アンドレアス・グルーバーのレビュー一覧
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ネタバレ「夏を殺す少女」と同じ作者だったので。
舞台はプラハ、絵画の焼失にウィーンから保険調査員のホガートが向かう。
前任の調査員が行方不明となってしまったためだ。
前任者の立ち寄り先の一つ、
「プラハの王」と呼ばれる密入国を取り仕切る犯罪者の家を訪ねて、
痛い目に遭うホガートだったが、女探偵に出会い、連続殺人事件にも関わることに。
古い映画に、チェスの棋譜に、解離性同一性障害とのせてくるなら、
もうちょっと長くても良かったのでは。
というのも、もう少し長く楽しみたかったのかも。
途中で登場した、ユダヤ人市庁舎の時計塔が興味深かったので、
うっかり調べてしまった。
素晴らしい。
プラハ、行ってみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「夏を殺す少女」と同じ作者だったので。
冒頭から女性が次々と残虐な殺され方をして、
かなり読み進めるのが辛い。
その中の一人は女性刑事ザビーネの母親で、
誘拐され、インクで溺死させられ、大聖堂で発見された。
誘拐犯は離婚した父親に電話をし、
なぜ誘拐されたのかという謎を解けば解放すると言っていた。
その説明を信じない警察は、父親を殺人の容疑者として拘束する。
捜査に現われた連邦刑事局の誘拐捜査官スナイデルは、
全てを三言で説明しろと言い、マリファナを吸い、
群発頭痛持ちで、緩和のために鍼を打ち、
特定の本屋から本を万引きせずにはいられない強迫症の持ち主。
誰とも協力せずに捜査を行うが、
ザビーネが同じように誘拐され殺された女性たちの共通点に気づいたことから、
捜査を手伝わせることにする。
さらに、もう一人の主人公とも言って良いだろう、
セラピストの女性の存在がやっかいだ。
この女性は、警察の司法心理学者だったが、
連続殺人事件を止められなかったスケープゴートとして非難され、
殺人犯に恋人の子供を殺され、仕事も恋人も失う過去を持つ。
そのため、夫は検察官だというのに、
切断された指が届けられても、夫にも警察にも知らせようとはしない。
その点がどうもひっかかるというか、納得いかないし、
なりより、その過去の連続殺人事件が気になってしょうがない。
翻訳ものにはありがちだけど、
シリーズ二作目から翻訳されたのか?と疑問が、
頭を離れなかった。
「もじゃもじゃペーター」というほんのりどこかで聞いたことのある童謡が
モチーフになっていること、
殺人の順番が幻の初版本に従っていること、
ザビーネが万引きしたと思わせて買った本をスナイデルにプレゼントした場面が
面白かった。
それと、セラピストの愛犬が無事でよかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「夏を殺す少女」の続編と知って。
パトリックを殺すとは!
