片島麦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
特に『幽霊番』に惹きつけられた。
小学生の頃、蟻の列を足で妨害して
虐めたことを思い出した。
前に進めなくなった蟻が、慌て、ウロウロし始め、何匹もが犇めき合っていく姿を
好奇心で見つめていた。
あの時の背徳感が好きだった。
そして自分は酷い人間なのかなと
子供ながらに思った。
幽霊に、あえて罪深いことをする時の感情表現が
まさにあの頃の私にそっくりで
少し背筋が凍ったような気さえした。
小説の良さは、映画などでは表しきれない
心や感情を言葉で説明してくれることなんだと
気づくことができた。
『空まわりの観覧車』
穏やかな夫婦でいると、食べ物や趣味に関して
自分の好きなのか、合わせた好きなのか、好きだけど好きじゃないフリをしている好きなのか
分からなくなる。
まさにそうだと、実感できた文。
同調も大事だけど、自分を見失わない工夫も必要かな、と思えた。 -
Posted by ブクログ
某書店文庫担当者さんのオススメだったので読んでみた。
物語は主人公が回想する形で進んでいく。それだからか、なんとなく白いベール越しにみているような、もやっとした世界観がなんかいい感じ。
「おおばあ」の存在感がすごいだけじゃなく不思議な力を持っているのに案外簡単に死んじゃったり、主人公ロクの父親に関する事がちょっとした謎解きになっていたり、あれだけ伏線らしきものがあったにもかかわらずロクとミウリがいい仲にならなかったり、この辺が面白いポイントだったかな。
著者はこれがデビュー作らしい。
ラストは続編を期待してしまう終わり方だったし、次の作品も読んでみたいなぁ。
いずれにしても、こういう作品って自分ではたぶん選んで読まないから、いいきっかけになった。 -
Posted by ブクログ
不慮の事故で亡くなった羽野未知生41歳。協調性がなくマイペース、人にものを頼めないけど人から頼まれると受け入れる、周りに対してだけじゃなく自分のことにも無頓着、そんな未知生とうっかり関わってしまった同級生、元カノ、会社の同期と上司、そして家族目線で描かれる七つの物語。
設定からして「横道世之介」をなんとなく思い出してしまう。人を庇っての電車のホームからの転落死というのも同じ。だからか、同じような感動を期待して読んだ。
「横道〜」と違うのはあちらが世之介が常に主人公であるのに対し、こっちは未知生さんと関わった人物の“今”により重点が置かれていること。
掴みどころがなく、そばにいてもやり過ごしてしまうか、むしろイラッとしそうな人物だけど、実はとてもピュアで、人を受け入れるという一点において関わった人に大きな影響を与える人物。
それぞれの目線から、未知生の人物像が描き出されるが、そのどれもが捉えどころがない。
鈍臭くてうっかりビルから落ちたと同級生から思われているけど、真実はそうではなかったこと。その時の彼の胸の内が、たまたま跨線橋で会った無関係な高校生に語られたこと。
人は人を自分が見たようにしか理解できないんだなぁとしみじみ思う。
それでも、最後に路斗が感じた思い、
「ぼくはぼくの知らないたくさんの誰かと知らない未知生さんを分かち合って生きている。未知生さんがどんな人だったかなんて、誰にも分からないのだ。もしかしたら本人も分かっていなかったのかもしれない」
というくだりには深く納得。
13年の歳月をかけて、父親の死を乗り越えた路斗の話で締めくくられた希望ある物語で読後も良き。