吉田利子のレビュー一覧
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どなたかの本棚で面白そうだったので、ずっと気になっていた脳神経学者オリヴァー・サックスの一冊目はこちらに。
利き腕を怪我した場合、反対の手や足でできることが増えることがある。脳の内部でプログラムや回路が変化して、異なる行動様式を習得したのだ。
このように欠陥や障害により潜在的な力を発揮して躰が再構築されることがある。
このように、人間の脳や身体の病から別の機能が発達する症例に接して、脳の機能だとかそこから構築される人間の個性とかを感じるドキュメンタリー。
『色盲の画家』
65歳のジョナサンは交通事故の頭部損傷で目の認識が変わった。視力は鋭くなり遠くの物が認識できる。しかし色が全くわからなく -
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原著は1995年刊。いまやメディカル・エッセイの金字塔。インパクトのある『火星の人類学者』というタイトルもいい。16ページのカラー口絵も彩りを添える。
大脳性色盲、トゥーレット症候群、側頭葉癲癇、開眼手術、サヴァン症候群、高機能自閉症など、オリヴァー・サックスが出会った7つの驚くようなclinical casesを鮮やかに描き出す。
最終章ではあのテンプル・グランディンを訪問する。自身の自閉症を説明するのに「火星の人類学者」というメタファーを用いたのは彼女だった。訪問の終わり、空港まで送ってもらい、別れ際に、許しをもらって彼女とハグする。なんという温かな終わり方か。 -
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きっかけは、Jordan Petersonのおすすめ書籍の中にあるのを見つけたこと。
何かを知るためには、境界領域にあるものを詳しく調べるのが効果的、というようなことを考えた。脳になんらかの障害のある人々のことを知ることは、人間を知ることにつながる。
自分とすごく異なると感じる人達もいるがー全色盲、健忘症、自分と変わらないのではないかと感じる人たちもいるートゥレット症候群のお医者さん、自閉症の動物学者の教授。
自分はサイコパスなのではないか、と思う瞬間はよくある。多分、病気と健全の間は想像するよりずっと近いし、はっきりと線が引かれているわけではないと言うことだと思う。
一章読むごとに、 -
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ネタバレ私は脳科学系の読み物が好きで、ことに知覚で形作られる世界は個人的なもので、普遍的なものではないという見方に非常に興味を持っている。本書はまさしくその興味を揺さぶられる内容だった。
本書に描かれている人のうち数人が、自身が障害を持っているということを自覚した上で、障害を消したいとは考えない、とコメントしていたところが印象的だった。それほど彼らが抱えているものが彼らのアイデンティティとして切り離せず渾然一体となっていること、そしてそれほどに彼らが彼らの知覚している世界を守りたいと感じるのだとわかった。
健常者は、ハンディを抱える人に対して、「正常な知覚ができる状態にできれば感動的だろう」と考えるこ -
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ネタバレ導かれるようにして、本書を手にしました。
わたしの中のホンモノのわたしが喜んでいる、解放されたいと喜んでいるのを感じ、ワクワクしました。
しかし、読み進めるなか、リピートされる過去の出来事、妄想、などなど、これがわたしのエゴなんだ、と痛烈なパンチもお見舞いされましたが。
長年、パーソナル障害と思しき人との関係に苦しみ傷つきましたが、近年やっと、理性で接することができるようになりました。つまり、わたしの中に、俯瞰する冷静なわたしが、出現してくれたのです。
このタイミングで本書に出会えたことをとても嬉しく想います。
わたしには難しい内容もありましたが、『ほんとうの自分を見つける』べく -
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オリバー・サックスのこれまでの著書の中で最も素晴らしかった。世の中には「杉山なお(著) / 精神病棟ゆるふわ観察日記」のような心療内科患者・生理学的障害を持つ患者を動物園のように「観察」する書籍もあれば、この著者のように限界まで「一人一人としての人間」を理解しようと試みる本気が伝わってくる著書もあるのですね。やはり一番印象的だったのは映画にも成った表題「火星の人類学者 テンプル・グランディン」さんのお話でしょう。日本人なら誰もが「村田沙耶香 / コンビニ人間」「同 / 地球星人」を連想したのではないでしょうか。後者は正に「私達は地球星人ではなかったのだ」という視点で書かれています。本書は一冊通
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言葉の選び方、話の展開、どちらも体に優しく染み込んでくるので、これがお人柄か、と思わされる。
スピリチュアル系の本を立て続けに読んでいるが、多くは同じような事を言っているのだが、その表し方に差異がある。
本書は、文中にも多く出てくる言葉の、静謐さ、そのものである。
心静かに読むことが出来る。
私がエックハルト・トールを読むのは2冊目。
1札目では、
今に在る、という感覚が具体的にどういう事を指しているのだろうか?