しかもかなりあっさり、と。
前作から登場して、弁護士エヴェリーンを常に助け、
今回は一緒に暮らし始めたと言うのに。
とても残念だった。
前回の犯人を弁護し無実を勝ち取ったエヴェリーンは、
刑事弁護士として独立していた。
今回、仕事を依頼してきた外科医の男は、
婦女暴行の嫌疑をかけられたことがあり、
その女性が遺体で発見されたことから、疑われていると言う。
未婚、子供なし、プレイボーイといかにも怪しい。
なぜ依頼を引き受けたのか全く理解できない。
一方、プラスキー警部の方は、
娘を殺された母親が、同時に行方不明になったもう一人の娘を探すのに、
巻き込まれてしまう。
DV夫に薬を盛って隠されていたお金を持って逃げ出し、
手がかりを得るためには大金を渡すし、
タトゥーを入れるし、
娼婦のふりもすると行動力が爆発している母親。
いくら亡き妻に似ているからと言って、
なんどもその母親にだまされてしまうのか。
こちらも謎だ。
自らの体にサソリのタトゥーを入れれば病が治る、というトンデモ信仰で
そのタトゥーのインクとして、
さそり座の娘を殺して血を抜き取るという猟奇的殺人。
その設定自体は面白かったし、
何と言っても母親の暴走列車ぶりが面白かった。
ただ、返す返すもパトリックが殺されてしまったのが残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ次々と場面が変わり、時間の流れも前後するので、
話についていけるのか心配なぐらいだったが、
場面の長さが短めで、
主人公の刑事と弁護士の決断と行動の速さが
心地よくそのスピード感を楽しめた。
二人の主人公、リニ―弁護士とヴァルター刑事がそれぞれの事情を抱えながら、
それぞれの事件を二方向からつき進んでいくのは面白かった。
サイドストーリーの恋愛話もよかったし。
贅沢を言わせてもらえば、
もうちょっとくどく長く作り込んでもらいたかったかな。
それと、ヴァルター刑事が救急車で運ばれそうになりながら、
リニ―弁護士に恋愛のアドヴァイスをするシーンはもうちょっとかっこいい台詞にしてあげてほしかった。 -
Posted by ブクログ
[怨根の行く末]元小児科医がマンホールに落下して死亡。市会議員が運転ミスで死亡。そして、精神を患った少女が自らの体に薬物と酒を投与して死亡。一見無関係に見える事件をそれぞれに追っていた弁護士のエヴァリーンと刑事のヴァルターは、それぞれに事件の裏に隠された更なる闇に気付き始めるのであるが......。完成度の高さからドイツやオーストリアで高い評価を受けたミステリー。著者は、オーストリアミステリーの一翼を担うアンドレアス・グルーバー。訳者は、ドイツ文学の翻訳家である酒寄進一。
純粋に、純粋に面白かった。割と細かい文字で400ページ超を数える作品なんですが、そんなことがまったく気にならないほど本書の世界に没頭させてもらいました。とにかく謎を明かすテンポと視覚的に訴えてくる描写の鋭さにやられっぱなし。オーストリアミステリーも本著者の作品も初めてでしたが、これは棚からぼた餅的にイイ本に巡り会うことができました。
ストーリーを引っ張っていく主人公のエヴァリーンとヴァルターのキャラクター設定もこれまたお見事。特にヴァルター刑事の「足で稼ぐ」刑事っぷりには読者として応援を送りたくなります。登場人物に意識を重ね合わせながら謎解きを楽しみ、それに加えてその流れを視覚的に堪能できる……。ミステリーを読むのは結構好きなんですが、これはその中でも幅広い方にオススメできます。
〜「なにか問題が起こるというんですか?」
「わからない。しかし今回の事件では問題ばかり起こっているからな」〜
映像化希望☆5つ -
Posted by ブクログ
ネタバレ「夏を殺す少女」で鮮烈な日本デビューを飾った作者による傑作ミステリ。
行方不明になった保険会社の女性調査員を探す依頼を受けたホガートがプラハで連続殺人事件の調査をしている女性私立探偵と知り合い、その事件にも巻き込まれて行く。
先に挙げた「夏を殺す少女」と比較すると、ジックリと物語が展開するイメージだが、まどろっこしさなどはなく、謎が謎を呼ぶ展開は先を読む手を休ませない。
「夏を〜」と共通する点といえば、主人公が身体的にハンディとなるものを持っている点や主人公とともに活躍する女性にトラウマとなるような過去がある点、二人が謎を解決するためには手段を選ばない行動をとる点が挙げられる。これらの要素は決して褒められないものもあるが、それによって物語がよりスリリングに展開して行くという点で読者をより惹きつける効果があるように思う。
