高島俊男のレビュー一覧

  • 中国の大盗賊・完全版

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    中国の政治史、特に複雑過ぎて理解する気も失せる現代政治史を大づかみに切り分け、「盗賊」をキーワードに
    面白おかしくずぶの素人にも単純に理解できるようにまとめてくれた名著。
    古来より中国は力が正義。いつの時代にも武装した民衆が集まり、実力で意見を通すそれが賊、冦、盗、匪などと呼ばれる。日本で言えば一揆が近いが、大きく違うのはその利己的な性格。正義を振りかざして政府に反乱もするし、同時に犯罪集団でもある。梁山泊でもあり、ISISでもある連中。
    このとんでもない集団があることが、傍目には中国史を面白くさせているわけだが、困ったことに天下を取った中央政府も元はこういう連中にすぎない。しかも正規の政府に

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    2017年10月09日
  • 漢字と日本人

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    ネタバレ

    漢字は中国語。日本語とは合わないために日本人の不幸がある、という主張は説得力があります。また日本語が漢字と出会ってから発展しなくなったため、漢字でなければ表せない単語が増えたとのこと。そして明治以降、同音異義語の単語が増えてしまった理由。今日はなぜ「けふ」なのか。いつから変わったのか。当用漢字1850字選定の意味。そして森有礼、志賀直哉のそれぞれ英仏語を国語にしようとの主張の背景など、「日本語と日本人」を考える上で最高の楽しい知的好奇心を満足させる本でした。

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    2013年08月24日
  • 漢字雑談

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    週刊文春での連載終了以降、あまり読めなくなってつまらないなあと思っていたら、そうか、「本」で連載されてたのか。知らなかった。漢字を中心とした日本語の蘊蓄。もう大好きなんだよね。

    しかしまあ言葉っていうのは本当に難しい。ゆめゆめ知ったかぶりして書くまいと思う。なにしろ頼りの辞書の記述にも当てにならないものがあると、高島先生はしばしば指摘してるんだもの。常日頃愛用している「広辞苑」はもちろん、最終兵器「日本国語大辞典」でさえ、間違った孫引きをしている箇所があると言われた日には、いったい何を信じればいいの~と途方に暮れてしまう。しをんちゃんの「舟を編む」でも書かれていたが、辞書というのは全く気の遠

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    2013年07月10日
  • 漢字雑談

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    おもしろかった。漢字の「戻」は「人道にもとる」の「もとる」の意味しかなくて「もどる」の訓は後付け、とか、「調」は「音の調べ」の「しらべ」の意味だったのが室町以降「(物事を)しらべる」の意味になり、明治以降「調査」という言葉ができて中国に逆輸入されたけど、中国人はなんで「調」の字を使っているのかわからなかった、とか初めて知ることが多くて感心した。

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    2018年10月07日
  • 漢字と日本人

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    多くの人に読んでもらいたいと思いました。なんだか、いたたまれなくなる日本語×漢字の話。非常にわかりやすく解説してくださっているので、文体の好みは分かれるかもしれないけれど、若年層も読みやすいと思います。
    文字を持たない日本語が他国の発明品である漢字をいかに取り入れ、どのように意識してきたか。文字を持ったがために、日本語がどのような影響を受けたか。そして、明治維新後や戦後、日本の言語がどう変わろうとした結果、いまわたしたちが使っている日本語があるのか。

    「常用漢字の新字体」でものを書き、考える癖の染み付いた脳にはあまりにも悲しい日本語と漢字の話。「常用漢字」や「新字体」の正体をはじめて知って、

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    2013年05月31日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    毛沢東も盗賊皇帝。
    盗賊といっても日本と違ってスケールが桁外れに大きい。ヤクザが総理大臣になるようなものだから話も面白くなる。
    太平天国の乱については勉強になりました。

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    2013年05月21日
  • 漢字雑談

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    高島先生がいま連載もってたとは知らなかった。ファンなのに迂闊。講談社の『本』に載ったものを収録した本。まえがきが短く,あとがきがないのがいささか寂しい。
    長年読んできたためか,前半は少し退屈にも感じたが,後半は良かった。特に最後の「甲板と納戸」。撥音と促音が相通であるとはなるほど,目から鱗だ。

