高島俊男のレビュー一覧
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「お言葉ですが…」は、1995年から2006年まで「週刊文春」に連載された人気エッセイ。連載回数はなんと538回! ところが、連載は2006年6月をもって打ち切られた。理由は不明。
そういうこともあってか、①~⑩巻は文藝春秋から刊行されたが、最後の1年分の⑪巻は別の版元・連合出版から刊行。この⑪巻は久しく文庫本になっていなかったが、2023年、改題されてちくま文庫に入った。全巻の通巻索引(60ページ)付き。全巻を制覇したい人にはvery useful。
本⑪巻には、ロベルトが再登場する。高島は、大学院生の頃、アルゼンチンからの留学生ロベルトに「論語」の個人レッスンをした。そして30年後に再会。 -
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中国にはコソ泥はいないらしい。いるのは群れをなして襲ってくる盗賊。
広大な中国の国土に、耕作に適した土地はそう広くはないのだそうだ。
だから、農村に人が余る。仕事のない人があふれる。
そうするとどうなるか。
気が弱い人たちは乞食になり(こちらも集団)、血の気の多いのは盗賊になる。
だから、いつの時代も中国には盗賊がどこにでもいたのだそうだ。
ちなみに盗賊は正義や悪とは無縁である。
国や地方のお金で武装しているのが官軍、民間の武装勢力が盗賊なんだって。
やってることは変わらないらしい。
だから盗賊から皇帝になった人もいる。
略奪する官軍より、金持ちから奪ったものをふるまってくれる盗賊の方が民衆 -
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目から鱗が落ちる
それも 何枚も
ときには
「あっ そうだったのだ!」
と つい声に出てしまう
高島俊男さんの
中国モノを手に取るたびに
つくづく思ってしまうことです
ずいぶん前に
「中国の大盗賊」(1989年発行版)
を 読んでいた記憶がかすかに残っていて
その時に
「あとがき」に(本書では)ずいぶん割愛しましたよ
ということが書かれてあったのを
すっかり失念していました
それで、今一度
この「完全版」を手にしたのですが
いゃあ これが
もう 面白く 興味深く
古代の中国の歴史上に登場する
有名盗賊たちを再確認するとともに
前書では すっかり骨抜きになってしまっていた
第五章「これ -
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本書を読むにあたってある程度の中国語の知識または好奇心が必要となっているから、そうでない方には読みづらい本かもしれない(そういう人はまず本書を手に取らないか)。ある程度どのような読者を想定して書かれたものかは想像できる。白話文が読めなくても、漢文の知識がある程度あれば(高校生の時に習ったはず)読み進めることができると思います。本書の著者は言葉そのものへの好奇心が強く、言葉を道具としてのみ使う人たち(それが悪いとは思わないけど)とはまた違うタイプの人だなぁと(寧ろ自分に近いかも)。言葉それ自体を掴んだと思った瞬間、手のひらから溢れてしまう、そういう言葉の多義性、言葉を「もの」ではなく「生物」と捉
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ネタバレ前半では、文字の裏付けに依存している日本語という言語的特性が他の言語と比べていかに特殊であるのかという点を、その特性が形成されていった経緯と共に解説しており、後半では、国語改革の不適切性という切り口から、明治以降の日本に蔓延った極端な西洋化志向の問題点を説いている。
我々日本人が無意識のうちに非常に高度な言語処理を行っている点を意識させられ非常に驚かされた。「日本語にとって漢字は、相性は悪いもののもはやそれなしには生きられないものであり、漢字を捨て去ることなどできない」との筆者の主張も非常に説得力があった。語りかけるような文体のおかげで内容もよく理解でき、非常に面白い本であった。 -
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中国の歴代王朝の発生起源は盗賊に遡る。王朝の創始皇帝の劉備や朱元璋、なりそこなった李自成、洪秀全等の盗賊人生が簡潔に述べられている。
一口に盗賊と言っても日本とは同じ常識で量れない。兵士も盗賊に近い種類であることや、劉邦が若いころしていた吏といわれる末端役人までほとんどやくざ者であるところなど説明がないと全く異なる理解になってしまうであろう。
まず中国を学ぶには中国常識学のようなものが必要ではないかと思った。日本人の常識で理解するから狂ったような左翼学者も多いのかもしれない。
また毛沢東や共産党も発生、成長過程において盗賊皇帝・王朝と変わらないことがわかる。とはいえスケールが大きく情報量も多い -
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高島俊男さんの文章は,ほんとうに読みやすい。戦前生れの元漢文教師だが,難解な漢字を振り回す自称「知識人」には一貫して批判的で,日本語(和語)はなるたけかなで書くべし,という思想の持ち主。
高島氏の著作は数多く読んだが,これはその中でも始めて読んだ本。独自の文字をもつ前に漢字に出会ってしまったために,日本語がいかに畸形の言語になったか,というのを論じている。中国語を書き表すための文字で,全く異なる日本語を表記しなくてはならなくなったのだから,あちこちに無理が生じている。日本人が漢字と出会ってしまったのは日本語にとって不幸なことであった。出会いさえしなければ,日本語を書き表すのに適した文字が生 -
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ネタバレ漢字の取り扱いについて、中国と日本における歴史的な事情を記述している。
韓国で漢字を排斥した理由がよくわからない。
日本でも漢字を減らそうとした経緯、
中国で漢字を減らそうとして経緯が書かれている。
それが成功したとは言えない。
混合文化の利点にも光りがあたるとよかったかもしれない。
ps.
JIS(日本工業規格)に対する誤解が少しあるのが気がかりだ。
該当するJISはX分類というコンピュータで文字をどう扱うかを決めています。
すべての漢字をコンピュータで表現しようという今昔文字鏡の活動を支援している人も、経済産業省の工業規格関係の人にもいます。また、今昔文字鏡を作った方も、 -
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昔、中国には「盗賊」なるものがいたらしい。かならず集団で、鬼平犯科帳に出てくるようなこそこそしたのではなく、ほとんど公然と蟠踞する。都市一つ占拠するほどの大勢力になったり、時には天下を取ってしまったりする。そんな盗賊とはどんなものか、なぜ生じるのかを解説したあと、歴史上代表的な盗賊を紹介します。
まずは秦帝国を揺るがす叛乱を起こし王を称した陳勝、その後、秦を滅ぼし漢を建てた劉邦。この人が最初の、天下を取ってしまった盗賊です。乞食坊主から身を起こし、明を建国した朱元璋。建国後の粛清がすさまじい。明代末、一時は帝位に登るも、清に追われ、あえない最後を遂げた李自成。その後異民族の清に長く支配された