本作は三部作として作られているようなので、次作の刊行が待ち遠しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレオーストリアの作家アンドレアス・グルーバーの本邦デビュー作。一気読み必至の佳作。
なんでもない事故のために窮地に陥っていた叔父を助けるために、その案件に関わっていたエヴェリーンは、同じようになんでもない事故だと思われていた案件にも同じ少女の姿が映っている映像があることに気づく。
一方、精神病院に入院歴のある子供が自殺している案件で不審な注射の後を見つけ、殺人ではないかと疑いを持ったヴァルターは、その犯人の後を追うように捜査を始める。
一見、なんのつながりもない事故、あるいは自殺にまつわる、二人の視点で物語が展開する。いずれも心に傷を持ち、一方では真実のために脇目も振らない活躍をする。エヴェリーンなどは弁護士のくせに、家宅侵入と窃盗まで行って証拠を集めようとする。褒められたものではないが、その探究心と行動力には脱帽させられる。
複雑に絡み合った物語がやがてひとつの大きな流れに収斂していき、そこから先を予想できない展開に入っていくあたり、ドイツ語圏で数々の賞を取っているという作者の力量が垣間見える。その作者のスピーディ且つ読者を引きつけてやまない物語を、これまた非常に読みやすく、ページを繰る手を止めさせないような臨場感溢れる筆致で訳された訳者の仕事もすばらしい。同じ作者・訳者が手がけた「黒のクイーン」も是非読んでみたいところだ。 -
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ウィーンの若き弁護士エヴェリンは地位も名誉もある男たちの事故について調べていた
彼らの事故には必ず同じ少女の姿が目撃されていた
一方、ライプツィヒの刑事ヴァルターは病院で自殺として処理された少女の不審死について調べていた
物語はこのオーストリアとドイツの2人の視点で進み、やがて繋がっていく
事件の恐るべき真の姿は何となく想像はつくが、ラストまで一気読みだった
また2人の主人公が魅力的に描かれており人間ドラマとしても楽しめる…
ちょっとした主人公のラブロマンスがあるのはこの作家さんの特徴なのかしら…(笑)
また作品のなかで、エヴェリンがズュルト島に渡る際、レンタカーごと列車に乗り込む場面があり、思わず色々調べてしまった! -
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プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失した…ところがその絵は偽物
本物の絵画を探すためプラハに調査員を派遣するが、行方不明になる
本物の絵画を探すため、また行方不明になった調査員を探すため、保険調査専門探偵のホガートは、プラハに飛ぶ…
しかしそこで彼は、猟奇的連続殺人事件に巻き込まれることになる…
プラハを舞台にしたミステリーは珍しいと思い手に取った
プラハはかつてユダヤ人のゲットーだった場所として知られ、作品にもそれが関わってくる
もちろんプラハには行ったこともないが…登場人物たちと一緒に巻頭にある地図を見ながらプラハの街を行ったり来たりしている気分だった…(笑)
登場人物がなかなか個性的で、先も気になり、物語に入り込めた
肝心な本物の絵画の方はちょっと拍子抜けな感じだったけど、それでも連続殺人事件の方はおもしろかった…(笑) -
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オーストリアの作家アンドレアス・グルーバーの長篇ミステリ作品『刺青の殺人者(原題:Racheherbst)』を読みました。
アンドレアス・グルーバーの作品は、4年前に読んだ『月の夜は暗く』以来なので久し振りですね。
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全身の骨が折られ、血が抜かれた若い女性の遺体が、ライプツィヒの貯水池で見つかった。
娘の遺体を確認した母ミカエラは、犯人を捜し出し、姉と共に家出したままの妹娘を探し出そうとする。
事件を担当する上級警部ヴァルターは、暴走するミカエラに手を焼きつつ調べを進める。
一方ウィーンの弁護士エヴァリーンは、女性殺害の嫌疑をかけられた医師の弁護依頼を受けていた。
『夏を殺す少女』続編。
ドイツで爆発的な人気を博した話題作。