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    2013年05月01日
  • 漢字雑談

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    いつもながらの教養あふれる漢字エッセイ。単なる豆知識ではなくて、広がりのある推理や考察を読めるのが嬉しい。
    ただし、なぜか文春の『お言葉ですが』シリーズ(特に前半)には感じたワクワク感がない。
    あれは当たり前と思っていたことが揺らぐ面白さと、小さいと思っていたことが以外に大きいとわかる面白さだった。著者のことをよく知らなかったからこその、予想を裏切る面白だった。本書は、予想を裏切らない面白さ。

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    2013年04月24日
  • 漢字と日本人

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    少し前に、娘がユスラウメのジャムを作っりました。
    ユスラウメって知らなかったので、wikipediaで調べてみました。「櫻」って漢字は、サクラではなく、「ユスラウメ」のことだったらしいです。
    古から、言葉、漢字を介在して伝わってきている歴史を言葉、漢字を使わなくなることによって失うのは残念だなぁと思い始めました。

    著者の高島氏も同じ思いではないかなと思います。ことば、日本語に対する愛情がとても感じられました。

    話の中で興味深かったのは、漢字が入ってきたことによって、日本語の成長(抽象的な概念の生成)がなくなったということです。今までに考えたこともありませんが、どのような言葉を作ったのかなぁ

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    2012年05月21日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    ネタバレ

    歴史を淡々と述べているのではなく、盗賊という見方や、つまりどうゆうことかとわかりやすく書いています。元にしている資料もはっきり当てにならない、中国ではこうゆう風に評価されているけど、現実は違うときっぱり書いていて読みやすかったです。この本を読んだ後では、現在の中国の「即死刑」の風潮もわかる気がするし、一人っ子政策もある意味「盗賊防止策」なのかなと思ってしまいます。(そうは書いていませんが)中国の歴史をサッと要点をまとめて読めると思います。

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    2012年02月19日
  • 漢字と日本人

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    赤んぼが一番出しやすい音は唇音(m音とp音とb音)だから、世界中どの人種の言語でもたいがいお母さんを呼ぶ言葉は唇音である。

    だとか、めっちゃやたら大量にちりばめられたマメ知識に感心するし、

    あれ(=平安女流文学)は女が情緒を牛のよだれのごとくメリもハリもなくだらだらと書きつらねたものだから、あの方式でがっちりした論理的な文章を書くのは無理なのである。

    などと、痛快にご意見を開陳してくれて、御大まだまだかくしゃくとお元気なんだなと安心する。と同時に、井上ひさしの「東京セブンローズ」を思い出してしまった。

    日本語が世界に類のないけったいな成り立ちであり、その成り立ちに引きづられて日本語だけ

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    2012年01月05日
  • 中国の大盗賊・完全版

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     一通り中国歴史上の人物が頭に入っていると痛快に読める。
     中国の歴史は盗賊の歴史であり、それは起こるべきして起きていた・・・ 「ああ、なるほど俺もその立場ならそうするかも」と思わせる部分が随所にあり、中国と日本の生い立ちや考え方の違いを分かり易く書いている。

     総合年表と地図情報があればもっと読み易かったと思うので★を一つ減点。
     

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    2011年09月04日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    ネタバレ

     タイトルから、日本でいう石川五右衛門、フランスでいうアルセーヌ・ルパンのような大泥棒を思い浮かべがちだが、この本では劉邦や朱元璋のような国を盗った大盗賊が挙げられる。そういえば、この二人は農民出身で最初は片田舎の盗賊として挙兵した。

     中国では農業からあぶれた者(閑民)が武装して盗賊となるのですが、それでは困るとして国が閑民を兵とすることがよくあった。しかし、この兵のほうが盗賊よりも徹底的に略奪するなどしたから厄介だった。

