片島麦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
間宮朔子は何を望むわけでもなく、すべてを諦めている。
職場のブックカフェでもただ淡々と仕事をし、無難にやり過ごしていたが、ある日中学の同級生・葛原あさひの姉だと名乗る鳴海が、あさひがいなくなったので探してほしいとやって来る。
中学の一時を過ごしただけで、それから以降は全く存在すら忘れていた彼女のことが蘇ってきたのだが…
彼女とは親友だったはずが、ある行き違いがあって疎遠になっていた。
彼女と出会った頃と現在を交互に物語っていく。
朔子の家庭は、口癖のように「普通」を強調し、両親と妹の三人だけがわかり合っているという家族で、あさひも歳の離れた姉だと言っていたのが実母で、ずっと祖母が母となり暮ら -
Posted by ブクログ
特に『幽霊番』に惹きつけられた。
小学生の頃、蟻の列を足で妨害して
虐めたことを思い出した。
前に進めなくなった蟻が、慌て、ウロウロし始め、何匹もが犇めき合っていく姿を
好奇心で見つめていた。
あの時の背徳感が好きだった。
そして自分は酷い人間なのかなと
子供ながらに思った。
幽霊に、あえて罪深いことをする時の感情表現が
まさにあの頃の私にそっくりで
少し背筋が凍ったような気さえした。
小説の良さは、映画などでは表しきれない
心や感情を言葉で説明してくれることなんだと
気づくことができた。
『空まわりの観覧車』
穏やかな夫婦でいると、食べ物や趣味に関して
自分の好きなのか、合わせた好