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2015年(平成27年)に刊行された作品……ライプツィヒ刑事警察の警部、喘息持ちでヘビースモーカーのヴァルター・プラスキーとウィーンの弁護士エヴァリーン(リニー)・マイヤースが活躍するシリーズの第2作、6年前に読んだ『夏を殺す少女』の続篇です。
その若い女性は全身の骨を折られ、血を抜かれていた――『夏を殺す少女』の刑事&女性弁護士が再び猟奇連続殺人に挑む! 全身の骨が折られ、血が抜かれた若い女性ナターリエ・スコバの遺体が、ライプツィヒの貯水池で見つかった……娘の遺体の確認にベルリンからやってきた母ミカエラは、自分ひとりでもナターリエが殺された理由をつきとめ、ナターリエと一緒に家出したまま行方不明のもうひとりの娘ダーナを捜し出そうと堅く心に決めていた、、、
事件を担当する上級警部ヴァルター・プラスキーは、ともすれば暴走しようとするミカエラに手を焼きつつ調べを進める……一方ウィーンの弁護士エヴェリーン・マイヤースは、女性殺害の嫌疑をかけられた医師ローベルト・コンスタンティンからの弁護依頼を受けていた。
『夏を殺す少女』続編……ドイツで爆発的な人気を博した話題作登場。
ドイツ・ライプツィで娘を殺害された母親のミカエラは、警察に任せるだけでなく、自力で犯人を見つけ出し、そして行方不明になっているもう一人の娘を捜そうと決意……事件を担当する上級警部ヴァルターは、猪突猛進で突き進み、ときに暴走するミカエラの行動に手を焼きながらも、ミカエラを見放すことができず、ミカエラに裏切られながらも、個人的に捜査を進る、、、
一方、オーストリア・ウィーンでは敏腕弁護士のエヴェリーンが、女性殺害の容疑をかけられたコンスタンティン医師の弁護依頼を受けるが、コンスタンティンは真実を話さず、信頼できないという印象を受ける……一見、無関係に思えた2つの事件は、やがて意外な共通点、特に「サソリのタトゥー」を介して繋がりを見せていく! 面白かったですねー 被害者や加害者、そして彼らを取り巻く人々の心理を深く掘り下げながら、複雑に絡み合った真相へと向かっていく展開が愉しめました。
サイコスリラーとしての緊迫感と、深く描かれた人間ドラマが融合した、読み応えのあるミステリ作品でした……無鉄砲なんだけど、娘を殺した犯人を突き止めたい! 行方不明の娘を助けたい! という純粋な目的のために突っ走るミカエラに感情移入しながら読めました、、、
本シリーズ、ぜひ、続篇を描いてほしいですね……待ってまーす! -
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オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『月の夜は暗く(原題:Todesfrist)』を読みました。
ここのところドイツミステリが続いていましたが、今回は同じドイツ語圏のオーストリアミステリです、、、
「アンドレアス・グルーバー」の作品は、約2年振りで3作品目ですね。
-----story-------------
「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官「ザビーネ」は、父から知らせを受ける。
母親は見つかった。
大聖堂で、パイプオルガンの脚にくくりつけられて。
遺体の脇にはインクの缶。口にはホース、その先には漏斗が。
処刑か、なにかの見立てか。
「ザビーネ」は連邦刑事局の腕利き変人分析官と共に犯人を追う。
そして浮かび上がったのは、別々の都市で奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。
『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。
訳者あとがき=「酒寄進一」
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2012年(平成24年)に刊行された、ミュンヘンの女性刑事「ザビーネ・ネーメス」とドイツ連邦刑事局の事件分析官「マールテン・S・スナイデル」を主人公としたシリーズの第1作です。
■プロローグ
■第一部 二ヶ月後 五月二十二日日曜日から五月二十三日日曜日
■第二部 五月二十四日火曜日
■第三部 五月二十五日水曜日
■エピローグ
■訳者あとがき
母が誘拐され殺された… 遺体は大聖堂のパイプオルガンの演奏台にくくりつけられ、脇にはインクのバケツ、口にはホース、その先には漏斗が、、、
