木村盛世のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
新型インフルエンザの影響により改めて明確な脅威となった生物テロ。
著者の木村盛世氏はWHOに属する機関でアメリカの公然医療を学んだ逸材であり、通常の公務員とは全く違う、新しい視点で厚生労働省の組織体制や危機管理能力の脆弱さを糾弾している。
患者と接したことのないペーパー医師がキャリア官僚の肩書きだけで現場を無能化し、陰湿な左遷や妨害を当たり前のように行う。
浮き彫りになるのは官僚組織ヒエラルキーの崩壊と現実問題として新たなバイオテロと遭遇した際に日本が国際社会の一員として、どのような対応が強いられるのか…
◆日本の国連職員数は負担する資金と比例させれば10%に過ぎない。英語で議論できる -
Posted by ブクログ
日本医師会を中心にした日本の銭ゲバ医療の問題と、先のコロナ対策の問題をお二人が語る。
コロナについては、ここに来てまだ何も検証とか反省がなされていないのがどういうことと思ってたんだが、まさか逆に、普通の風邪を5類指定していたとは驚いた。
一番の問題は、日本という国が、科学的に、エビデンスに従って政策を決められないということか。
多分、エビデンスに従った結論を出せる人はいる。
だが、責任を取れない。取らない。お金を出してくれる人にお金を回せなくなるから。
だって、あの頃、偽陽性の問題について簡単に計算したって、PCR検査で陽性になって本当に罹患している確率は10%切ってた。
のに、いつの間 -
Posted by ブクログ
賛同できる主張と、それはちょっと違うんじゃないかという主張もあるかな。
もちろんゼロインフルエンザが無理なように、ゼロコロナもありえないし、そんなものを目指すべきではないことは今になればよく分かる。
ポピュリズムにかられ、みんなで一斉に同じ方向に進む国民性はいい意味でも悪い意味でも日本人的だったなとか、医師会は偉そうな割に何もしてくれなかったなとか、厚労省は相変わらず腐ってるなとか思うところはこの本が斬ってくれて痛快。
ただ、木村盛世さんは持論を述べるときの顔つきが人を小馬鹿にしたような感じでどうにも好きになれないんだよね。だから、テレビで見るより本で読む方が主張がすんなり入ってきて良かっ -
Posted by ブクログ
一都三県における緊急事態宣言の2週間延長が宣言されたことを機に、改めて新型コロナウイルスについて勉強しようという機運が高まり購入した本書。エビデンスの重視や各国との比較など、信頼に足る記述をされている。集団免疫の知識や厚労省や日本医師会、法制度などシステム面の欠陥など得られたものも多い。
何より、ここまでの自粛を余儀なくされた国民に対して、感染拡大を国民の努力不足に帰すような議論は誤っていると強く感じた。努力でなんとかなるという旧態依然な態度が自粛の長期化や一部の医療関係者への負担の偏りになってはいないか。
新型コロナウイルス感染症との付き合いすらチャンスと捉え、学んでいくことが重要だろう。 -
Posted by ブクログ
文章の内容が飛びがちで、話している言葉をそのまま文章に起こしたような文体なので、少々読みにくい本であった。表現がストレートすぎるからなのか、どうしても仕事の愚痴が並べられているようにも思えてしまうので、素直に内容を飲みこみにくい感もあり、残念だった。
しかし、外国で専門的な教育を受けた上で日本の現場にいるからこそ見える、日本の行政(本書においては公衆衛生行政)の問題点についての指摘は、きわめて重要なポイントをついている。
そもそも公衆衛生について学ぶ場が日本では少なく、専門家が育ちにくい土壌であることは、バイオテロだけでなく、通常の感染症対策において大きなマイナスである。ワクチンや抗生物質 -
Posted by ブクログ
ものごとはさまざまな方向から見る必要がある。でも,何が真実であるか,素人にはわかりづらいことが多すぎる。たとえば,新型インフルエンザについては,弱病原性であっても,強病原性にいつ変異するかわからないので,十分な対策が必要だという話もある一方で,強病原性を想定した対策を行うことを疑問視する意見もある。
この本は,厚労省の内部の人による厚労省批判であり,内部告発と言えるものだろう。上記のような状況に陥っているのも,厚労省が既得権益を守らんとするためであり,医系技官の無能さのためと読み取れる。薬害エイズ問題など,厚労省に対しては,わたしも不信感がある。
もちろん,すべての役人が悪いわけではないの