という問いが残っていたのだか、本作ではかなり丁寧にそこが書かれていて、感覚的に自分の中に落とし込む事が出来た。
ざっくりと読んでも心に残る一冊。
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先日読み終えたラスハリスの書籍と、メッセージ性は共通していました。
スピリチュアルなんて信じないよ、という方はまずラスハリスの本を。
どちらもおすすめです。
今まで自分が思っていた自己、思考や感情についての感覚が一転する思考。
とてもシンプルで心地よく、自己肯定感を底上げしてくれるものです。
スピリチュアル系と言ってしまえばそれまでですが、宗教の教えも、スピリチュアルも、引き寄せの法則も、宇宙のパワー?のような話も、皆言っていることは同じくくりなのかなと。そちらの能力が無いので何とも言えませんが、霊感も第六感もスピリチュアル性もありませんが、広く大きく共通している部分を感じます。言ってし -
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エイブラハム、大好きです。
この赤本に始まり、青本、銀本、金本、瞑想CDブック、365日、そしてサラとソロモン三部作と、すべて私の宝物です。
エイブラハムが話すことは一貫しており、私たちがやるべきことはただひとつ、「明るくていい気分でいること」。その理由は、望まない思考は嫌な気分に、望む思考はいい気分になるから。思考のエッセンスが引き寄せられるから、嫌な気分なら望まないことを、いい気分なら望むことを引き寄せる。
けれど恐れることはないとエイブラハムは言ってくれる。なぜなら、いつだって感情ナビは正確に機能していて、今感じている感情に気づきさえすれば、そこからほんの少しいい気分になることを目指 -
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26年も前なので、古さを感じる部分はある。
それを差し引いても、一般読者に”当事者の世界”を触れさせる良書なので星5つとした。
原著”An antholopulogist on Mars”が出版されたのは1995年、日本語版出版は1997年。
現時点(2021年)からみれば26年間、精神医学、脳神経科学は日進月歩の進歩を遂げてきた。現代の最新知見を持つ読者からみれば、
「四半世紀前はこんなものだったのか」
と、落胆や不満も持つ内容である。
とりわけ、当時よりははっきりしてきた発達障害への理解を踏まえると、
「抱きしめが大事とかいう理論はお前のせいかぁあああ!」
と、どなりたくなるような -
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スピリチュアル系の本の中でもシンプルで実践しやすいと思います。
文はとても長いのですが、興味深く面白くてすいすい読める本。
「神との対話」みたいな高次元の対象との対話形式ですが、あくまでも個人的な経験のコントロールについて述べられており、例えば生命がなぜ生まれたかなどの話は少なめ。
もちろん皆無ではなく、思考がいかに実現するのか、物質世界ではない意識の全てがあるところのあり方とか、そういう話も出てくる。
でも、そこを信じきれなくても、この本の言わんとしていることを実践することは、自分が何を望み、何を目指すのかを理解する手助けになると思います。
思考が実現するということ。
望んでいないことや -
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ネタバレ「悟り」とはまったく別のレベルの存在への飛躍、そして何より大事なことに物資性の減少を意味する。
あらゆる生命体はすべての源であるひとつの「生命」、ひとつの「意識」が一時的に形となって現れたものである。
人間がある程度「いまに在る」という本質的な生き方ができるようになり、外界への静かで鋭敏な意識が芽生えると生命の聖なる本質、つまりあらゆる生命体に存在する意識あるいは魂を感じ取り、それが自分自身の本質でもあると気づいて愛せるようになる。
だがそれまではたいていは外形的な姿ばかりを見て、内なる本質になかなか気づかない。自分自身の本質がわからず、肉体的、心理的な形が自分であると信じ込む。
人間