容疑者にされた父の疑いを晴らすべく、ミュンヘン市警の捜査官「ザビーネ・ネーメス」は腕利き変人分析官「マールテン・S・スナイデル」と犯人を追う… 浮かんできたのは、別々の都市の聖堂で、同様に奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。
ドイツで有名な絵本『もじゃもじゃペーター』を見立てた猟奇殺人事件(凄惨で残虐な殺害、虐待シーンは、想像力オフで読む必要あり)を企てるサイコパスを探し当てて、追い詰めるのは、「マールテン・S・スナイデル」と「ザビーネ・ネーメス」の凸凹コンビ… 偏屈で高圧的、マリファナを嗜み、本の万引きがライフワークという変人「マールテン・S・スナイデル」と、がむしゃらで事件解決のためなら規則も無視して突き進む「ザビーネ・ネーメス」のコンビが絶妙ですねー
「アンドレアス・グルーバー」は相変わらず巧い… 序盤から物語にぐいぐい惹きつけられて、ラストに向けての怒涛の展開は読み応え十分、、、
掛け値なしに愉しめるサスペンス作品でしたねー この凸凹コンビを主人公とした物語は、本国では続篇が刊行されているようですが、日本語に翻訳されていないようなんですよね… 翻訳される日を心待ちにしています。 -
Posted by ブクログ
オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『黒のクイーン(原題:Schwarze Dame)』を読みました。
『夏を殺す少女』に続き、「アンドレアス・グルーバー」作品です。
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保険調査専門探偵「ホガート」は顧客からある依頼を受けた。
プラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員は行方不明になった。
調査員の安否と保険詐欺のことを調べて欲しいというのだ。
プラハに飛んだ「ホガート」は、そこで猟奇連続殺人事件に巻きこまれる。
首と手を切りおとしビロードにくるんだ死体の謎。
『夏を殺す少女』で衝撃のデビューを飾った、オーストリア・ミステリの名手が仕掛ける巧妙な罠とは?
訳者あとがき=「酒寄進一」
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2007年(平成19年)に刊行された作品… 翻訳されたのは『夏を殺す少女』の方が先ですが、実際に刊行されたのは本作品の方が4年早いようですね、、、
『夏を殺す少女』は、二人の主人公の視点からの描き方、視点の切り替えタイミングが絶妙だったし、スピード感もあって、素晴らしい作品だったので、それに比較すると物足りなさがあるのは事実ですが… 事件を解決に導こうとする男女二人の探偵の魅力は劣っていなかったし、複数犯による猟奇的な殺人事件の真相も意外で、ミステリ作品を手掛けることになった初期(もしかしたら初?)の作品としては評価できるんじゃないかと思いましたね。
ウィーンに住むフリーランスの保険調査専門探偵「ペーター・ホガート」は、大手国際保険会社支社長「ヘルムート・ラスト」からある依頼を受けた… ウィーンの美術館がプラハの展覧会に貸し出した絵画が焼失、調査に派遣した絵画専門の調査員で「ラスト」の姪「アレクサンドラ・シェリング」は、焼失した絵画はすり替えられた偽物だったとの報告を残し行方不明になった、、、
その「シェリング」を見つけだしてほしいというのだ… プラハに飛んだ「ホガート」は、ひとりの女探偵「イヴォナ・マルコヴィチ」に出会う、、、
彼女が調査しているプラハの連続殺人事件(ビロード殺人事件)の話を聞くうち、「ホガート」は被害者のうちの一人が「シェリング」ではないかと疑い、「イヴォナ」や彼女の弟「オンドレイ」、その相棒「イジー」等と事件の真相を追う… 「ホガート」は、遺体に残された手掛かり等から、二人の犯人がプラハの街をチェスボードに見立ててチェスのプレイを再現しながら犯行を続けていると推理し、伝説的なチェスプレイヤー「ヒエロニムス・ヴェセリー」の力を借りながら、次に狙われる人を推理していく。
そして、ビロード殺人事件の最初に被害者「ハナ・ザイツォーヴァ」の周辺を洗い直すうちに、「ザイツォーヴァ家」の忌まわしい事実を知り、「ザイツォーヴァ家」の次男「ミーハ・ザイッチ」が事件に関わっているにではないかと疑いをもつ… もう一人の容疑者として魚市場の鮮魚店店主「アントニン・ロメグ」が浮上、犯行は「ミーハ」と「ロメグ」によるものなのか!?絵画のすり替え事件は解決できるのか!?
