【感想・ネタバレ】厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日のレビュー

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Posted by ブクログ

新型インフルエンザの影響により改めて明確な脅威となった生物テロ。
著者の木村盛世氏はWHOに属する機関でアメリカの公然医療を学んだ逸材であり、通常の公務員とは全く違う、新しい視点で厚生労働省の組織体制や危機管理能力の脆弱さを糾弾している。

患者と接したことのないペーパー医師がキャリア官僚の肩書きだけで現場を無能化し、陰湿な左遷や妨害を当たり前のように行う。
浮き彫りになるのは官僚組織ヒエラルキーの崩壊と現実問題として新たなバイオテロと遭遇した際に日本が国際社会の一員として、どのような対応が強いられるのか…

◆日本の国連職員数は負担する資金と比例させれば10%に過ぎない。英語で議論できるほどの英会話能力とスイスでの会議の際に必要となるフランスを話せる人間が殆どいない
◆キャリア官僚で出世した課長クラスはペーパー医師であろうが、全国の医師に対して影響を与える。メタボについても科学的根拠はなく、単なる思いつきと信じ込みによるもの
◆戦中までの生物科学は日本が最も発展していた。731部隊(石井部隊)の研究に使用していた建物を暴くことでソビエトの生物科学兵器部隊は出来上がった。
◆天然痘は古代から人類に猛威をふるい、幾度も世界史の舞台に表れる。アメリカとインディアンが戦った際にも、インディアンに対して天然痘ウィルス入りの毛布を送ることで感染させ滅ぼした。近代戦争においては直接的な戦争の死者よりも伝染病にかかって死んだ人間の方が遥かに多い。
天然痘を無くす為に尽力した日本人として元厚生労働省官僚の蟻田功がいる

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2010年07月09日

Posted by ブクログ

かる〜い口調で厚生省の組織を実名批判、そんなラジオインタビューを聞いて、著者に興味をもった。ここに書かれている事実そのものが衝撃的! 一読の価値あり。

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2010年03月17日

Posted by ブクログ

単なる暴露本かと思いきや、著者の実体験からみた厚生労働省の腐敗状況や役人の世界の実情などを如実に語られています。

著者の願いは連携して、感染症に対するチームを日本に作ることみたいです。
こういう人たちが報われる世の中であってほしいです。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

バイオテロを初めて経験した日本。前半愚痴が多いけど、「感染症対策は国防だ」という言葉には、頷かされます。先日の新型インフルエンザ騒動を考えても、日本の行政のお粗末さは、救いようがなさそう。

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2011年09月09日

Posted by ブクログ

難点がありつつも面白かった。
豪華客船で感染症が蔓延して、入港を求めてきても、現在の日本では対応できない、という問題提起は的中したんではないか。

ただ、「テロ」に話をもっていくわりに、「テロ」への知見は浅い感じで、もっと自分のフィールドである感染症対策全般の話をすべきではないか。
官僚批判をしているタイプの官僚特有の視野の狭さも感じられる。

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2020年12月13日

Posted by ブクログ

厚生労働省キャリアによる内部からの告発本。すでに左遷され嫌な目に合っているのであまりに腹にすえかねて本を出版するまでにいたったのだろう。内部の事情がよくわかり面白い。だがこういう形で暴露しても組織からさらにいじめに合うだけだろう。大きな組織に一人で立ち向かうのは無謀でしょう。
NBCテロに対する備えは、日本の大きな弱点だが、テロ活動に対しては自衛隊と連携して対応すべきだと思う。福島第一原発事故でも自衛隊の活躍なしでは混乱の収束ができなかったでしょう。内閣府を中心とした命令系の確立を願う。

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2013年01月21日

Posted by ブクログ

文章の内容が飛びがちで、話している言葉をそのまま文章に起こしたような文体なので、少々読みにくい本であった。表現がストレートすぎるからなのか、どうしても仕事の愚痴が並べられているようにも思えてしまうので、素直に内容を飲みこみにくい感もあり、残念だった。

しかし、外国で専門的な教育を受けた上で日本の現場にいるからこそ見える、日本の行政(本書においては公衆衛生行政)の問題点についての指摘は、きわめて重要なポイントをついている。

そもそも公衆衛生について学ぶ場が日本では少なく、専門家が育ちにくい土壌であることは、バイオテロだけでなく、通常の感染症対策において大きなマイナスである。ワクチンや抗生物質の発見によっても感染症に勝利できるわけではないことが明確になり、公衆衛生的対策の重要性が見直されている国が多くある中で、衛生環境を世界一の水準にまで整えているはずの日本がこのような状態であるのは不思議である。
本書中でも触れられているFETP-Jなど、せっかく専門的な教育をうけ、実地での調査・対策の経験も積んでいる機関にも、行政に対して「提言」することしかできない現状は、やはり改善する余地がある。

本書で多くのページを割いている「官僚論」は、医系技官に限った話ではなく、著者以外にも論ずることが出来る人があろう。私は、日本の公衆衛生の危機を伝える声こそ、著者ならではのものであったと理解している。

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2011年09月08日

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