黒岩比佐子のレビュー一覧
-
面白いのになかなか読み進まなかった。なぜかというと、資料的な記述が詳細に記されていて、いちいちそっちに目が入ったせいだろう。作家ら登場人物それぞれに本名が添えられていたりと、著者の真摯な姿勢が感じられた。
内容も興味深いもの。これまであま知られていなかった歴史の断面が詳述されている。大逆事件後の...続きを読むPosted by ブクログ -
初黒岩比佐子作品。読みやすい。膨大な資料を当たっているにもかかわらず、非常によく整理されている。フェミ目線が入ると、もっとどぎついものになるのだろうが、その辺りのさじ加減が絶妙で、読みながらにたにたしてしまった。Posted by ブクログ
-
これは労作だ。ずっしり重い。書き上げて間もなく亡くなられた著者が自分と同年代の方と知り、なんとも言えない気持ちになった。執筆途中で膵臓ガンが発見され(すでに転移もあったという)それでも「きっと乗り越えられると信じている」と「あとがき」は結ばれている。胸が痛い。
幸徳秋水や大杉栄と比べて「地味」な印...続きを読むPosted by ブクログ -
一般に国木田独歩は「武蔵野」などの自然主義文学を代表する文豪だと、けっこう乱暴な紹介をされている。
けれど、この本に書かれている独歩は小説家というよりも編集者として、またとても好感のもてる人物として描かれている。
国語の便覧などでは書かれることのない、素の独歩に近づく一冊。Posted by ブクログ -
食べることが好きです。
食材が調理によって姿を変える――千切り、短冊、乱切り、千切る、そぎ切り、ぶつ切り、サイコロ、三枚おろし等々の下ごしらえ。そしてこれらを、焼く・炒める・揚げる・蒸す・煮る等の加熱を施す。あるいは生食も。たった一つの食材でもカットと調理の組み合わせて数え切れないほどにその姿を変...続きを読むPosted by ブクログ -
黒船来航から日露戦争までに活躍した人物に焦点あてながら、食に関するエピソードを交えて書かれてる本。金カムにもほんのちょこっと関係してくるあたりだし、日本史勉強しなおさないとなぁ。
それにしても出てくる人たちみんな好感持てなさすぎる笑 金カム見習って?Posted by ブクログ -
本書と出会うまでは、外交時の食事について考えたことがなかった。歴史を学ぶ際、出来事や人物、経緯等ばかりに注目してしまい、どのような食事で外国人をもてなしたのか、まったく思いもつかなかった。本書にもあるように、黒船のペリー氏にとっては、日本の料理は薄味でボリュームに欠け、さぞつまらなかったことであろう...続きを読むPosted by ブクログ
-
堺利彦の「売文社」時代に焦点を絞った評伝。社会主義史や大正デモクラシー史では、大逆事件後の「冬の時代」のカムフラージュ稼業として軽視されがちな「売文社」を、編集プロダクションや翻訳エージェントの先駆として高く評価している。「万朝報」「平民社」時代や大逆事件にも紙幅を割いているが、社会主義者・運動家...続きを読むPosted by ブクログ
-
家系の存続と家産の継続のために妾をもつという日本の風習は、諸外国との不平等条約改正のための文明国入りを目的に撤廃を目指したのであって、決して女性の人権を考えてのためではなかったのである。あくまで国益が優先されたのである。Posted by ブクログ
-
国木田独歩が終生の仕事と考えていたのは、出版事業であったのだ。しかしながら、彼の編集者としての仕事は世の人々からは評価されずに忘れられてしまい、生活費を稼ぐために編集者として多忙のなか創作した小説はなかなか売れずに貧乏生活が続き、死の少し前に人気作家に押し上げられるとは皮肉なことであった。Posted by ブクログ
-
とっかかりは少々時間がかかったが、中盤以降は一気に読めた。どのエピソードもおもしろく間然するところがないが、欲を言えば著者あとがきで「大幅に削った」というその部分までノーカットで見てみたかったところ。Posted by ブクログ
-
かつて、朝日新聞の書評で目にして、ぶったまげた。
すげーものをお書きになったんですね。
正直、アカデミックで、読み物として面白いかといわれたら、わたしには手に余る。だけど、彼女が、面白いテーマに出会い、それを必死においかけておいかけまくって、ほくそえみつつ、筆をおこしている、そゆう物書きとして...続きを読むPosted by ブクログ -
セレブと呼ばれる人たちに興味を持つ一般人とか、オシャレや美を追求する気持ちとか、今も変わらないところはあるんだなあ、と。桁違いな生活状況やあまりにも自分の意思が無視されている(そもそも意思を通そうという発想さえなかったんだろうな)な人生にもビックリだけど。Posted by ブクログ
-
黒岩さんらしい丁寧な仕事。
お嬢さま(セレブ)に特別な関心がないから斜め読み。
明治の上流階級に暮らす女性は行動も言動もその存在すら軽んじられていて不自由極まりない。
妻妾同居も違和感なく畜妾率(すごい言葉!)70%だったなどのレポートには驚きを禁じえない。Posted by ブクログ