高島俊男のレビュー一覧

  • 中国の大盗賊・完全版

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    中国史の賊の紹介。日本語に適切な言葉がないため日本人の思う賊と中国の賊はかなり違う。
    陳勝・劉邦・朱元璋・李自成・洪秀全・毛沢東。

    盗賊とはなにか。人はなぜ国をとろうとするのか。それは権力を欲してである。大義名分で着飾っているがその実は権力と権力の闘いである。

    自分に中国史の基礎がないため固有名詞の乱舞に戸惑ってしまった。

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    2024年12月26日
  • 漢字と日本人

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    漢字が日本に取り入れられた歴史がおもしろい。

    漢字の音は、3~6世紀の中国南北朝の時代につきあいのあった漢人の南朝から呉音が朝鮮や対馬を経由して入ってきた。平安時代の初めに、遣唐使が学んだ長安の漢語が正音として取り入れられた(漢音)。鎌倉・室町時代には、主に僧侶によって南宋、元、明の頃の漢語が伝えられた(唐音)。

    呉音は、如来や供養、精進などの仏教関係、外科、小児科などの医学関係に残っている。呉音以前の音も、相(さが)、馬、梅、銭、竹などに残っている。

    漢語がngで終わる音を日本語で表現するために、奈良・平安時代には「ウ」「イ」とし、鎌倉・室町時代には「ン」とした。鈴(レイ、リン)、燈(

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    2024年02月05日
  • 漢字雑談

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    好きな信頼している書き手だったのですが、2年前に亡くなっていたんですね。合掌。
    一本芯の通った硬骨漢で昭和の頑固オヤジのイメージがありました。

    本書でも繰り返し主張してますが、戦後定められた常用漢字は全くナンセンスだと思います。時の権力者が文字についてその使い方を強制するのは、やはりよろしくないと思う。国民性、個々の人間性の否定にもつながりかねない問題です。特にメディアはこの問題については、言葉を使うプロとしてもう少し真剣に取り組んでもいいのではないでしょうか。

    「お言葉ですが」のシリーズはほぼ持っているはずなので、また読んでみたい。積読本の山のなかから見つかればだが・・

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    2023年12月16日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    ネタバレ

    中国の盗賊の代表として、陳勝・劉邦、朱元璋、李自成、洪秀全、および毛沢東を紹介。ユーモラスな語り口で読みやすく、理解しやすい。

    中国における盗賊とは、仕事にあぶれたならず者の武装集団のことで、中央・地方の政府が組織したものは「官軍」、そうでないものは「盗賊」とされた。頭脳としての知識人や情報網を持つ商人などを取り込みしだいに大きくなり、ついには天下を狙う集団も現れる。

    面白いのは毛沢東で、先に紹介された陳勝・劉邦、朱元璋、李自成、洪秀全を「農民の革命戦争」として定義し、正義の行いとみなしている。本来のマルクス主義は都市の工場労働者を革命の主導者としているが、共産党は農村のあぶれ者を動員して

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    2023年01月13日
  • 漢字と日本人

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    本来日本語を表記するのに漢字はまったくあっていないというのが高島先生のご意見で、本書もそれが前提で書かれている。日本語と漢語(シナ語)は言語として共通点がほとんどなく、もし日本列島が無文字の時代に漢字とアルファベットが周辺国で使われていたら、日本では間違いなくアルファベットが入ってきたはずなのである。

    さらには、日本語を表記するのに漢字を採用したことで日本語が日本語として成熟する事ができなかったとする。無文字時代の日本語では抽象的な概念を表現するコトバはほとんど無かった。本来はコトバが熟成していく中で、日本語で抽象的概念をあらわすコトバが出来てきたはずが、漢字で表現することを先に覚えてしまい

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    2021年07月03日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    社会のはみ出しものとしての盗賊が跋扈する中国。代表的な5人を本書では取り上げる。その最後の人物は毛沢東。毛沢東を共産主義者ではなく、中国社会特有の盗賊の1人として捉える方が説明がしやすいと著者は言う。この視点は自分にとっては新鮮で面白かった。

