黒岩比佐子のレビュー一覧

  • パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

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     面白いのになかなか読み進まなかった。なぜかというと、資料的な記述が詳細に記されていて、いちいちそっちに目が入ったせいだろう。作家ら登場人物それぞれに本名が添えられていたりと、著者の真摯な姿勢が感じられた。
     内容も興味深いもの。これまであま知られていなかった歴史の断面が詳述されている。大逆事件後の苦境にありながら、ユーモアを欠かさない堺利彦の精神のしなやかな強靭さを興味深く読んだ。
     この時代の歴史をみる資料として貴重な一冊である。

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    2011年06月14日
  • 明治のお嬢さま

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    私は明治時代に生まれなくて、本当に良かった。
    自由な恋愛も許されず、旦那は妾を持ったり娼妓と遊び歩いても当然なのに、女の不倫は姦通罪で逮捕されるとか、ありえない程の男尊女卑。
    でも、女が人として扱われるようになったのなんて、人類の歴史の中でもほんの最近のこと。。。まだ女が人間扱いされていない地域だってたくさんある。
    そんな世界では、到底生きていける気はしないな。

    この本で、一番驚いたのが、妾を蓄える、という意味の「畜妾」という言葉・・・。ちくしょう、と読むそうです。
    同じ家の中に、妻と妾が同居!とか、女中として雇っておいて主人が手を出す(拒む権利ないんだよね・・・?)とか、お給料を払って妾に

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    2011年06月10日
  • 明治のお嬢さま

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    初黒岩比佐子作品。読みやすい。膨大な資料を当たっているにもかかわらず、非常によく整理されている。フェミ目線が入ると、もっとどぎついものになるのだろうが、その辺りのさじ加減が絶妙で、読みながらにたにたしてしまった。

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    2011年05月24日
  • パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

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    これは労作だ。ずっしり重い。書き上げて間もなく亡くなられた著者が自分と同年代の方と知り、なんとも言えない気持ちになった。執筆途中で膵臓ガンが発見され(すでに転移もあったという)それでも「きっと乗り越えられると信じている」と「あとがき」は結ばれている。胸が痛い。

    幸徳秋水や大杉栄と比べて「地味」な印象の堺利彦の足跡を、あまり知られてこなかった売文社の活動を中心にたどったもの。丹念に一次資料にあたっている著者の誠実で情熱的な姿勢がひしひしと伝わってくる。

    調べていく中で、堺利彦の人間的な魅力に惹かれ、それを多くのひとに知ってほしいと願った著者の気持ちがよくわかった。「冬の時代」を、あたたかい心

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    2011年11月25日
  • 明治のお嬢さま

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    華族・皇族を中心としたお嬢様の実態を描いていく。
    実際のお嬢様の日記などが出てきたりして、本人たちがどのように考えていたのかも描かれている。

    おもに、結婚の道具として育てられ、そのように生きるお嬢様たち。果たして幸せだったのだろうか。
    妾腹にたいする認識が今と違うのはだいぶ面白かった。しかし、妾腹でも本妻の子として育てられ、そのあとを継ぐことが可能なのはよいのだけれど、妾のほうは、生涯めかけのまま、自身の生んだ子に蔑まれなければならないのはつらい。。

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    2011年02月04日
  • 編集者国木田独歩の時代

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    一般に国木田独歩は「武蔵野」などの自然主義文学を代表する文豪だと、けっこう乱暴な紹介をされている。
    けれど、この本に書かれている独歩は小説家というよりも編集者として、またとても好感のもてる人物として描かれている。
    国語の便覧などでは書かれることのない、素の独歩に近づく一冊。

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    2010年07月05日
  • 明治のお嬢さま

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    維新後の華族(旧宮家・公家・大名家)のお嬢様について書かれた本

    正真正銘の純お嬢様は、日常生活・恋愛・結婚
    身につけて置かねばならぬ嗜みの多さ等々
    何から何まで大変としか言いようがない!
    さぞや不自由だったと思われる。
    仮に自分が山ほどの富と名誉と引き換えにお嬢様生活をしろ、と
    言われても断る。人生楽しくなさそうだし。

    けど…このお嬢様たちはきっとそんなことは当たり前で
    つまるとかつまらないとか、自由とか不自由とか
    考えたことなかったんだろうな。
    本物は幼いころから「ノーブレス・オブリージュ」の精神が
    躾けられていて、そのように在ることは当然と思っているらしいので。

    あと今でもこういう純

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    2010年02月10日
  • 歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史

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    ネタバレ

    食べることが好きです。

    食材が調理によって姿を変える――千切り、短冊、乱切り、千切る、そぎ切り、ぶつ切り、サイコロ、三枚おろし等々の下ごしらえ。そしてこれらを、焼く・炒める・揚げる・蒸す・煮る等の加熱を施す。あるいは生食も。たった一つの食材でもカットと調理の組み合わせて数え切れないほどにその姿を変化させ、さらに添え物との組み合わせを考えれば無数のバリエーションが存在することになります。

    また食材や調理法には、地方独特のものがあったり、その独自性も風土であったり天候であったり文化であったり、はたまたま歴史的な理由や由来があったりするわけです。

    そう、料理って素敵なのです。これを舌で味わい、

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    2022年11月10日
  • 歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史

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    黒船来航から日露戦争までに活躍した人物に焦点あてながら、食に関するエピソードを交えて書かれてる本。金カムにもほんのちょこっと関係してくるあたりだし、日本史勉強しなおさないとなぁ。
    それにしても出てくる人たちみんな好感持てなさすぎる笑 金カム見習って?