終盤、「ホガート」と「イヴォナ」が犯人を追い詰め、人質をとった犯人と対峙… そして、「ホガート」と「イヴォナ」が正しいと信じる行動に出て、事件を解決に導く展開は一気読みでしたね、、、
「ホガート」を主人公とした物語は、本国では続篇が刊行されているようですが、日本語に翻訳されていないようなんですよね… 翻訳される日を心待ちにしています。
以下、主な登場人物です。
《ウィーン》
「ペーター・ホガート」
フリーランスの保険調査専門探偵
「ヘルムート・ラスト」
保険会社メディーン&ロイドのウィーン支社長
「コールシュミット」
保険会社メディーン&ロイドの外勤課課長
「ヴァルター・ゼードラック」
保険会社メディーン&ロイドの保安課課員
「アレクサンドラ・シェリング」
保険会社メディーン&ロイド専属の美術品の保険調査専門探偵
「クルト」
ホガートの弟
「エーファ」
ホガートのもと恋人
《プラハ》
「ウラディーミル・グレコ」
暗黒街のボス。別名"プラハの王"
「アンナ」
グレコの娘
「ディミトリ」
グレコのボディガード
「トマーシュ」
グレコのボディガード
「イヴォナ・マルコヴィチ」
私立探偵
「オンドレイ」
イヴォナの弟
「イジー」
オンドレイの相棒
「ヤロスラフ・ザイッチ」
ドイツ大使館の参事官
「ハナ・ザイツォーヴァ」
サイッチの妻。ビロード殺人事件の最初の被害者
「ロマン・コジツェ」
ザイッチの長男
「ミーハ・ザイッチ」
ザイッチの次男
「ヒエロニムス・ヴェセリー」
伝説的なチェスプレイヤー
「エヴジェン」
ヴェセリーの妻
「ヤン・プリーコパ」
国立美術館の展示品の監視員
「アントニン・ロメグ」
魚市場の鮮魚店店主
「ヤン・モラク」
殺人課の主任捜査官
「トマーシュ・ノヴァチェク」
殺人課の警部
「スヴァテク」
殺人課の刑事 -
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オーストリアの作家「アンドレアス・グルーバー」の長篇ミステリ作品『夏を殺す少女(原題:Rachesommer)』を読みました。
オーストリアの作家の作品は初めて読みましたね… この前まで読んでいたドイツミステリと同じドイツ語圏なのですが、この作品を読んだ限りではオーストリアミステリの方が好みかな。
-----story-------------
酔った元小児科医がマンホールにはまり死亡。
市議会議員がエアバッグの作動で運転をあやまり死亡。
一見無関係な事件の奥に潜むただならぬ気配に、弁護士「エヴェリーン」は次第に深入りしていく。
一方ライプツィヒ警察の刑事「ヴァルター」は、病院での少女の不審死を調べていた。
オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたりの軌跡が出会うとき、事件がその恐るべき真の姿を現し始める。
ドイツでセンセーションを巻き起こした、衝撃作登場。
訳者あとがき=「酒寄進一」
*第9位『IN★POCKET』2013文庫翻訳ミステリーベスト10/読者部門
*第17位(新人賞第4位)『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第20位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
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2011年(平成23年)に刊行された作品… 「アンドレアス・グルーバー」は、元々はホラーやSF作品を得意としていた作家のようですが、この作品のちょっと前くらいからミステリ作品も手掛けるようになったみたいです、、、
ふたつの国で起こったふたつの事件、それを追う二人の人物… 二人の視点で目まぐるしく場面が変わり、その変わり目に事件の鍵が巧く埋め込まれていて、どんどん先が読みたくなり、惹きつけられる展開と、魅力的な二人の主人公が印象的な作品、面白かったです。