     注目すべきは毛沢東。本書では彼も一地方勢力として旗揚げし、勢力を拡大して中国全土を支配したという点で、劉邦や朱元璋と同じような盗賊皇帝として描かれている。

     毛沢

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    2011年06月06日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    高島先生の中国の歴史学者たちに対する言葉が辛辣。「盗賊」という言葉の響きが、とっても悪いので、えっみんな盗賊だったの?といいたくなるが、でかい中国のことだから、盗賊もスケールが違うし、盗賊も正義に変化して、国を治めちゃうのです。すごいね。

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    2011年09月09日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    ネタバレ

    盗賊ってなんだろう?というところから始まり中国の大盗賊を紹介しています。勝てば官軍とか後付神格化とかの裏をみたら実は盗賊でしたとか、ヒーローと悪人ってとても紙一重なのねと。物語ではかっこよく書かれていても実際はこれかと思うとちょっと萎えますが、面白い本でした。

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    2011年04月24日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    易姓革命などソレらしいことをいうが、言ったもん勝ちの後付の説明みたいなもんで、実際は、権謀術数と疑心暗鬼と大虐殺が満載の大盗賊たちの権力闘争。人間らしいっちゃぁ、実に人間らしい。

    筆者は、史上最強の大盗賊は毛沢東だとして、こんなふうにバッサリと片付ける。
    「つまり毛沢東の伝記の面白さは、共産党が人民を解放したの民衆が立ちあがったのというヨタを聞くのがおもしろいのではさらさらなくて、こいつの前では朱元璋も李自成もケチなコソ泥ぐらいに見えてくるという大盗賊が、中国をムチャクチャに引っかきまわすという、一般中国人にとっては迷惑千万の歴史が面白いのである。」(p259)

    常にひどい目に合わされる庶

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    2011年04月03日
  • 中国の大盗賊・完全版

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    中国という国がどういう権力争いで今まで続き、そしてそれぞれの時代の王となったかを分かりやすく、史実を調べて書かれており、中国という国を理解するのには実に有用な本だと思った。

    これを読めば、日本と本当に考え方や行動の仕方が違うのがこの国だからこそああなるんだという事に気がつく。

    ヒョッとしたらまだまだ中国は新しい王朝が現れて今と違う国がまた出来るのではないだろうかと思ってしまう(^_^;)

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    2010年12月06日
  • 漢字と日本人

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    文体がどうしても偉そうなのに辟易しつつ読み進めていくと、結末近くになっての当用漢字やら漢字廃止論やらに対する批判には大いに同調してしまい、なんともいえない気分で読み終えた。
    漢字が流入したことで奇形(あるいは畸形と書くべきなのだろう)の言語となった日本語についてあれこれ文句をつけながらも現状の最良を維持すべきとする論自体がなんともいえない複雑な話なのだからそりゃあ複雑な感想にもなろうというもの。

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    2024年12月11日
  • 漢字と日本人

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    音と文字、英語と漢語と日本語、それぞれの特徴や成り立ちの話は面白かった。

    ただ、慣用的に使われている言葉について「⚪︎⚪︎という言葉を使っている新聞社はバカの骨頂だ」などと、いう少し攻撃的な後は読んでいて引っかかった。
    言葉の特徴や良さを表現するのに、他を攻撃する必要なんてないのに……

    その引っ掛かりを考慮して星3としました

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    2024年10月24日
  • 漢字と日本人

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    日本語における漢字の位置付け、成り立ちから漢字の統廃合の動きなど、使われ方・在り方を時にエッセイ風に著者の私見も包み隠さず語られている。

    「和製英語」という言葉があり時に批判の対象になったりもするが、本書で「和製漢語」という言葉が出てくる。中国から入ってきた言葉が日本人によってアレンジされたものだ。例えば「かへりごと」という日本語に漢字の「返事」をあててそれが後に「ヘンジ」と読まれるようになった、など。日本に限らずだろうが、外からきた言葉と元からある言葉が組み合わさって結果その国の言葉になる例はたくさんある。

    本書で改めて気づかされたのは、「日本人は漢字を覚えるのに無駄にエネルギーを使って

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    2024年09月21日