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    2021年09月12日
  • 歴史のかげに美食あり 日本饗宴外交史

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    本書と出会うまでは、外交時の食事について考えたことがなかった。歴史を学ぶ際、出来事や人物、経緯等ばかりに注目してしまい、どのような食事で外国人をもてなしたのか、まったく思いもつかなかった。本書にもあるように、黒船のペリー氏にとっては、日本の料理は薄味でボリュームに欠け、さぞつまらなかったことであろう。しかしそんな外国の方々へ気に入ってもらえるよう、懸命に知恵をこらして珍味を用意する先人の姿を想像すると、可愛く思えて仕方がない。

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    2020年04月08日
  • パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

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     堺利彦の「売文社」時代に焦点を絞った評伝。社会主義史や大正デモクラシー史では、大逆事件後の「冬の時代」のカムフラージュ稼業として軽視されがちな「売文社」を、編集プロダクションや翻訳エージェントの先駆として高く評価している。「万朝報」「平民社」時代や大逆事件にも紙幅を割いているが、社会主義者・運動家としての姿よりも、文人・編集者としての姿に重きを置いている。

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    2014年10月04日
  • 明治のお嬢さま

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    鹿鳴館で踊った母をもつセレブの令嬢たち。社会の矛盾に悩み、「良妻賢母」という理想に縛られながら、美を求めてお嬢さまたちは涙ぐましい努力をする。女性誌や新聞記事から明治のお嬢さまの本当の姿を明らかにする。

    今では噴飯ものな驚くべき社会でした、明治。
    えらく窮屈な時代ですが、いつの女性も美しくあろうとするのは変わらないのですね。

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    2012年11月30日
  • 明治のお嬢さま

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    家系の存続と家産の継続のために妾をもつという日本の風習は、諸外国との不平等条約改正のための文明国入りを目的に撤廃を目指したのであって、決して女性の人権を考えてのためではなかったのである。あくまで国益が優先されたのである。

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    2011年11月08日
  • 編集者国木田独歩の時代

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    国木田独歩が終生の仕事と考えていたのは、出版事業であったのだ。しかしながら、彼の編集者としての仕事は世の人々からは評価されずに忘れられてしまい、生活費を稼ぐために編集者として多忙のなか創作した小説はなかなか売れずに貧乏生活が続き、死の少し前に人気作家に押し上げられるとは皮肉なことであった。

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    2011年10月08日
  • パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

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    とっかかりは少々時間がかかったが、中盤以降は一気に読めた。どのエピソードもおもしろく間然するところがないが、欲を言えば著者あとがきで「大幅に削った」というその部分までノーカットで見てみたかったところ。

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    2011年09月08日
  • 『食道楽』の人 村井弦斎

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     かつて、朝日新聞の書評で目にして、ぶったまげた。
     すげーものをお書きになったんですね。
     正直、アカデミックで、読み物として面白いかといわれたら、わたしには手に余る。だけど、彼女が、面白いテーマに出会い、それを必死においかけておいかけまくって、ほくそえみつつ、筆をおこしている、そゆう物書きとしての至福みたいなものが、ちゃんと見えて、くそうらやましい。

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    2011年02月16日
  • 明治のお嬢さま

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    セレブと呼ばれる人たちに興味を持つ一般人とか、オシャレや美を追求する気持ちとか、今も変わらないところはあるんだなあ、と。桁違いな生活状況やあまりにも自分の意思が無視されている(そもそも意思を通そうという発想さえなかったんだろうな)な人生にもビックリだけど。

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    2010年03月27日
  • 明治のお嬢さま

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    両国には震災記念館?っていうのがあって以前は関東大震災の写真がたくさんあったので九条武子さんが とってもきれいな人だということは知っていたのですがそれに 九州に 柳原白蓮のだんなが建てた 建物があり 若者と駆け落ちしたのも 知っていたのですが二人がものすごく かわいそうだった というのがうわーーーん でした今の方が ぜってー いいって。ごろごろしながら キャラメルコーンの幸せ。

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    2011年09月20日
  • 明治のお嬢さま

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    「良妻賢母」たることを求められ、美貌を磨いて玉の輿に乗る事が最大の目的だった明治のお嬢様。明治のお嬢様に自由は無く、結婚は家格で決められ美しく淑やかであることを求められていたようでその生活はなかなか大変だったようだ。使用人を何十人と雇って、家族と過ごすのも少なくひたすら花嫁修業に励んで、冷えたゴハンを食べる。世間の噂になって傷物になったら大変だから徹底的に世間から隔離された籠の鳥。お嬢様も楽じゃないなあ…ああ…それに比べてホント庶民って気楽だ!

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    2011年09月17日
  • 明治のお嬢さま

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    黒岩さんらしい丁寧な仕事。
    お嬢さま(セレブ)に特別な関心がないから斜め読み。
    明治の上流階級に暮らす女性は行動も言動もその存在すら軽んじられていて不自由極まりない。
    妻妾同居も違和感なく畜妾率(すごい言葉!)70%だったなどのレポートには驚きを禁じえない。

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    2009年10月07日