ウィーンの弁護士「エヴァリーン(リニー)・マイヤース」は、少女時代に妹「ザンドラ」とともに誘拐・監禁され妹が命を失ったというトラウマを抱えていた… 彼女はマンホールに落ちて溺死した元小児科医「ルドルフ・キースリンガー」の事故の調査と、勤務先の弁護士事務所の共同経営者で先輩弁護士「ペーター・ホロベック」がマンションのベランダから墜落死した事故に奇妙な一致点を見出す、、、
さらに「エヴァリーン」は、勤務先の弁護士事務所の経営者「クラーガー」の息子で私立探偵の「パトリック」の協力を得て、真相を探るうち、山道の運転中にエアバッグの作動で運転を誤り死亡した「ハインツ・ブランゲ」の事故にも関連性を見出す。
ライプツィヒ刑事警察の刑事、喘息持ちでヘビースモーカーの「ヴァルター・プラスキー」は、妻の「カーリン」を病気で亡くし、娘の「ヤスミーン」を男手ひとつで育てている… 彼は入院中に自殺したと思われた少女「ナターシャ・ゾマー」の死に不信を抱き、捜査を進めるうちに同じ病院で入院していた少年「マルティン・ホルナー」が不審死していたことを知る、、、
さらに「ヴァルター」は、同じ境遇の少年「ゼバスティアン・ゼンメルシュレーガー」が別な病院で不審死したことや、同じ病院に入院していた少女「レーシャ・プロコポヴィチ」が命を狙われる場面に遭遇し、彼らにの過去に共通するオックセンツォル精神病院へ向かう… 「エヴェリーン」も豪華クルーズ船フリートベルク号の10年前のツアー客名簿等の手掛かりから、事件に共通して登場する謎の少女が事件の鍵を握ると推理し、少女が入院するオックセンツォル精神病院へ向かっていた。
入院している少女「リザ・グルジエフ」を護ろうとしている「ヴァルター」と、犯人として追う「エヴェリーン」の真逆の見解を持つ二人… オックセンツォル精神病院でふたつの軌跡はひとつとなり、別々と思われた事件が、ひとつの輪となって繋がっていく、、、
二人がお互いの情報を交換し、徐々に恐るべき事件の真相が明らかになってきますが、ここからの展開も一筋縄ではいかず、なかなか愉しめる展開でしたね… ここからエンディングまでは一気読みでした。
「ヴァルター」と「エヴェリーン」は、いずれも正しいと思う方向に向かい猪突猛進型で突き進むキャラで好印象でした、、、
読後に冷静に考えると、年寄りとか細い女性が、この犯行が実行できたのか… という面では、ちょっとご都合主義を感じる部分もありましたが、読んでいるときは全く気になりませんでしたね、面白かったー
以下、主な登場人物です。
「エヴァリーン(リニー)・マイヤース」
ウィーンの弁護士
「パトリック」
私立探偵
「クラーガー」
弁護士。エヴァリーンのボス
「ペーター・ホロベック」
弁護士。クラーガーの共同経営者
「エドワード・ホキンスン」
フリートベルク号の船主
「グレータ・ホキンスン」
エドワードの娘
「ルドルフ・キースリンガー」
引退した小児科医
「ハインツ・ブランゲ」
ミュンヘン市会議員
「パウル・シュモレ」
引退した船長
「アルフォンス・ボルテン」
元少年裁判官
「リザ・グルジエフ」
入院している少女
「マヌエル」
リザの弟。故人
「ジュビル・ヴォスカ」
リザの友だち
「ヴァルター・プラスキー」
ライプツィヒ刑事警察の刑事
「ヤスミーン」
ヴァルターの娘
「ホルスト・フックス」
ライプツィヒ刑事警察の課長
「ナターシャ・ゾマー」
病院で死んだ少女
「マルティン・ホルナー」
病院で死んだ少年
「ゼバスティアン・ゼンメルシュレーガー」
病院で死んだ少年
「レーシャ・プロコポヴィチ」
入院している少女
「ゾーニャ・ヴィルハルム」
ナターシャの心理療法士
「コーラー」
検察官。ゾーニャの元夫
「クラウス・ヴィンターエッガー」
ザクセン州刑事局の刑事
「ラース・ゴタイニク」
ザクセン州刑事局の刑事
「コンラート・フォベルスキー」
ブレーマーハーフェン病院の内科医長