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    2020年02月29日
  • 漢字と日本人

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    言語と文字に着目し、日本語について述べられた本。著者は、日本語が世界でおそらくただ一つの極めて特殊な言語と言う。言語とは本来、音声であり、文字はその影に過ぎないのであって、世界には文字なき言語も存在する。しかし日本語には明治以後の和製漢語の増加により同音違語が多数存在するようになり、日本人の話は、音声を手がかりに頭の中にある文字を素早く参照するプロセスを繰り返しながら進行する。それは、日本語は音韻組織が簡単であるため、漢字の異なる音が日本語では同じ音になり、したがって一つの音が指し示す文字が多いからである。「キシャのキシャ、キシャでキシャ」はどういう意味か、ということである。日本は文字として漢

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    2018年11月26日
  • 漢字と日本人

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    ネタバレ

    十一月の三日は、祝日でちょうど日曜日です。

    本書にある、日本語がいかに具合の良くない状態にあるかを示す一例だそうだ。
    よく考えてみると、まぁ確かに。

    明治維新以降の国字の扱いがまずかった。とする点はぼくもそう思う。が、彼の「漢字をアテたのは重荷」という主張は違うと思う。

    日本語母語話者には重荷になってない。
    非日本語話者が日本語を学ぶときに障壁になる?なりますよそりゃ。

    漢語を取り入れたことで、"本来迎えるはずだった独自の言語体系変化"は無いものになった。

    これも違うと思う。非母語の語彙を母語に混ぜて使う、変化できることばなんだ。
    取り入れて独自に発展させるのが特

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    2018年09月13日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    面白かった。

    盗賊と言っても鼠小僧ではなくて、ならず者の武装集団。
    劉邦、朱元璋、李自成、洪秀全から、毛沢東まで(笑

    ムッチャ判る。

    で、自分らの判るエリアでやっとった奴らが、全アジアから世界まで視野に入れ出したことも。

    こいつら、あかんて。仲間に入れたら。

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    2018年06月17日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    一介の盗賊が国を作る、こんな例が中国には、たくさんあるんですね。
    「みんなが代表を選んで、その人に国を建設してもらう」
    、、、民主主義の「人の選び方」とは、何もかも違います。

    盗賊が国を作った、だから、、、中国はどうひっくり返っても、民主的な国家
    (ほんとは、国家と言えないと思いますが、、、)になることはできないと確信しました。
    人民裁判は、てっきり「人民による裁判」だと思ったのですが、高島先生は、「人民の前でやる裁判」と
    喝破します。これでは、、、一生、法治国家になることはできませんね。

    中国の歴史を知れば知るほど、面白いのですが、日本とは、絶望的に「うまくやっていけないな」と
    いうか、

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    2017年06月06日
  • 漢字と日本人

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    漢字が日本に入ってきてから、この文字がいかに日本で変質いったかが分かりやすいです。
    入ってきたものを日本風に改造して、それを爛熟させてしまってから、元のかたちに戻そうと悪あがきするのは、文字に限った事ではないと思いますが、いかにも日本的だと思います。

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    2016年08月18日
  • 漢字と日本語

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     日本語と漢字は切っても切り離せない関係だ。と言っても昨日、テレビ番組で反省して謝罪したあの人のような不適切な関係ではない。


     たとえ、漢字自体は同じでも意味が違うことがある。例に上がっているのは、写真。日本語だと透明無色だが、中国語になると色がつく。しかももやもやしたわいせつな色が。ズバリ、「エロ写真」を意味する。もともと中国語には、「照相」という語があり、できた写真を「照片」と言う。そのような事情から、日本から入った「写真」の意味は特定のものを現す意味になった。


     ここでは例に上がっていないが、「愛人」も違う意味になる。日本だと秘密の香りが漂ってくるが、中国語の「愛人」は、奥さんの

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    2016年05月14日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    古書店にて250円で。取り上げられている〈大盗賊〉は「燕雀いづくんぞ……」でお馴染み陳勝に漢の高祖劉邦、明の開祖朱元璋、明朝と清朝の狭間で僅か40日天下を謳歌した李自成、太平天国を築いた洪秀全、そして〈完全版〉にて当時の原稿を復元した毛沢東。同著者の本は『三国志 きらめく群像』と『水滸伝の世界』しか読んだことがないのだが、難解な内容になりそうな題材を平易な文章で判りやすく仕上げているのはさすがである。参考文献についても、どの本がお勧めでどれがイマイチかなどユーザビリティ第一に書かれており好感が持てる。

