鹿野の世話をしていくうちに、障がい者と社会について、人と人との関わり合いについて、生きることについて、を考え込んでしまうといった内容だ。

    ボランティアは何かを求めてやってくる。ボランティアに限らず人はやはりどうしても「してあげる」という上から目線からは逃れられないように思う。鹿野の「ワガママ」に対してボラ

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    2025年08月07日
  • なぜ人と人は支え合うのか ──「障害」から考える

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    「障害」、「障害者」を考えていくことで、「なぜ人と人は支え合うのか」という根源的でもある深い問いへのひとつの答えがでてきます。

    本書の始点と終点はまさにその根源的な問いかけとそれに対する著者なりの答えとなっています。その二点を結び付ける線にあたる部分が本書の大半にあたり、それは思索や当事者たちの経験であり、文章の中に豊かに息づいていました。

    はじめに語られるのは2016年に相模原で起こった障害者19名を殺害した事件「やまゆり園障害者殺傷事件」。犯人の植松死刑囚は、「障害者なんていなくなればいい」とその動機を語ったとか。こういった考え方は、本書に登場する哲学者・最首悟さんが「実は多数派かもし

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    2025年07月14日
  • こんな夜更けにバナナかよ  筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち

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    映画を見たことがあったので、小説になるとどんな感じなんだろう?と気になって購入しました。ページ数も少なくてとても読みやすいです。鹿野さんは厚かましいけれどどこか憎めない、素直な人です。「愛しき実話」というのがピッタリな作品だと思います。

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    2024年11月03日