高島俊男のレビュー一覧
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当たり前だが、日本語には、漢字はなかった。中国から文化が伝わり始めたころ、日本語の表記方法がなかったため、漢字が代用され、しばらくは漢字だけで日本語を表記した。カタカナ、ひらがなが発明された後も、知的水準の高い人々は、漢字のみで日本語を表記した(一部の例外として、本居宣長、紀貫之らがいる)。こういう状況により、いかに日本語が歪になったかを説明、解説するのが本書である。 本書の指摘する最も良い例は、「英語は、音(おん)が意味を表し、それを記述するのが文字である」、「日本語は、音のみでは意味がなく、文字が意味を表す」。つまり、日本語は漢字により、多くの概念を表してしまったため、一つの音が多くの意味
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日本人が「漢字」という大陸の(というか外国の)文字をどのように受容していったかというその変遷、つまり日本人の漢字との千年以上に渡る"付き合い方"がよく分かる本。漢字をなんとかして日本語に適用させようとしたかと思えば今度は漢字を徹底的に排除し「かな」やローマ字にしようとする…どうも日本人は甚だ極端であるらしい。なるほど、日本人が漢字をいかに受容していったかという歴史を通して、日本人のメンタリティもよく分かる。
また、それぞれの民族の言葉がその民族の思考様式と密接に結びついている、という指摘はまさにその通りだと思う。ある言葉がなければ、当然にその概念も存在しないのである。例えばこの部分はなんかも -
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著者は中国語学・中国文学の研究者。
日本語における漢字の問題を論じた本。
先日、田中克彦『漢字が日本語を滅ぼす』を読んだが、それを思い出す内容だった。
まず、中国語と日本語は言語として異質であるのに、その文字を日本に導入することには無理があったとする。
さらに、日本語は中国語より音が単純で、中国語では発音し分けていた音の区別がなくなってしまい、同音異義語が溢れることとなったこと。
時間軸に沿って展開する言語のリニアな構造を、漢字を導入した日本語は崩してしまい、いびつな言語にならざるを得なかったとも言っていた。
これは、田中さんの本にも見られた議論。
この辺りまでは、両者の見解は結構重なるよう -
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ネタバレ中国歴代王朝の殆どは盗賊による創業だ、
というユニークな視点から迫る中国王朝史。
漢の高祖劉邦から現中国共産革命の祖毛沢東までを
大盗賊だと宣うのだから痛快な書ではある。
先ず、著者は盗賊の発生する要件を
氏族社会と近代資本主義社会との中間段階にある農業社会とする。
農村の過剰人口が盗賊の発生母体だ。
農村地域に、働き場のない、あるいは働いても食えない人間が、不断に、また大量に発生する。彼らは流れ歩く閑民となり、盗賊となる。
中国には、大昔から20世紀の今日に至るまで、常に盗賊がいた。
その彼らが権力争いの表舞台へと勇躍登場しては歴史を作ってきたのだ。と。
彼らへの呼称は、単に「盗」といい