片島麦子のレビュー一覧

  • 未知生さん
    異色の作品。未知生さんがすべての鍵なのに、いつまでたっても顔がわからない。装丁画のように顔が見えない。たくさん話している場面があるのに、さっぱりだ。でも、そこがいい。
  • 未知生さん
    未知生さんの事が頭から離れない。

    空気が読めなくて、どんくさい。
    でも現実にいそうだなとも思える。

    物語は、41歳にして不慮の事故で亡くなった羽野未知生に生前関わった男女七人の視点で綴られる。
    未知生に出逢った人達、それぞれの物語も面白い。

    皆の語りで、おぼろげだった未知生さんの輪郭が徐々に形...続きを読む
  • レースの村
    こういう本、とっても好き!
    短編が4作入っていてどれも秀逸
    この作者は初めて読んだが、他の本もぜひ読んでみたい。
    表題になっている、レースの村は、角田光代の八日目の蝉を彷彿とさせる。
  • 中指の魔法
    祖母と孫が織りなす成長物語と言えば、孫の性別は違いますけど真っ先に思い浮かぶのが「西の魔女が死んだ」です。ただ、ファンタジックな成長物語としては本作の方があきらかにハイレベルで、「西の…」を全く評価できない俺でも脱帽です。
  • 未知生さん
    他人から見た自分なんて人それぞれなんだなー。
    いい人のつもりでもそうじゃないと思われる場合もあるし、悩みとか隠してたら悩みない人、とか。
    未知生さんってタイトルが全てを物語っているではないか!
    人との付き合いはある意味都合のよい思い込みかも‥
  • レースの村
    ありそうでなさそうで、やっぱりありえるかもと思うちょっと不思議でノスタルジーな短編集。
    この世界観好きです。
  • レースの村
    特に『幽霊番』に惹きつけられた。

    小学生の頃、蟻の列を足で妨害して
    虐めたことを思い出した。
    前に進めなくなった蟻が、慌て、ウロウロし始め、何匹もが犇めき合っていく姿を
    好奇心で見つめていた。
    あの時の背徳感が好きだった。
    そして自分は酷い人間なのかなと
    子供ながらに思った。

    幽霊に、あえて罪深...続きを読む
  • 想いであずかり処 にじや質店
    主人公の女性の性格が苦手で、少々イラッとする部分やなんでそんなこと言うかな?という点がありました。
    しかし、にじや質屋に訪れる色々な人の物語は面白く、楽しめました。
  • 想いであずかり処 にじや質店
    大切なものと引き換えに、願いを叶える質屋さんの話。騙されて?お店に行き、図らずも願いを叶えてもらったことで、お店で働くことになるのですが、2人の関係性を教授とともに見守ってます。
    続編を是非お願いしたいです。
    まだまだ願いを叶えてもらう話を読みたいですし、教授がお店に来ることになった経緯や、お兄さん...続きを読む
  • 中指の魔法
    片島麦子の初めての本になるのだろうか。
    ほぼ1年前に文庫オリジナルで出版されている。
    読み終わって、最初に考えたことは、この人は他にどんな本を書いているのだろうという事だった。
    おばあさんと孫の話はたくさんあるし、児童文学若しくはファンタジーの定番ではあるけれど、それでも面白かった。
  • 中指の魔法
    某書店文庫担当者さんのオススメだったので読んでみた。
    物語は主人公が回想する形で進んでいく。それだからか、なんとなく白いベール越しにみているような、もやっとした世界観がなんかいい感じ。
    「おおばあ」の存在感がすごいだけじゃなく不思議な力を持っているのに案外簡単に死んじゃったり、主人公ロクの父親に関す...続きを読む
  • 未知生さん
    もう亡くなってしまっているのだ、未知生さんは。
    それも読み始めたと同時に、最初の行の最初の一文で。
    そしてそこから始まるのは、未知生さんという男を知るための物語だ。
    色々な人によって語られていく未知生さんを知るたびに、とらえどころのない未知生さんにどんどん惹かれていく。
    物語が終って、私の中に私だけ...続きを読む
  • 未知生さん
    不慮の事故で亡くなった羽野未知生41歳。協調性がなくマイペース、人にものを頼めないけど人から頼まれると受け入れる、周りに対してだけじゃなく自分のことにも無頓着、そんな未知生とうっかり関わってしまった同級生、元カノ、会社の同期と上司、そして家族目線で描かれる七つの物語。

    設定からして「横道世之介」を...続きを読む
  • 未知生さん
    全体的にいい人なんだけど、つかみどころがない不思議な人、未知生さん。
    そんな彼に関わってきた高校の同級生や会社の同僚、上司、元カノ、妻、息子など、様々な人の視点で、未知生さんの人生が語られる。
    彼らが語っているのは、彼らの人生なのに、そこに未知生さんの人生も透けて見えるから不思議だ。でも、生きること...続きを読む
  • レースの村
    「空まわりの観覧車」以外は、不思議なお話しだった。
    「幽霊番」はすっごく不思議なんだけど、怖いんだけど、1番面白かったかな。
    辺鄙な田舎で、本当にありそうだし。出ないとしても。

    「レースの村」はちょっとカルトちっく。
    そういう集団で暮らす居心地の悪さ。

    「透明になった犬の話」は子供にしか見えない...続きを読む
  • レースの村
    4篇の、ちょっと不思議な物語。
    う~ん、空気感は悪くないんだけど、どこか消化不良というか、満足感が薄い。
    全体的に「惜しい」。
  • 想いであずかり処 にじや質店
    片島麦子さんは初めましての作家さん。

    最近、こういう感じの作品が増えたなぁ。
    だからこそ、筆致だったり、キャラクターだったり、何かしら突出したものがないと、どんどん埋もれちゃうんですよね。

    わたしにとってこのお話は、あんまりピンとくるものではありませんでした。
  • 中指の魔法
    威風堂々としたおおばあと孫の緑の主に小中学生時代がほのかな雰囲気で語られて、現代ものだけれどそこはかとないファンタジーさが心地好い。呼吸を合わせることで夢の中に入り眠り続ける少女を起こし、死に触れる。自分を好きになろうとする変化が急で、させられた感があったけれど、その先の結末が意外でストンとなった。
  • 中指の魔法
    黒い革でできた頑丈な長手袋を常に身につけ、威風堂々としているおおばあ。不思議な力を持つ彼女のもとには、悩みを抱える人々が絶えず訪れ、お礼にさまざまなものを置いて行く。

    数学者でリアリストの母さんと対照的なおおばあ。全く思い出せない父さんと、くっきり記憶にある伯父さん…。父不在の女系一家で、ぼくは黒...続きを読む