片島麦子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
某書店文庫担当者さんのオススメだったので読んでみた。
物語は主人公が回想する形で進んでいく。それだからか、なんとなく白いベール越しにみているような、もやっとした世界観がなんかいい感じ。
「おおばあ」の存在感がすごいだけじゃなく不思議な力を持っているのに案外簡単に死んじゃったり、主人公ロクの父親に関する事がちょっとした謎解きになっていたり、あれだけ伏線らしきものがあったにもかかわらずロクとミウリがいい仲にならなかったり、この辺が面白いポイントだったかな。
著者はこれがデビュー作らしい。
ラストは続編を期待してしまう終わり方だったし、次の作品も読んでみたいなぁ。
いずれにしても、こういう作品って自 -
Posted by ブクログ
不慮の事故で亡くなった羽野未知生41歳。協調性がなくマイペース、人にものを頼めないけど人から頼まれると受け入れる、周りに対してだけじゃなく自分のことにも無頓着、そんな未知生とうっかり関わってしまった同級生、元カノ、会社の同期と上司、そして家族目線で描かれる七つの物語。
設定からして「横道世之介」をなんとなく思い出してしまう。人を庇っての電車のホームからの転落死というのも同じ。だからか、同じような感動を期待して読んだ。
「横道〜」と違うのはあちらが世之介が常に主人公であるのに対し、こっちは未知生さんと関わった人物の“今”により重点が置かれていること。
掴みどころがなく、そばにいてもやり過ごし -
Posted by ブクログ
黒い革でできた頑丈な長手袋を常に身につけ、威風堂々としているおおばあ。不思議な力を持つ彼女のもとには、悩みを抱える人々が絶えず訪れ、お礼にさまざまなものを置いて行く。
数学者でリアリストの母さんと対照的なおおばあ。全く思い出せない父さんと、くっきり記憶にある伯父さん…。父不在の女系一家で、ぼくは黒犬のやじろべえと共に、所在なさを感じているが、ふとした拍子におおばあの持つ不思議な力が自分にも受け継がれているらしいことに気づいて…。
ワルプルギスと言えば、魔女ものでは有名なキーワード。ワルプルギス賞受賞のこちらもやはり、魔女的な要素を感じるストーリーだった。