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    2016年03月06日
  • 漢字と日本人

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    日本語の中に、中国から伝えられた漢字を取り入れた歴史的経緯と、そのために日本語が抱え込むことになった構造的問題を論じた本です。

    軽妙洒脱な文章ですが、現代における日本語をめぐる種々の混乱を小気味よく批判しており、たいへん興味深く読みました。著者の結論は、「漢字は、日本語にとってやっかいな重荷である」が、とはいえ「日本語は、これなしではやってゆけないこともたしかである」ということで、イデオロギー的な漢字廃止論にはとうてい及びもつかない、日本語についての深い洞察に裏打ちされていて、説得力があります。

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    2015年10月07日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    中国の歴史を作ってきたのは盗賊である。我が国の歴史との違いをまざまざと見せつけられた。毛沢東の記述が興味深い。記述も平易で親しみやすい。
    いわゆる歴史認識問題について、なんとなく向こうの思考回路が垣間見えた気がする。

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    2015年05月26日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    歴史上、中国を統一した皇帝には盗賊出身が多い。有名どころは、漢の創始者、劉邦。彼はもともと面倒見の良いアニキ的ヤクザ。そんな劉邦が家柄に優れた項羽との決戦に勝利し、中国を統一する。毛沢東だってガラの悪い農家の出だ。日本で比較できるのは豊臣秀吉くらいだが、彼は将軍、天皇の一歩手前止まりだった点で中国の皇帝には一歩劣る。

    本書は、こうした田舎の貧しい盗賊出身でありながら中国を統一してしまった6人を取り上げた成り上がり列伝。

    中国でトップに登りつめるためには義とか情は邪魔。ひたすら自分より上の者を倒すのみ。家柄とか、財産とか守るべきものがあることは、逆に不利だ。そんな中国を究極のアメリカンドリー

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    2015年05月08日
  • 中国の大盗賊・完全版

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     最近、高島俊男さんの本にハマっています。こんな面白い人を、発見出来たことが、とても嬉しいです。まだ読んでない本が、たくさんあるので、チビチビ読んで行きたいです。

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    2013年10月09日
  • 漢字雑談

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    著者の膨大な中国語の知識をベースにした日本語の解説が満載だ.「本」で読んだ記憶のあるものもかなりあった.1946年の常用漢字制定は愚策だという論評に大賛成だ.身体障"碍"者を障"害"者と書くのは止めたい.指摘のあった 広汎な、潰滅、苛酷、臆病、名誉毀損、失踪、嗅覚、肝腎、長篇.これらは「Google日本語入力」の辞書に完備していたので安心した.

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    2013年10月04日
  • 漢字雑談

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    漢字が読めなくて辞任した(違う?)総理大臣がいたが、しかし漢字なんて当て字だったり読みも適当だったりする。「百姓読み」のことを嘆くというか、馬鹿にするというか、そんな記述もあるし、漢字制限というアホくさい政策への指摘に溜飲を下げたりする。毒ばかりではなく愉快なものもあるが、言われてみれば、だったり目から鱗だったり。やっぱり、なんでだろう、という気持ちはいつも持ってないとね。

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    2013年09月20日
  • 漢字と日本人

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    この人の本は、ちょいちょい毒舌が混ざるので面白いです(笑)

    漢字と日本語の関係性について、細かい例を挙げながら論じてます。筆者の主張としては以下の通り。

    ・漢字を文字として採用したが、同時期にアルファベットが入って来ていれば、間違いなくアルファベットを採用したはず。なぜなら漢字は日本語の意味を記すには好いかもしれないが、日本語の音を表現するには不適当だからである。
    ・漢字が入ってきたことで、抽象的なものや概念的なものを表す日本語(和語)が発展する機会は失われた(「山」や「川」は和語だが、これを包括する「自然」は漢語の概念)
    ・江戸以前の和製漢語は、文字から意味は分からないが、音から意味を取

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    2013年09月05日