黒岩比佐子のレビュー一覧
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P30~
乃木希典 学習院女学部教育方針
一、凡そ徳操の中でも、質素と云ふ事が、最も能く守らねばならぬ事である。
一、質素は価の多少にあらず。
質素といへば、単に価を多く費やさねばよい、人に貰つたものだからよい、安く買入れたものだからよいといふ訳ではない。たとひ廉価なものでも、質素の精神に叶はないものは、高価でも質素の精神に適つたものに比べて、遙かに劣るのである。
一、最も卑しむべく恐るべきもの。
無理に品物を廉く買はうとし、また貰うべからざるものを人から貰つて喜ぶやうなことは、最も卑しむべきである。又質素とは金銭のみの事ではない。特に彼の正しからぬ贈与を受け、又は価をねぎつて得た品を喜ぶや -
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ネタバレi文庫HDで少しだけ「食道楽」を読み始めたところで読んだのだが、実に素晴らしい研究。このような素晴らしい研究テーマを掲げ、粘り強い調査を行い、読ませる文章を書ける研究者が夭逝してしまったのは残念至極。「パンとペン」も期待大。先日読んだ「雑食動物のジレンマ」と言ってることがまるで同じで百年経ってもほとんど人間の食には進歩がないのかと驚愕。魯山人などは著書のなかで村井を相当馬鹿にしているが、売れる人に対するこういうやっかみって、今も昔も変わらんな、と。昔のほうが権威主義が強かった分、余計酷かったかも。食育が見直されてるなか、この人の著作がまた見直される気もするな。
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明治時代の家族・皇族といった上流階級に属する女性について書かれた一冊。当時の上流階級の女性がどのような価値観の中で生き、どのような生活を送っていたのかを知ることができる。また、上流階級の女性についてのみならず、それを説明するにあたって当時の世情なども書かれているので、大変勉強になる。当時世間での、女性や結婚、家庭に対する価値観の違いを、読みながら現代と比較するのも面白い。また、世間の美人像の変化や女性の容姿の変化もこのあたりの時代なので、苦心し様々に工夫している様を想像するのも面白い。
本書には、当時の写真も数多く載っているので目でも楽しめる。 -
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ネタバレ苦境を笑いとばし、文で闘う堺利彦の抵抗の精神
大逆事件以降、社会主義運動は「冬の時代」を迎える。その時期に、翻訳・編集会社「売文社」を興し、運動の資金稼ぎを行った堺利彦を描く一冊だ。幸徳秋水、大杉栄、荒畑寒村らキラ星に比べると履歴も地味だし、これまで論じられる機会の少なかったが堺利彦だろう。本書は初の堺についての本格的な評伝であり、著者・黒岩比佐子さんの遺作でもある。
若き日の堺は無頼放蕩の繰り返しだ。遊ぶために「文」を書く。しかし万朝報に入社し社会主義へと目覚めていく。大逆事件では連座を免れるが、仲間たちの死刑執行後、その遺体を引き取るのは堺だった……。
冬の時代に堺は売文社を立ち -
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大逆事件によって盟友の幸徳秋水ら同志12人を殺害された悲しみと怒りのなかで、「売文社」という人を喰った名前の出版プロダクション会社を設立し、同志たちを食わせ、「冬の時代」の社会主義運動をささえた堺利彦の人間性と才能、ユニークな闘い方に新鮮な光をあててみせた力作、労作である。
1910年の大逆事件で秋水を失い、1923年の関東大震災で大杉栄を失った堺自身、つねに官憲のターゲットになっており、いつ暗殺されてもおかしくなかった。天寿をまっとうできたのは、ほんの偶然にすぎない。著者はそのことについて、冒頭でこう述べている。
「私は、あえて『幸運にも』といいたい。”ドラマチックな死”ではなかったために、